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第一章
宰相様の御子息
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ミカエラはお父様に呼び出され、部屋を訪れていた。
「宰相様の御子息様ですか…?」
勉強会という体のいい顔合わせなのかなと、内心げんなりしつつ、他国の話や街の情勢など自分の知らない話が聞けるのではないかと少しワクワクしていた。
勉強会までには少し日にちもあり、一度クラウドと会う機会があった。その時、勉強会の話をすると、
「ふーん…」
と、少し不機嫌そうにしていたが、遊ぶ頻度が減るわけでも、ましてや婚約などの気は全くないので、純粋に勉強や自分が知らない知識の話がしたいだけだと話すと、
「勉強相手は僕でもいいじゃないか…」
と、少し拗ねた姿は、同い年だけど弟のようで可愛かった。
ふふふっとミカエラが笑うと、更に頬をぷくっと膨らませたクラウドは、
「少し拗ねたから今日は膝枕して慰めて!」
と、半強制的にぼふっと寝っ転がってくる。ミカエラは目を見開き、少し驚きつつ、玩具を取られた子どもみたいと少しため息を吐いて頭を撫でてあげた。ローズマリーにもこの前同じことをしてあげたなーと思い出し、またクスクスと笑うミカエラだった。
まあ、この太ももを撫でる手を除けばだけど。
あっという間に勉強会の日がやってきた。家庭教師の先生とどんな話をしようか相談して、過去に先生も知らないと言われた話をいくつか思い出し、自分の聞きたいことも合わせてリストにした紙を見つめ、ふふっと頬を緩める。
どこまで知ってるか分からないけど、私の知らない話が聞けるといいな…
そんなことを思いながらそのリストといくつかの本を抱きしめ宰相様のいる部屋へ案内される。案内してくれた執事の方がノックをして部屋の中へ促され、一歩入った後、本たちを片側にまとめ、軽くカーテシーで挨拶をする。
「本日は、勉強会にお誘い頂きありがとうございます。ランスロット侯爵家長女 ミカエラです。」
「頭を上げて下さい」
スッと頭を上げるとそこにはシルバーヘアーを後ろでまとめ、キリッとした顔立ちに、ベージュの瞳で優しい眼差しをこちらに向けた中年の男性と、同じベージュの瞳なのに鋭い目でこちらを睨みつける青年の二人がいた。
自分が何か粗相をしたのかと、内心焦っていたが、会話を聞くと、そもそもこの場に居たくないようだった。
「お父様。僕はこの女の為に貴重な勉学の時間を割かなければならないのですか?他の者ではダメなのですか?僕はこんなお遊び半分で来るようなやつと話すことなんてないよ。」
ムスッとした顔で本人を前に悪態を突いている様子から、彼の意志でここにいるのではないとひしひしと伝わってくる。
少し勉強をかじった程度の令嬢のままごとに付き合わされていい迷惑だと本気で思っているようだった。
ミカエラはわざわざ苦手な男の子に自ら歩み寄る気もなく、眉尻を下げ、早々に立ち去ろうと宰相様に話しかける。
「申し訳ございません。私はお邪魔のようです。貴重なお時間を取らせてしまい御子息様も気分を害されているご様子。私は、これにて失礼しようと思います。」
「ちょ…ちょっと待ってくれ…!」
宰相様が慌てた様子を尻目にあの御子息は動こうともしない。私が振り返って帰ろうとすると、持ってきたリストがはらりと床に落ちる。
たまたま彼の下に落ちた紙を、面倒くさげではあるがしゃがんで拾ってくれる。
根はいい人なのかも。
そんなことを思いながら、でも長居はしたくないと、
「ありがとうございます」
と、落ちた紙を受け取ろうと手を伸ばす。
彼はちらっと、リストを見て、書いてある内容を理解すると、こちらを見て目を見開く。
「これは君が…?」
「宰相様の御子息様ですか…?」
勉強会という体のいい顔合わせなのかなと、内心げんなりしつつ、他国の話や街の情勢など自分の知らない話が聞けるのではないかと少しワクワクしていた。
勉強会までには少し日にちもあり、一度クラウドと会う機会があった。その時、勉強会の話をすると、
「ふーん…」
と、少し不機嫌そうにしていたが、遊ぶ頻度が減るわけでも、ましてや婚約などの気は全くないので、純粋に勉強や自分が知らない知識の話がしたいだけだと話すと、
「勉強相手は僕でもいいじゃないか…」
と、少し拗ねた姿は、同い年だけど弟のようで可愛かった。
ふふふっとミカエラが笑うと、更に頬をぷくっと膨らませたクラウドは、
「少し拗ねたから今日は膝枕して慰めて!」
と、半強制的にぼふっと寝っ転がってくる。ミカエラは目を見開き、少し驚きつつ、玩具を取られた子どもみたいと少しため息を吐いて頭を撫でてあげた。ローズマリーにもこの前同じことをしてあげたなーと思い出し、またクスクスと笑うミカエラだった。
まあ、この太ももを撫でる手を除けばだけど。
あっという間に勉強会の日がやってきた。家庭教師の先生とどんな話をしようか相談して、過去に先生も知らないと言われた話をいくつか思い出し、自分の聞きたいことも合わせてリストにした紙を見つめ、ふふっと頬を緩める。
どこまで知ってるか分からないけど、私の知らない話が聞けるといいな…
そんなことを思いながらそのリストといくつかの本を抱きしめ宰相様のいる部屋へ案内される。案内してくれた執事の方がノックをして部屋の中へ促され、一歩入った後、本たちを片側にまとめ、軽くカーテシーで挨拶をする。
「本日は、勉強会にお誘い頂きありがとうございます。ランスロット侯爵家長女 ミカエラです。」
「頭を上げて下さい」
スッと頭を上げるとそこにはシルバーヘアーを後ろでまとめ、キリッとした顔立ちに、ベージュの瞳で優しい眼差しをこちらに向けた中年の男性と、同じベージュの瞳なのに鋭い目でこちらを睨みつける青年の二人がいた。
自分が何か粗相をしたのかと、内心焦っていたが、会話を聞くと、そもそもこの場に居たくないようだった。
「お父様。僕はこの女の為に貴重な勉学の時間を割かなければならないのですか?他の者ではダメなのですか?僕はこんなお遊び半分で来るようなやつと話すことなんてないよ。」
ムスッとした顔で本人を前に悪態を突いている様子から、彼の意志でここにいるのではないとひしひしと伝わってくる。
少し勉強をかじった程度の令嬢のままごとに付き合わされていい迷惑だと本気で思っているようだった。
ミカエラはわざわざ苦手な男の子に自ら歩み寄る気もなく、眉尻を下げ、早々に立ち去ろうと宰相様に話しかける。
「申し訳ございません。私はお邪魔のようです。貴重なお時間を取らせてしまい御子息様も気分を害されているご様子。私は、これにて失礼しようと思います。」
「ちょ…ちょっと待ってくれ…!」
宰相様が慌てた様子を尻目にあの御子息は動こうともしない。私が振り返って帰ろうとすると、持ってきたリストがはらりと床に落ちる。
たまたま彼の下に落ちた紙を、面倒くさげではあるがしゃがんで拾ってくれる。
根はいい人なのかも。
そんなことを思いながら、でも長居はしたくないと、
「ありがとうございます」
と、落ちた紙を受け取ろうと手を伸ばす。
彼はちらっと、リストを見て、書いてある内容を理解すると、こちらを見て目を見開く。
「これは君が…?」
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