籠の中の令嬢

ワゾースキー

文字の大きさ
14 / 35
第一章

決意

しおりを挟む
 その日の夜、勉強会を思い出しながら、その時にオススメだとルイズに渡された本をベッドでくつろぎながら読み進める。


なるほどね…

やっぱり他国は女性と男性の数はこの国のように極端に偏ってないんだわ…。

この国のように女性というだけで重宝されることがない…
自由に恋愛して、縛りもなく自由に過ごして…
未婚の女性や仕事をしっかりして生計を立ててる女性もいるみたい。

なんて素敵…
私…他国で生きたいわ…。

お母様とお父様たちには寂しい思いをさせるかもしれないけど、家督を継ぐのもローズマリーがいるし、一度国を出ると戻ってくるのは少し難しいかもしれないけど、絶対帰って来れないって訳じゃなさそう。

まず12歳になったら学園に入学することになる。
そこで他の留学生の子がいないか確認して仲良くなるの。出来れば女の子がいいな…。
この国の女の子と友達にもなりたいけど、考え方が合わなさそうなのよね…。
ちやほやされて、なぜ嫌なの?って真顔で聞かれそう。
うん。この感覚はこの国の人には分かってもらえない。
仕方がないわ。

次に15歳になったらまず他国に連れてってもらおう…旅行でもなんでもいいわ。知り合いや他国の知識も増やしつつ、自分の目で色んな国を見ることは大切だもの。それから治安の良さそうな国をいくつか候補にあげる。

そして17歳になったら家を出るの!
もちろんまずはお父様に相談して…
次にお母様かしら?
お兄様たちや他のお父様たちはおいおいね…

はぁ…ワクワクが止まらないわ!
でも早い段階で計画を知られないようにしなきゃ!
知られて無理矢理、婚姻をまとめられたり、目的のための進路を断たれたら元も子もないもの!
今はまだお父様たちも無理に男の子と縁談を結ぼうともなさらないし、お茶会のお誘いも断れるわ!

クラウドは何度も遊んでマシかもしれないけど、現実的に沢山の男の子と仲良くしたり、囲まれたり、ちやほやされたり…苦手なのよね。
そういえば、ルイズ様も少しマシかな…?
ううん。
勉強の時はお互いに白熱したし、楽しかったけど、恋愛となるとまた別の話

やっぱり私が何人もの男性と仲良くするなんて想像が出来ない。一人ずつならまだしも…沢山来られたら身体が強張ってしまう。結婚なんて夢のまた夢。

徐々に…徐々に計画を進めなきゃね!


 そんなことを考えながら自分が、この国から羽ばたく姿を想像して、頬が緩む。

 興奮している自分を落ち着かせるために、口元の前で手を合わせ、はぁっ…と息を吐く。
 膝に置いていた本を横に退け、クッションを抱きしめ窓の外を見ると、月が光り輝き、自分の未来もあんな輝かしいものになれば良いのにと、ミカエラは願いながら、重たい瞼を閉じてスッと眠りについた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻
恋愛
 桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。  父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。  理由は多額の結納金を手に入れるため。  相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。  放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。  地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。  

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...