聖なる夜に私は叫ぶ

しずもり

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クリスマスイブ  19時半 対決 2

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たしかに真希が自慢げに、私に本命彼氏以外の男友達と遊んだ話をしてきた時には小言めいたように言った。その自覚も少しはある。

でも、それは真希を妬んだからとかそういう嫉妬めいたものじゃない。ただご飯を食べるだけならば、私もしつこく言うことはなかった。

 真希の言う男友達は、普通の男友達じゃない。所謂、セフレという間柄だった男友達だ。本命彼氏が出来た頃は、それでも真希も少しは自重していたように思う。
だけど出張の多い彼氏に、真希は段々と我慢が出来なくなっていった。話を聞く限りでは、彼氏も真希のことを優先していたはずだったのに。

しかし彼氏は本当に出張が多く、忙しい部署で働いていて、全てにおいて真希を優先することは本当に難しかったのだ。

" 構ってちゃん "でもあった真希は、次第に彼氏に会えない日には以前のように男友達と会うようになっていった。勿論、それは以前と同じ関係で。

 真希も私に言われたくなければ、男友達と遊んだ事なんて言わなけれよかったのだ。だけど、真希は言わずにはいられなかった。そしてそれを聞いた私も忠告せずにはいられなかったのだ。『そんな事をしていたら、彼氏に振られちゃうよ』、と。


結局、私の忠告をウザいと思った真希は、私が彼氏きよしに振られるように仕向けたってことか。

怒りよりも虚しさが胸を襲う。

ああ、でももう一つ。
私は怒る理由がある。もしかしたら真希に忠告していたのは、少し怒っていたからなのかもしれないな。


「真希。私が聖に振られて気は済んだ?」

「急に何?あれ?もしかして先輩、大丈夫そうに見えてやっぱり聖クンに振られて落ち込んでるの?いい気味~」

前言撤回。

私も虚しさよりも怒りが勝ってるわ。

「真希、調子に乗るのもいい加減にしなよ?アンタのやってる事は普通に浮気だから。彼氏が知ったら、真希だって振られるよ?」

真希、これが最後の忠告だ。ここで心を入れ替えるならばーー。

「ボクが振られるわけがありませ~ん。だってボク、佳奈先輩だけじゃなくて、そこら辺の女子より可愛いし。
彼氏はちょっと真面目すぎて、つまんないなぁって思うこともあるけど、今まで付き合ってきた中で一番格好いいし一流企業のエリートサラリーマンで将来安泰だもん。

ちょっと物足りない部分を他で補ってるだけなんだから、文句言う方がおかしくない?」


はあ~。これはもう駄目だ。全く反省してないな。真希は今まで何をしても許されてきた人生を歩んできたんだろうね。それは少し羨ましい気もするけれど、気付いていないだけで寂しい人生だと思う。

「相手に不満があるなら、相手と話し合って解決すればいい。寂しいなら寂しいと言えばいい。ただ相手に求めるだけで、自分から相手に歩みよりもしないで、楽な方へ自分の身を置こうとするのは、いつか痛い目を見ると思う。真希の彼氏だって馬鹿じゃないんだから、そのうち気付くよ」

「また小言?先輩も懲りないよねぇ。そんなこと言ってたって、結局ボクに聖クンを寝取られてんだから大人しくしてたって意味なくない?
それにクリスマスイブに仕事している彼氏が悪いんだから、ボクが他の男と遊んでたって文句なんて言えやしないでしょ」

「じゃあ、彼氏にそう聞いてみれば?」

「は?何、言っちゃってんの?ボクがわざわざ彼氏に、他の男と遊んでましたぁ~、なんて言うと思ってんの?」

私の言葉にムッとした真希が、私を馬鹿にするような口調で言い返してくる。

「やっぱり彼氏に言えない事をしている、っていう自覚はあるんじゃない」

「うるさい、うるさいっ!ボクが何をしようとボクの勝手でしょ!
先輩には全く関係ない!ボクと彼氏の事でもう口出ししないでよ!」

「全く関係ないかもしれないけどさ。放っておけないんだよ」

「はぁ~?ボクが放っておいて、って言ってるじゃん。ボクの保護者か何かにでもなったつもり?」

少しも引かない私に苛立ちを隠せない真希は、いつもの人懐っこい表情を消して私を睨んでくる。

「真希には私の言葉は届かないし、真希の言動を私は認められない。私は本当に真希と真希の彼氏がずっと上手くいく事を願っていたんだよ」

「なら、それでいいじゃん。そのまま口出ししないで放っておいてよ」

「もう無理。流石に真希のした事は許容範囲を超えているよ。だって私への嫌がらせの為に聖を寝取ったなんて、彼氏が知ったらどう思うのか、少しも考えなかったの?真希は本当に彼氏の事が好きなの?」

「先輩の許容範囲なんてボクには関係ないよ。聖クンの事なんて彼氏に言わなきゃいいだけじゃん。それとも先輩が彼氏にチクる?でもどうやって?先輩、ボクの彼氏の連絡先なんて知らないもんね。あ、名前も言ってなかったっけ。じゃ、チクりようがないね。御愁傷様~」

「知ってるよ。名前も連絡先もね。だから今から電話して聞いてみようよ。真希のした事をどう思うか、ってね」

「は?何、大嘘吐いちゃってんの?振られて頭おかしくなった?先輩がボクの彼氏の名前なんて知っているわけないじゃん!」

私の言葉に真希は一瞬、怯んだものの、直ぐに私を馬鹿にしたような態度に変わった。

私はそんな真希の態度に何も言わずにポケットからスマホを取り出して電話を掛けた。

「もしもし?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今日中に完結する予定がおわりませんせした~。
明日、完結(本編)させる予定です。

では、メリークリスマス!
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