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【番外編】年明け 初出勤 昼12時
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「で?」
「え?」
「え?じゃないですよ!こっちは佳奈先輩の所為で、振られたっていうのに、何で年明け初出勤で先輩の惚気話を聞かなきゃなんないんですか!」
「惚気話じゃ・・・それに真希が振られたのは自業自「はぁっ?!」いや、何でもないです」
「ったく。もう、本当に意味分かんない!」
去年のこととはいえ、2週間もしないうちにクリスマスイブに修羅場になった相手とお昼を食べている私って、結構お人好しなんじゃないかな。
「その修羅場相手に新しい彼氏の話をする女のどこがお人好しなんですかね!?」
あ、声に出てたのか。
真希の目が益々吊り上がっていて怖い。けど、怒っているのにそこまで怒っていないよう見えてしまうのは、女子顔負けの可愛い顔だからかな。
「や、本当に惚気話じゃないんだってば。大体さ、あんなことあったのに、普通に話しかけてきたのは真希の方じゃん。聖なんて、遠目で私を発見しただけで、コソコソと逃げて行ったよ?」
24日、25日が土日だったことで、私たちが勤める会社は早い年末年始の休暇に入っていたので、4日の今日が初出勤日だった。
聖とは働いている階が違うので、合わせようとしなければ早々会うこともない。そう思っていたのに、どうやら出社時間が被ってしまったらしい。駅の改札を出て直ぐに数メートル先を歩く聖の後ろ姿を発見。
まあ、呼び止めない限りは問題ないかと思っていたら、何故か聖が立ち止まって振り向いたので目が合ってしまった。聖は一瞬、固まった後、慌てて前を向いてそそくさと歩き出した。不審者並みの怪しい動きで。
少しは私に悪いという気持ちがあったのか。それとも恐れ慄いて去って行っただけなのか。自分に非があると自覚しているなら、そんな態度になってしまうのも分からなくもない。気持ちは『ちゃんと謝れないのか。器の小さい男だな』ではあるけれど。
対して真希とは同じ職場なで、デスクも隣同士。嫌でも顔を合わせることになるのは仕方がないとして、ちょっと気不味いなぁ、と思っていた。予想に反して、真希は仕事中は普通の態度で話しかけてきて、そしていつも通りお昼も誘われてしまったのだ。
まあ、誘いを受ける私もどうかしてるのかもしれないけど。
「まあ、佳奈先輩はチョロいですからね。年下の男にグイグイこられて流されるように付き合うことになったんでしょうね。あ~!その姿が目に浮かぶ」
真希は言うだけで言うと、私が頼んだランチセットのミートボールをフォークでひょいと刺して自分の口に入れてしまった。
「あ、楽しみに取っておいたのに・・・」
いつも一緒に昼食を食べているから、真希は私の好物も食べる順番もよく知っている。わざとなのは明らかだ。
え?
私、こいつに彼氏を寝取られたんだったよね?
「先輩って、ほんと単純だよね。ボクと聖クンにあんなに怒っててもさ。アイアンクローをボクたちにキメたことでもうだいぶスッキリしちゃってんでしょ?しかもボクには手加減してたみたいだし」
「え?いや、まだ怒ってるし、許す気もないよ?ただ、まあ、スッキリはしたけど」
当然だよね。結局、二人とも私に謝ってないし、謝られたって傷つけられた記憶はそう簡単には消えないものだよ。
だけど職場が同じで、デスクも隣同士なんだから、仕事で普通に話をするのは社会人として当たり前だから。
ただ、真希に対して怒っていても、プライベートでも仲良く過ごした思い出がいくつもある。油断すると何事もなかったかのような気持ちになってしまうのも事実だ。
「あ~あ。もう本当に嫌になっちゃうよね。こっちだって恭クンにバラされて怒ってたのにさぁ」
流石にその言い方にカチンときて言い返そうと思ったらーー。
「佳奈先輩、ごめんなさい。ボクが先に先輩に酷いことした。恭クンに振られたのもボクの自業自得だって本当は分かってる。
言い訳にもならないけど、先輩の忠告がボクを否定された気になっちゃって裏切られたって思った。それで・・・」
真希はそこまで言うと、急にしゅんとなって泣き出してしまった。
うぇっ。いきなりここで泣く?
ついさっきまで、ぷりぷりと私に当たり散らすような感じで話してたよね?
年明けの昼下がりのオフィス街のカフェで、男だけどポロポロと泣き出した小柄な可愛い顔の真希とそれを見てる大柄な私じゃ、どう見たって私が泣かしているようにしか見えないんですけど!!
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
「え?」
「え?じゃないですよ!こっちは佳奈先輩の所為で、振られたっていうのに、何で年明け初出勤で先輩の惚気話を聞かなきゃなんないんですか!」
「惚気話じゃ・・・それに真希が振られたのは自業自「はぁっ?!」いや、何でもないです」
「ったく。もう、本当に意味分かんない!」
去年のこととはいえ、2週間もしないうちにクリスマスイブに修羅場になった相手とお昼を食べている私って、結構お人好しなんじゃないかな。
「その修羅場相手に新しい彼氏の話をする女のどこがお人好しなんですかね!?」
あ、声に出てたのか。
真希の目が益々吊り上がっていて怖い。けど、怒っているのにそこまで怒っていないよう見えてしまうのは、女子顔負けの可愛い顔だからかな。
「や、本当に惚気話じゃないんだってば。大体さ、あんなことあったのに、普通に話しかけてきたのは真希の方じゃん。聖なんて、遠目で私を発見しただけで、コソコソと逃げて行ったよ?」
24日、25日が土日だったことで、私たちが勤める会社は早い年末年始の休暇に入っていたので、4日の今日が初出勤日だった。
聖とは働いている階が違うので、合わせようとしなければ早々会うこともない。そう思っていたのに、どうやら出社時間が被ってしまったらしい。駅の改札を出て直ぐに数メートル先を歩く聖の後ろ姿を発見。
まあ、呼び止めない限りは問題ないかと思っていたら、何故か聖が立ち止まって振り向いたので目が合ってしまった。聖は一瞬、固まった後、慌てて前を向いてそそくさと歩き出した。不審者並みの怪しい動きで。
少しは私に悪いという気持ちがあったのか。それとも恐れ慄いて去って行っただけなのか。自分に非があると自覚しているなら、そんな態度になってしまうのも分からなくもない。気持ちは『ちゃんと謝れないのか。器の小さい男だな』ではあるけれど。
対して真希とは同じ職場なで、デスクも隣同士。嫌でも顔を合わせることになるのは仕方がないとして、ちょっと気不味いなぁ、と思っていた。予想に反して、真希は仕事中は普通の態度で話しかけてきて、そしていつも通りお昼も誘われてしまったのだ。
まあ、誘いを受ける私もどうかしてるのかもしれないけど。
「まあ、佳奈先輩はチョロいですからね。年下の男にグイグイこられて流されるように付き合うことになったんでしょうね。あ~!その姿が目に浮かぶ」
真希は言うだけで言うと、私が頼んだランチセットのミートボールをフォークでひょいと刺して自分の口に入れてしまった。
「あ、楽しみに取っておいたのに・・・」
いつも一緒に昼食を食べているから、真希は私の好物も食べる順番もよく知っている。わざとなのは明らかだ。
え?
私、こいつに彼氏を寝取られたんだったよね?
「先輩って、ほんと単純だよね。ボクと聖クンにあんなに怒っててもさ。アイアンクローをボクたちにキメたことでもうだいぶスッキリしちゃってんでしょ?しかもボクには手加減してたみたいだし」
「え?いや、まだ怒ってるし、許す気もないよ?ただ、まあ、スッキリはしたけど」
当然だよね。結局、二人とも私に謝ってないし、謝られたって傷つけられた記憶はそう簡単には消えないものだよ。
だけど職場が同じで、デスクも隣同士なんだから、仕事で普通に話をするのは社会人として当たり前だから。
ただ、真希に対して怒っていても、プライベートでも仲良く過ごした思い出がいくつもある。油断すると何事もなかったかのような気持ちになってしまうのも事実だ。
「あ~あ。もう本当に嫌になっちゃうよね。こっちだって恭クンにバラされて怒ってたのにさぁ」
流石にその言い方にカチンときて言い返そうと思ったらーー。
「佳奈先輩、ごめんなさい。ボクが先に先輩に酷いことした。恭クンに振られたのもボクの自業自得だって本当は分かってる。
言い訳にもならないけど、先輩の忠告がボクを否定された気になっちゃって裏切られたって思った。それで・・・」
真希はそこまで言うと、急にしゅんとなって泣き出してしまった。
うぇっ。いきなりここで泣く?
ついさっきまで、ぷりぷりと私に当たり散らすような感じで話してたよね?
年明けの昼下がりのオフィス街のカフェで、男だけどポロポロと泣き出した小柄な可愛い顔の真希とそれを見てる大柄な私じゃ、どう見たって私が泣かしているようにしか見えないんですけど!!
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