11 / 61
王太子の婚約者になった日
しおりを挟む
ヤダヤダヤダッ!!
あれを見られちゃった!恥ずかしいっ!無理っ!
私の力がバレた事より何より恥ずかしい~!
本当、マジで無理ぃっ。
今、私の目の前には笑顔のアレクシス殿下が座っている。
約束の時間よりも少し遅れてやって来たアレクシス殿下は、笑顔のまま紗夜の正面に座ると、侍女が紅茶を淹れ終わると同時に、自身の護衛や侍従を含めて下がるように命じた。
王宮内の庭園とはいえ、護衛も付けずに二人きりにするのは、と護衛の者は躊躇した。
しかし、アレクシス殿下の滅多に見られない笑顔の圧に怯えて声の届かない場所まで下がるだけなら、と二人から離れていった。
ちょっ、待って、侍女さん、護衛さんたち!下がるなら殿下も連れていって?
殿下もお忙しいでしょうから執務に戻った方がいいんじゃないかなぁ。
だから、この場は私一人にして下さいぃぃ。
私がそう思っても、アレクシス殿下は微笑みを浮かべたままテーブルを離れる気配はない。
それはそうだ。
婚約者候補との交流を図る為のお茶会に来ているのだ。来て早々に話すことなく帰るわけがない。
でも、、、彼は確実にあれを見ている。
紗夜が浄化をしていた、と気付いてはいないかもしれない。
だが、しかし。
気付いていないなら余計に、いきなり指パッチンをしていた紗夜を不審に思うだろう。
侍女や護衛たちは微かな音には気付いたかもしれないが、私が指を鳴らしていた姿は紗夜の体が死角になって気付かなかったはずなのに。
あの恥ずかしい姿をアレクシス殿下に見られていただなんてっ!!
紗夜が元の世界に戻っても非日常は続いた。非日常が続くとそれはもう日常だ。
ひっきりなしに紗夜の元へとやって来る霊を浄化する日々も当たり前になった頃、ふと思ってしまったのだ。
あれっ?
この祈りのポーズってちょっとダサくない?
本当に何でそんな事を思ってしまったのか?
厨二病か、それとも若気の至りなのか……。
きっと知らずに調子に乗ってしまっていたのだ、私は。
その日から私は浄化のポーズを考えた。
ひたすら考えて完成したのが、親指と中指で指を鳴らす動作、つまり指パッチンだったのだ。
その頃、流行っていた漫画のキャラの指を鳴らす姿がかっこ良い、と思っていた。ちょっと試してみたら指パッチンでも浄化出来てしまった。
そう!出来てしまったのだ……。
その時の私の年齢を考えてみて欲しい。中三にはなっていたけれど、まだ十五歳の子どもだ。十五歳の思考力なんてそんなもんだ。
・・・・・皆、そうであって欲しい!
その日から紗夜の浄化スタイルは指パッチンになった。
それも誰にも見られていないと知りつつも得意げに指を鳴らしていた、恥ずかしい事に。
紗夜が左手でも右手でも指を鳴らせるようになり、乱れ打ちのように鳴らせるようになったのはいつ頃だったろうか?
確か、お酒が飲める歳になっていた頃の事だった。昭和、平成と時代ごとの流行などを特集した番組を見ていた時だ。
あれはお笑い芸人なのかタレントなのか、まぁどっちでもいい。
とにかく、指パッチンを芸にしている人が出ていたのだ。
その姿を見た瞬間、頭が真っ白になった。
次に自分が黒いタキシードを着て赤い蝶ネクタイを身に付けて、指パッチンをしている姿が脳裏に浮かんでしまった。
違うっ!私のイメージでは軍服なのっ!
しかし一度、頭に浮かんでしまったものは記憶からは消せない。
祈りのポーズに戻そうかとも思ったが今更で、なんだか気恥ずかしい。
ならばいっそカッコ良く指を鳴らすポーズを極めればいいのだ。
何故かそう思い込んでしまった私は、鏡の前で特訓に特訓を重ねて作り上げた浄化スタイルに合格点を出して満足した時にふと気が付いた。
あれ?私、念じるだけで浄化できた……よね?
別に祈りのポーズも指パッチンも要らなかった……。
浄化スタイルなんて、別にどうでも良かったじゃん!
そう思った時には指パッチンが体に染み付いていた。心なしか、指を鳴らした時の方が浄化の力も強い気がする。
なら、もういいじゃん。どうせ人に見られないようにやってんだから。
考え過ぎて自分自身がアホ過ぎて、私はもうどうでもよくなってしまった。
周囲に人が居る時でもさり気なく気付かれない様に、自然体で指パッチンする技まで身につけたのだ。
あとは自分が感じる羞恥心に蓋をすればいいだけの事。
開き直った私はそれからも指パッチンで浄化を続けて今に至る。
……至ったところで、とうとう指パッチンをしている姿を人に見られてしまった。
その事がただただ恥ずかしい。
本当に恥ずかしすぎて、私の頭からは自分がサーヤと呼ばれていた聖女だと気付かれる可能性がすっぽり抜けていた。
だって、聖女サーヤは指パッチンなんてしていなかったから。
「やはり貴女は聖女サーヤだったんだな」
アレクシス殿下の思いがけない言葉で私の脳は思考停止した。
オワタ。
異世界生活、オワリマシタ。
指パッチンという恥ずかしい姿を見られた上に、使命を放棄して元の世界へと逃げ帰ったと言われている聖女サーヤだという事もバレてしまった。
穴があったら入りたいどころか、生き埋めにされてしまうかもしれない。
私は絶望しながら俯いていた顔をアレクシス殿下の方に向けた。
するとそこには何故か瞳を蕩けさせて甘い笑みで紗夜を見つめるアレクシス殿下の姿があった。
「サーヤ、、、いや、今はクリスだったね。仮初めの候補者などではなく、本当の僕の婚約者となって欲しい」
「はっ!?」
「クリス、愛している。どうか私と結婚してください」
気づけばアレクシス殿下は紗夜の目の前まで来て跪いて手を差し出していた。
そう、丁度手を置きやすい高さと位置に。
恥ずかしい姿を見られた羞恥から私の思考は停止し、そしてトドメとばかりに混乱状態に陥った。
思考停止からの再起動後にいきなりのプロポーズだ。
しかも聖女サーヤである事も知られていての愛の言葉まで。
混乱状態は解除されないままに、私は思わず目の前に差し出されたその手に、自分の手を置いてしまった。
犬がお手をする様に。
「ありがとうっ、クリス!一生、君の側から離れないよ」
乗せた手をギュッと握られて、あっという間に私の体はアレクシスの腕の中にスッポリと包み込まれていた。
そこは『一生君を守るよ』とか『二人はずっと一緒だ』とかじゃないのか、などという突っ込みも混乱状態の紗夜には出来ない。そもそも気づく余裕も今の紗夜にはなかった。
後に誰かが、熱い抱擁というよりは捕獲された感が否めなかった、と言ったとか言わなかったとか、、、。
兎に角、こうして婚約者候補になってわずか数日で、紗夜はアレクシスの正式な婚約者となったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
あれを見られちゃった!恥ずかしいっ!無理っ!
私の力がバレた事より何より恥ずかしい~!
本当、マジで無理ぃっ。
今、私の目の前には笑顔のアレクシス殿下が座っている。
約束の時間よりも少し遅れてやって来たアレクシス殿下は、笑顔のまま紗夜の正面に座ると、侍女が紅茶を淹れ終わると同時に、自身の護衛や侍従を含めて下がるように命じた。
王宮内の庭園とはいえ、護衛も付けずに二人きりにするのは、と護衛の者は躊躇した。
しかし、アレクシス殿下の滅多に見られない笑顔の圧に怯えて声の届かない場所まで下がるだけなら、と二人から離れていった。
ちょっ、待って、侍女さん、護衛さんたち!下がるなら殿下も連れていって?
殿下もお忙しいでしょうから執務に戻った方がいいんじゃないかなぁ。
だから、この場は私一人にして下さいぃぃ。
私がそう思っても、アレクシス殿下は微笑みを浮かべたままテーブルを離れる気配はない。
それはそうだ。
婚約者候補との交流を図る為のお茶会に来ているのだ。来て早々に話すことなく帰るわけがない。
でも、、、彼は確実にあれを見ている。
紗夜が浄化をしていた、と気付いてはいないかもしれない。
だが、しかし。
気付いていないなら余計に、いきなり指パッチンをしていた紗夜を不審に思うだろう。
侍女や護衛たちは微かな音には気付いたかもしれないが、私が指を鳴らしていた姿は紗夜の体が死角になって気付かなかったはずなのに。
あの恥ずかしい姿をアレクシス殿下に見られていただなんてっ!!
紗夜が元の世界に戻っても非日常は続いた。非日常が続くとそれはもう日常だ。
ひっきりなしに紗夜の元へとやって来る霊を浄化する日々も当たり前になった頃、ふと思ってしまったのだ。
あれっ?
この祈りのポーズってちょっとダサくない?
本当に何でそんな事を思ってしまったのか?
厨二病か、それとも若気の至りなのか……。
きっと知らずに調子に乗ってしまっていたのだ、私は。
その日から私は浄化のポーズを考えた。
ひたすら考えて完成したのが、親指と中指で指を鳴らす動作、つまり指パッチンだったのだ。
その頃、流行っていた漫画のキャラの指を鳴らす姿がかっこ良い、と思っていた。ちょっと試してみたら指パッチンでも浄化出来てしまった。
そう!出来てしまったのだ……。
その時の私の年齢を考えてみて欲しい。中三にはなっていたけれど、まだ十五歳の子どもだ。十五歳の思考力なんてそんなもんだ。
・・・・・皆、そうであって欲しい!
その日から紗夜の浄化スタイルは指パッチンになった。
それも誰にも見られていないと知りつつも得意げに指を鳴らしていた、恥ずかしい事に。
紗夜が左手でも右手でも指を鳴らせるようになり、乱れ打ちのように鳴らせるようになったのはいつ頃だったろうか?
確か、お酒が飲める歳になっていた頃の事だった。昭和、平成と時代ごとの流行などを特集した番組を見ていた時だ。
あれはお笑い芸人なのかタレントなのか、まぁどっちでもいい。
とにかく、指パッチンを芸にしている人が出ていたのだ。
その姿を見た瞬間、頭が真っ白になった。
次に自分が黒いタキシードを着て赤い蝶ネクタイを身に付けて、指パッチンをしている姿が脳裏に浮かんでしまった。
違うっ!私のイメージでは軍服なのっ!
しかし一度、頭に浮かんでしまったものは記憶からは消せない。
祈りのポーズに戻そうかとも思ったが今更で、なんだか気恥ずかしい。
ならばいっそカッコ良く指を鳴らすポーズを極めればいいのだ。
何故かそう思い込んでしまった私は、鏡の前で特訓に特訓を重ねて作り上げた浄化スタイルに合格点を出して満足した時にふと気が付いた。
あれ?私、念じるだけで浄化できた……よね?
別に祈りのポーズも指パッチンも要らなかった……。
浄化スタイルなんて、別にどうでも良かったじゃん!
そう思った時には指パッチンが体に染み付いていた。心なしか、指を鳴らした時の方が浄化の力も強い気がする。
なら、もういいじゃん。どうせ人に見られないようにやってんだから。
考え過ぎて自分自身がアホ過ぎて、私はもうどうでもよくなってしまった。
周囲に人が居る時でもさり気なく気付かれない様に、自然体で指パッチンする技まで身につけたのだ。
あとは自分が感じる羞恥心に蓋をすればいいだけの事。
開き直った私はそれからも指パッチンで浄化を続けて今に至る。
……至ったところで、とうとう指パッチンをしている姿を人に見られてしまった。
その事がただただ恥ずかしい。
本当に恥ずかしすぎて、私の頭からは自分がサーヤと呼ばれていた聖女だと気付かれる可能性がすっぽり抜けていた。
だって、聖女サーヤは指パッチンなんてしていなかったから。
「やはり貴女は聖女サーヤだったんだな」
アレクシス殿下の思いがけない言葉で私の脳は思考停止した。
オワタ。
異世界生活、オワリマシタ。
指パッチンという恥ずかしい姿を見られた上に、使命を放棄して元の世界へと逃げ帰ったと言われている聖女サーヤだという事もバレてしまった。
穴があったら入りたいどころか、生き埋めにされてしまうかもしれない。
私は絶望しながら俯いていた顔をアレクシス殿下の方に向けた。
するとそこには何故か瞳を蕩けさせて甘い笑みで紗夜を見つめるアレクシス殿下の姿があった。
「サーヤ、、、いや、今はクリスだったね。仮初めの候補者などではなく、本当の僕の婚約者となって欲しい」
「はっ!?」
「クリス、愛している。どうか私と結婚してください」
気づけばアレクシス殿下は紗夜の目の前まで来て跪いて手を差し出していた。
そう、丁度手を置きやすい高さと位置に。
恥ずかしい姿を見られた羞恥から私の思考は停止し、そしてトドメとばかりに混乱状態に陥った。
思考停止からの再起動後にいきなりのプロポーズだ。
しかも聖女サーヤである事も知られていての愛の言葉まで。
混乱状態は解除されないままに、私は思わず目の前に差し出されたその手に、自分の手を置いてしまった。
犬がお手をする様に。
「ありがとうっ、クリス!一生、君の側から離れないよ」
乗せた手をギュッと握られて、あっという間に私の体はアレクシスの腕の中にスッポリと包み込まれていた。
そこは『一生君を守るよ』とか『二人はずっと一緒だ』とかじゃないのか、などという突っ込みも混乱状態の紗夜には出来ない。そもそも気づく余裕も今の紗夜にはなかった。
後に誰かが、熱い抱擁というよりは捕獲された感が否めなかった、と言ったとか言わなかったとか、、、。
兎に角、こうして婚約者候補になってわずか数日で、紗夜はアレクシスの正式な婚約者となったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
72
あなたにおすすめの小説
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足でお城が崩れる!?
貴族が足りなくて領地が回らない!?
――そんなギリギリすぎる領地を任された転生令嬢。
現代知識と少しの魔法で次々と改革を進めるけれど、
なぜか周囲を巻き込みながら大騒動に発展していく。
「領地再建」も「恋」も、予想外の展開ばかり!?
没落領地から始まる、波乱と笑いのファンタジー開幕!
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【完結】契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい~
九條葉月
ファンタジー
【ファンタジー1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約結婚を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
花を包むビニールがなければ似たような素材を求めてダンジョンに潜り、吸水スポンジ代わりにスライムを捕まえたり……。そうして準備を進めているのに、なぜか店の実態はお花屋さんからかけ離れていって――?
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる