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【 番外編 】ざまぁ、な話。その後の話。
元第二王子カイウス 3
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「・・・何故、此処に来た?」
もう会う事は無いだろうと思っていた二人が俺の目の前に居る。
公爵の策に乗り、父上や大臣たち、そして魔術師団たちを無理矢理に説得して異世界から喚んだ聖女サーヤ。
召喚した聖女は、女とは思えない見た目と幼さの残る顔に本当に子どもだと思っていた。それが実は十四歳だと言った時は驚いたが、俺をキラキラした目で見てくる様子に丁度良いと思った。
俺の言葉を何でも素直に受け取る聖女。
俺のする事に疑問を持たない聖女。
ほんの少し甘い言葉を吐けば、顔を真っ赤にして喜ぶ聖女。
俺の計画になんて都合の良い存在だ。
計画は上手くいって、公爵の言う通りに聖女の功績は俺とナターシャのものになった。
筈だったのに。
あぁ、違う。公爵の思う通りになったんだった。
「ちょっと、カイウス様?人の話聞いてます?」
急に視界が遮られたと思ったら、俺の顔の前でサーヤが手をヒラヒラとさせている。
「・・・俺は罪人だ。" 様 "は要らない」
「あ、聞こえてました?たしかに罪人でしたね。
じゃ、敬称抜きでカイウスと呼ばせて頂きますね~」
俺の言葉にあっさりと頷き、躊躇なく俺を呼び捨てにする事を決める目の前の女は、本当にあのサーヤなのか?
「あぁ~、やっぱり俺様なカイウスは健在ですねぇ。最近、ブツブツと独り言を言っている事が多いって、報告が寄せられています。それに『話をして欲しい』とお願いされたから来たんですよ?ねぇ、アレク」
「あぁ」
相変わらず兄上は口数が少ないな。
「で、結局、何を悩んでいるんです?」
「・・・ぃ」
「はい?もう一度お願いします」
「っ!罪を償うにはどうしたらいいんだっ?」
「え?罪を償う、ですか?
カイウスはこの塔に入ってから、ずっと償ってきたんじゃないんですか?」
「違うっ!それは俺が犯した罪に対する罰だ。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
俺の所為で死んだ二人にどう償えばいいのかが何度考えてもずっと分からないっ!
どうすればいい?どうしたら、俺は、俺に、出来ることは、、、」
思わず怒鳴るように叫べば、兄上が庇うように後ろからサーヤを抱え込む。
「アレク、大丈夫ですよ。聞いていた通りですね。
カイウスは自分では気が付いていないみたいですけど、ずっとそうやってブツブツと呟いているそうですよ」
サーヤが椅子に座り俯いたままの俺と目線を合わせようと近づき腰を下ろした。
「は?俺が?」
「えぇ、配膳に来る人、衛兵、それから、、、。意外と皆に心配されているんじゃないですか?」
「まさか」
俺を心配する者がいるなんてそんな訳がない。
そう続けようとしてと口を開きかけると、サーヤがポンと手を打った。
「あ、そうそう!魔術師の人にも言われました。水晶を受け取りに来ませんでした?
その人にも何とかしてくれ、と怒られました。『現実逃避させるな。あんなんじゃ罰にならない。』だっけかな」
サーヤの言葉を聞いて納得する。やはり俺を心配するものなんていない。
俺は一生許されることなんてないのだ。
「なぁ。お前、俺の処刑を国王陛下に頼んでくれないか。この塔で毒杯を飲んで死ねば、きっと病死で片付けてくれるだろう。
最初からそうすべきだったんだ。
人を殺したなら死を以って償うのが当然だ。王族だから、と罰を甘くする必要なんてなかっ」
最後まで言い切る前に、俺の顔に衝撃が走り椅子から転げ落ちた。
何が、、、起きたんだ?
サーヤが、俺を、殴った?
ダン、ダンッ、ダン!!
呆然とする俺の前でサーヤが立ち上がり、怒りに任せて床を右足で思いっきり踏み鳴らしている。
「バカッ!本っ当にバカですよ、カイウス様は!!
何で四年も掛けて出した答えがそれなんですかっ。というか、売り言葉に買い言葉みたいに今、思い付きで言っただけでしょう?
一体、何を反省して、どう後悔して、あの二人の為に何が出来るかを考えたんですかっ!
王族だから罰を甘くした?んな訳無いじゃないですか。
カイウス様は何にも分かってない!
あの二人が死んだのは確かにカイウス様の所為ですけど、後悔している人はカイウス様だけだと思っていたんですか?
それで一人で『どう償えば?』なんてグチグチと考えているつもりで、毎日ブツブツと意識飛ばして呟いてたって、どんだけ、どんだけ、、、」
顔を真っ赤にして、一気に言葉を吐き出し、何かを堪えるように歯を食いしばっているサーヤを見て俺は理解した。
「あぁ、お前も俺を恨んでいるんだな」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
もう会う事は無いだろうと思っていた二人が俺の目の前に居る。
公爵の策に乗り、父上や大臣たち、そして魔術師団たちを無理矢理に説得して異世界から喚んだ聖女サーヤ。
召喚した聖女は、女とは思えない見た目と幼さの残る顔に本当に子どもだと思っていた。それが実は十四歳だと言った時は驚いたが、俺をキラキラした目で見てくる様子に丁度良いと思った。
俺の言葉を何でも素直に受け取る聖女。
俺のする事に疑問を持たない聖女。
ほんの少し甘い言葉を吐けば、顔を真っ赤にして喜ぶ聖女。
俺の計画になんて都合の良い存在だ。
計画は上手くいって、公爵の言う通りに聖女の功績は俺とナターシャのものになった。
筈だったのに。
あぁ、違う。公爵の思う通りになったんだった。
「ちょっと、カイウス様?人の話聞いてます?」
急に視界が遮られたと思ったら、俺の顔の前でサーヤが手をヒラヒラとさせている。
「・・・俺は罪人だ。" 様 "は要らない」
「あ、聞こえてました?たしかに罪人でしたね。
じゃ、敬称抜きでカイウスと呼ばせて頂きますね~」
俺の言葉にあっさりと頷き、躊躇なく俺を呼び捨てにする事を決める目の前の女は、本当にあのサーヤなのか?
「あぁ~、やっぱり俺様なカイウスは健在ですねぇ。最近、ブツブツと独り言を言っている事が多いって、報告が寄せられています。それに『話をして欲しい』とお願いされたから来たんですよ?ねぇ、アレク」
「あぁ」
相変わらず兄上は口数が少ないな。
「で、結局、何を悩んでいるんです?」
「・・・ぃ」
「はい?もう一度お願いします」
「っ!罪を償うにはどうしたらいいんだっ?」
「え?罪を償う、ですか?
カイウスはこの塔に入ってから、ずっと償ってきたんじゃないんですか?」
「違うっ!それは俺が犯した罪に対する罰だ。
そうじゃない。そうじゃないんだ。
俺の所為で死んだ二人にどう償えばいいのかが何度考えてもずっと分からないっ!
どうすればいい?どうしたら、俺は、俺に、出来ることは、、、」
思わず怒鳴るように叫べば、兄上が庇うように後ろからサーヤを抱え込む。
「アレク、大丈夫ですよ。聞いていた通りですね。
カイウスは自分では気が付いていないみたいですけど、ずっとそうやってブツブツと呟いているそうですよ」
サーヤが椅子に座り俯いたままの俺と目線を合わせようと近づき腰を下ろした。
「は?俺が?」
「えぇ、配膳に来る人、衛兵、それから、、、。意外と皆に心配されているんじゃないですか?」
「まさか」
俺を心配する者がいるなんてそんな訳がない。
そう続けようとしてと口を開きかけると、サーヤがポンと手を打った。
「あ、そうそう!魔術師の人にも言われました。水晶を受け取りに来ませんでした?
その人にも何とかしてくれ、と怒られました。『現実逃避させるな。あんなんじゃ罰にならない。』だっけかな」
サーヤの言葉を聞いて納得する。やはり俺を心配するものなんていない。
俺は一生許されることなんてないのだ。
「なぁ。お前、俺の処刑を国王陛下に頼んでくれないか。この塔で毒杯を飲んで死ねば、きっと病死で片付けてくれるだろう。
最初からそうすべきだったんだ。
人を殺したなら死を以って償うのが当然だ。王族だから、と罰を甘くする必要なんてなかっ」
最後まで言い切る前に、俺の顔に衝撃が走り椅子から転げ落ちた。
何が、、、起きたんだ?
サーヤが、俺を、殴った?
ダン、ダンッ、ダン!!
呆然とする俺の前でサーヤが立ち上がり、怒りに任せて床を右足で思いっきり踏み鳴らしている。
「バカッ!本っ当にバカですよ、カイウス様は!!
何で四年も掛けて出した答えがそれなんですかっ。というか、売り言葉に買い言葉みたいに今、思い付きで言っただけでしょう?
一体、何を反省して、どう後悔して、あの二人の為に何が出来るかを考えたんですかっ!
王族だから罰を甘くした?んな訳無いじゃないですか。
カイウス様は何にも分かってない!
あの二人が死んだのは確かにカイウス様の所為ですけど、後悔している人はカイウス様だけだと思っていたんですか?
それで一人で『どう償えば?』なんてグチグチと考えているつもりで、毎日ブツブツと意識飛ばして呟いてたって、どんだけ、どんだけ、、、」
顔を真っ赤にして、一気に言葉を吐き出し、何かを堪えるように歯を食いしばっているサーヤを見て俺は理解した。
「あぁ、お前も俺を恨んでいるんだな」
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
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