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ハドソン領 花街道(仮)編 ワトル村
ワトル村活性化計画(裏) 3
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「いきなりそんな事を聞いてどうしたんだ?」
「今までの話と関係あるから聞いているの!早く答えてよ」
「私は6歳の頃でしたね。私の家は田舎の男爵家で育ちましたから、剣術を習い始めたのは遅い方かも知れません」
「・・・俺は3歳か4歳?上に兄弟が2人いたから。いつも兄貴たちが剣術の稽古をやっている時に一緒になって木の棒を振ってた」
ん?何気にクリスの子どもの頃の話を聞くのって初めて?
何となくクリス自身に事や家族の話を聞きづらくて聞いてなかったんだよねぇ。
貴族出身っぽいなぁ、とは前から思っていたけれど、今の話からするとやっぱり貴族だったのは確定、かな?
詳しく聞きたい気もするけど、プライベートな話は本人がしたがらないなら聞かない方が良いよね。
「やっぱり2人とも子どもの頃から習ってたんだね。その時に使うのはやっぱり木剣なんだよね?
その木剣は子ども用だとは思うけど、長さとか重さとかの基準があるのかな?それとも手作りとかの適当なもので良いの?」
「適当、ではないが、子どもの背丈や腕の力とかに合わせてだな。騎士の名門の家なんかは最初からきちんとした物を与えたりする事もあるらしいが、親の手作りを使っていたヤツも結構いると思うぞ」
「そうですね。子ども用の木剣は武器屋でも置いていない場合もありますし、我が家の場合は庭師が手先が器用な者でしたので、大人用の木剣を真似て適当な木で作ってくれましたね」
やっぱり子ども用の木剣は、法で明確な基準などを決められているとかじゃないんだ。
だったら好きに作って売っても大丈夫だよね?
「木剣の事を聞きたかったようですが、もしかしてティアナさんが依頼する予定の食器と同じように、子ども用の木剣を作って販売したい、という事ですか?」
あ~、惜しいね。木剣を売りたいのは当たっているけど、使用目的というか販売目的がちょっと違うんだよね。
「木剣を売りたい、というのはアシュトンさんの言う通りなんですけれど。木剣であって木剣でないような、そんな感じのお土産品として売り出したらどうかと思いついたんです」
「木剣であって木剣でないような・・・」
「なんだよ、それ。木剣は木剣だろう?」
ま、そう思うよねぇ。でも、私がイメージしているのは前世のアレなんだよね。
おもちゃ屋やお祭りの時に、よくおもちゃの刀が売っていたよね?
それを小さい男の子は欲しがって、男の子のいる家庭って一度は家にあったんじゃないかな?
養護施設のおもちゃ箱にも入っていたし、男の子たちはそれでよく遊んでいたんだよね。
し・か・も!
中学生、高校生になっても、修学旅行先でお土産屋さんで木刀を買う男子が何人もいるんだよ。剣道をやっているとかじゃなくてさ。
それでうちの高校では、修学旅行の前に先生から『土産で木刀を買うのは禁止』という注意があったんだよねぇ。
それを聞いた女子たちは鼻で笑ってたんだけど、それでもこっそりと木刀を買っている男子が何人かいて、後で先生に没収されてたっけ。
「お土産屋さんに子ども向けの木剣が置いてあったら男の子だったら欲しくならない?
本格的な物ではなくて、すごく軽い素材で作ったりすればおもちゃ感が出るだろうし」
「それは・・・確かに欲しがるかも知れませんね」
「そうか?ただの木剣だぞ?わざわざ観光している時に欲しがるか?」
まぁ、普通に考えたら欲しがるとは思えないよねぇ。
でもね。お店にあったら意外に欲しくなっちゃうんだよ。特に普段とは違う旅行先で、というのがポイントなんだよ。
だって中高の男子生徒たちだって、普段から木刀を欲しがっていた訳じゃないんだよ?
こういうのはノリなんだよ。旅先という気持ちがふわっふわして浮かれている時に、ちょっとノリで買いたくなっちゃうもんなの。
それで旅行が終わったら部屋の隅にひっそりと立てかけられてたり、お母さんが洗濯物を干したり取り込んだりする時の道具とかの便利グッズにされちゃうオチがつくものなんだよ。
平民の子どもたちは剣術の稽古なんて無いから、騎士に憧れて・・・という純粋な気持ちで欲しがるかも知れない。それはそれで良いと思う。
「欲しがるかも知れないし欲しがらないかも知れない。だけど置いてみる価値はあると思わない?
それにね。ただの木剣じゃなくて、よく物語で伝説の剣とか聖剣とか出てくるじゃない?
そういう感じの剣をイメージした木剣にしたり、剣を握る部分とか鍔?とかそういう部分をドラゴンっぽい模様とか狼みたいな模様とか、宝石代わりに色のついたガラスを嵌め込むとか。
とにかくカッコよく見えちゃう意匠で作ったら売れるんじゃないかなぁと思うんだよね」
ちょっと言葉にすると語彙力と表現力が無さすぎてカッコ良くは聞こえないかもしれない。だけどドラゴンを格好良いと思ったりする子たちには魅力的に見えるんじゃないかなぁ。
それに宝石っぽいキラキラした物が付いてたら良い感じに見えない?
「「それは売れるな(売れますね)」」
ありゃ?もしかしてこの2人も修学旅行に行ったら木刀を買っちゃうタイプ?
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
「今までの話と関係あるから聞いているの!早く答えてよ」
「私は6歳の頃でしたね。私の家は田舎の男爵家で育ちましたから、剣術を習い始めたのは遅い方かも知れません」
「・・・俺は3歳か4歳?上に兄弟が2人いたから。いつも兄貴たちが剣術の稽古をやっている時に一緒になって木の棒を振ってた」
ん?何気にクリスの子どもの頃の話を聞くのって初めて?
何となくクリス自身に事や家族の話を聞きづらくて聞いてなかったんだよねぇ。
貴族出身っぽいなぁ、とは前から思っていたけれど、今の話からするとやっぱり貴族だったのは確定、かな?
詳しく聞きたい気もするけど、プライベートな話は本人がしたがらないなら聞かない方が良いよね。
「やっぱり2人とも子どもの頃から習ってたんだね。その時に使うのはやっぱり木剣なんだよね?
その木剣は子ども用だとは思うけど、長さとか重さとかの基準があるのかな?それとも手作りとかの適当なもので良いの?」
「適当、ではないが、子どもの背丈や腕の力とかに合わせてだな。騎士の名門の家なんかは最初からきちんとした物を与えたりする事もあるらしいが、親の手作りを使っていたヤツも結構いると思うぞ」
「そうですね。子ども用の木剣は武器屋でも置いていない場合もありますし、我が家の場合は庭師が手先が器用な者でしたので、大人用の木剣を真似て適当な木で作ってくれましたね」
やっぱり子ども用の木剣は、法で明確な基準などを決められているとかじゃないんだ。
だったら好きに作って売っても大丈夫だよね?
「木剣の事を聞きたかったようですが、もしかしてティアナさんが依頼する予定の食器と同じように、子ども用の木剣を作って販売したい、という事ですか?」
あ~、惜しいね。木剣を売りたいのは当たっているけど、使用目的というか販売目的がちょっと違うんだよね。
「木剣を売りたい、というのはアシュトンさんの言う通りなんですけれど。木剣であって木剣でないような、そんな感じのお土産品として売り出したらどうかと思いついたんです」
「木剣であって木剣でないような・・・」
「なんだよ、それ。木剣は木剣だろう?」
ま、そう思うよねぇ。でも、私がイメージしているのは前世のアレなんだよね。
おもちゃ屋やお祭りの時に、よくおもちゃの刀が売っていたよね?
それを小さい男の子は欲しがって、男の子のいる家庭って一度は家にあったんじゃないかな?
養護施設のおもちゃ箱にも入っていたし、男の子たちはそれでよく遊んでいたんだよね。
し・か・も!
中学生、高校生になっても、修学旅行先でお土産屋さんで木刀を買う男子が何人もいるんだよ。剣道をやっているとかじゃなくてさ。
それでうちの高校では、修学旅行の前に先生から『土産で木刀を買うのは禁止』という注意があったんだよねぇ。
それを聞いた女子たちは鼻で笑ってたんだけど、それでもこっそりと木刀を買っている男子が何人かいて、後で先生に没収されてたっけ。
「お土産屋さんに子ども向けの木剣が置いてあったら男の子だったら欲しくならない?
本格的な物ではなくて、すごく軽い素材で作ったりすればおもちゃ感が出るだろうし」
「それは・・・確かに欲しがるかも知れませんね」
「そうか?ただの木剣だぞ?わざわざ観光している時に欲しがるか?」
まぁ、普通に考えたら欲しがるとは思えないよねぇ。
でもね。お店にあったら意外に欲しくなっちゃうんだよ。特に普段とは違う旅行先で、というのがポイントなんだよ。
だって中高の男子生徒たちだって、普段から木刀を欲しがっていた訳じゃないんだよ?
こういうのはノリなんだよ。旅先という気持ちがふわっふわして浮かれている時に、ちょっとノリで買いたくなっちゃうもんなの。
それで旅行が終わったら部屋の隅にひっそりと立てかけられてたり、お母さんが洗濯物を干したり取り込んだりする時の道具とかの便利グッズにされちゃうオチがつくものなんだよ。
平民の子どもたちは剣術の稽古なんて無いから、騎士に憧れて・・・という純粋な気持ちで欲しがるかも知れない。それはそれで良いと思う。
「欲しがるかも知れないし欲しがらないかも知れない。だけど置いてみる価値はあると思わない?
それにね。ただの木剣じゃなくて、よく物語で伝説の剣とか聖剣とか出てくるじゃない?
そういう感じの剣をイメージした木剣にしたり、剣を握る部分とか鍔?とかそういう部分をドラゴンっぽい模様とか狼みたいな模様とか、宝石代わりに色のついたガラスを嵌め込むとか。
とにかくカッコよく見えちゃう意匠で作ったら売れるんじゃないかなぁと思うんだよね」
ちょっと言葉にすると語彙力と表現力が無さすぎてカッコ良くは聞こえないかもしれない。だけどドラゴンを格好良いと思ったりする子たちには魅力的に見えるんじゃないかなぁ。
それに宝石っぽいキラキラした物が付いてたら良い感じに見えない?
「「それは売れるな(売れますね)」」
ありゃ?もしかしてこの2人も修学旅行に行ったら木刀を買っちゃうタイプ?
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
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