2 / 12
ついでにやってもいない悪事も暴かれました
しおりを挟む
「レオンハルト!お前は今までマリエッタ嬢の何を見てきたのだっ!
それをっー」
「あっ!流石です、陛下!
このスキル無しのマリエッタは、癒しのスキル持ちのルナティアを妬み、陰で彼女を虐めていたのです!
そんな卑しい心根を持つ彼女に王子妃が務まる訳がありません」
『陛下、良い事を言った!』みたいな表情で、レオンハルト殿下が言っているわ。
馬鹿だ、馬鹿だと思ってはいたけれど、ここまで馬鹿だったとはね。
と、レオンハルト殿下たちを除く招待客の心が一つになった瞬間でした!
か、どうかは知りませんけれど。
周囲からため息が聴こえてくるので、概ね同じ気持ちなのではないかしら?
「レオンハルト殿下、婚約破棄については相性の良し悪しというものもありましたので、私としても殿下のお申し出をお受け致しますわ。
けれど、私が彼女を虐めていた、という戯言はキッチリと否定させて頂きます」
チラリと視線をお父様に向ければ、お父様は無言で頷いている。
これだけの観客が居るのだから、証人も簡単にお願い出来るわよね。
帰る頃には国王陛下たちが何と言おうと、婚約解消の書類にサインするしかない状況に持っていくつもりなのだわ。
それは良いのですけれど、私が彼女を虐めていた!なんて、下らない作り話は否定するだけではなく『冤罪』であると、彼らにも夜会の招待客の方々にも認めさせないといけません。
「レオンハルト殿下、私が彼女を虐めていたという話は一体、どこからお聞きになったのです?
私は王子妃となる身でしたので、常日頃、王家の影が私には付いていた筈です。
その者に確認を取れば、私が虐めなどしてはいない事は簡単にお分かりになったでしょう?」
王家の影が付いているのは私にだけではなく、レオンハルト殿下も同じなのですけれどね。
四六時中、彼女と一緒に居る殿下は、彼女が一体、いつ、私に虐めを受けていたのか?という疑問は持たなかったのしら?
「その王家の影が証人だっ!さあ、証人よ、こちらに来てくれ」
「はぁっ?」
淑女にあるまじき言動だった事は反省していますわ。
けれど、そんな言葉が出てしまったのも仕方のない事だと思いますの。
だって会場の皆様も王族の方々も、まさかの証人に目を丸くして驚いていますわね。
王家の影は私にもレオンハルト殿下にもついていますが、私たちの前に現れる事も無ければ接触してくる事もなく、それが誰かというのも知らされる事の無い存在なのです。
それが証人としてこの場に出て来るの?
それって王家の影として失格じゃない?
と、まぁ、誰もがそう思いますわよね。
だってそうでなけば、王家の影の意味がありませんもの。
「あっ、ちょっと済みませ~ん。前を通して下さぁ~い」
と、なんとも軽い口調で招待客の後方から歩いて私たちが居る中央に出て来たのはー。
黒い頭巾を被って顔を隠した全身黒ずくめの男性でした。
男性と分かったのは声と体格からですが、もう私を始め皆様、絶句です。
この怪しい姿の男性は、夜会が始まった時から実は会場の隅に居たんですのよ?
何故、その事を私が知っているのかといえば、彼が居る場所だけポッカリと半径二メートル程の空間が出来ていたからです。
本当によくもあの格好で、会場内に居る騎士たちに、何故、捕縛されないのか?と、不思議に思っていたのです。それは他の方々も同じ想いだったでしょう。
きっと前もってレオンハルト殿下が根回しをしていたのでしょうね。
でもまさか、あんな格好のまま器用に飲み食いしていた不審者が王家の影、だなんて誰が信じると思っているのでしょう。
堂々と王家の夜会に最初から参加して、飲み食いしている王家の影なんて居ます?
というか、王家の影の意味を分かっているのかしら?
呆れに近い疑問ばかりが次々と浮かんで来るのですが。
あっ!
国王陛下の、私と殿下を何としても結婚させようとする心が、とうとうポッキリと折れたようですわ!
あれが世にいう絶望した表情、というものなのだわっ!
小説なんかではよく使われている表現ですけれど、現実でもああいう表情って本当に出来るのねぇ。
「サンっ・・・王家の影君!君が見た事をこの会場にいる皆にも知らせてくれっ」
・・・今、サンなんとかって言いそうになりませんでした?
しかも王家の影君て・・・。
あぁ、彼はルナティア嬢の取り巻きの一人で、レオンハルト殿下たちのパシリ、と学園の生徒たちに言われているサントス男爵令息なのね。
「あ~、ハイハイ。
私がマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢の監視をしている王家の影です。
皆様、以後お見知りおきを!」
・・・・彼、本当の王家の影の人たちの怒りを買って消されてしまわないかしら?
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
それをっー」
「あっ!流石です、陛下!
このスキル無しのマリエッタは、癒しのスキル持ちのルナティアを妬み、陰で彼女を虐めていたのです!
そんな卑しい心根を持つ彼女に王子妃が務まる訳がありません」
『陛下、良い事を言った!』みたいな表情で、レオンハルト殿下が言っているわ。
馬鹿だ、馬鹿だと思ってはいたけれど、ここまで馬鹿だったとはね。
と、レオンハルト殿下たちを除く招待客の心が一つになった瞬間でした!
か、どうかは知りませんけれど。
周囲からため息が聴こえてくるので、概ね同じ気持ちなのではないかしら?
「レオンハルト殿下、婚約破棄については相性の良し悪しというものもありましたので、私としても殿下のお申し出をお受け致しますわ。
けれど、私が彼女を虐めていた、という戯言はキッチリと否定させて頂きます」
チラリと視線をお父様に向ければ、お父様は無言で頷いている。
これだけの観客が居るのだから、証人も簡単にお願い出来るわよね。
帰る頃には国王陛下たちが何と言おうと、婚約解消の書類にサインするしかない状況に持っていくつもりなのだわ。
それは良いのですけれど、私が彼女を虐めていた!なんて、下らない作り話は否定するだけではなく『冤罪』であると、彼らにも夜会の招待客の方々にも認めさせないといけません。
「レオンハルト殿下、私が彼女を虐めていたという話は一体、どこからお聞きになったのです?
私は王子妃となる身でしたので、常日頃、王家の影が私には付いていた筈です。
その者に確認を取れば、私が虐めなどしてはいない事は簡単にお分かりになったでしょう?」
王家の影が付いているのは私にだけではなく、レオンハルト殿下も同じなのですけれどね。
四六時中、彼女と一緒に居る殿下は、彼女が一体、いつ、私に虐めを受けていたのか?という疑問は持たなかったのしら?
「その王家の影が証人だっ!さあ、証人よ、こちらに来てくれ」
「はぁっ?」
淑女にあるまじき言動だった事は反省していますわ。
けれど、そんな言葉が出てしまったのも仕方のない事だと思いますの。
だって会場の皆様も王族の方々も、まさかの証人に目を丸くして驚いていますわね。
王家の影は私にもレオンハルト殿下にもついていますが、私たちの前に現れる事も無ければ接触してくる事もなく、それが誰かというのも知らされる事の無い存在なのです。
それが証人としてこの場に出て来るの?
それって王家の影として失格じゃない?
と、まぁ、誰もがそう思いますわよね。
だってそうでなけば、王家の影の意味がありませんもの。
「あっ、ちょっと済みませ~ん。前を通して下さぁ~い」
と、なんとも軽い口調で招待客の後方から歩いて私たちが居る中央に出て来たのはー。
黒い頭巾を被って顔を隠した全身黒ずくめの男性でした。
男性と分かったのは声と体格からですが、もう私を始め皆様、絶句です。
この怪しい姿の男性は、夜会が始まった時から実は会場の隅に居たんですのよ?
何故、その事を私が知っているのかといえば、彼が居る場所だけポッカリと半径二メートル程の空間が出来ていたからです。
本当によくもあの格好で、会場内に居る騎士たちに、何故、捕縛されないのか?と、不思議に思っていたのです。それは他の方々も同じ想いだったでしょう。
きっと前もってレオンハルト殿下が根回しをしていたのでしょうね。
でもまさか、あんな格好のまま器用に飲み食いしていた不審者が王家の影、だなんて誰が信じると思っているのでしょう。
堂々と王家の夜会に最初から参加して、飲み食いしている王家の影なんて居ます?
というか、王家の影の意味を分かっているのかしら?
呆れに近い疑問ばかりが次々と浮かんで来るのですが。
あっ!
国王陛下の、私と殿下を何としても結婚させようとする心が、とうとうポッキリと折れたようですわ!
あれが世にいう絶望した表情、というものなのだわっ!
小説なんかではよく使われている表現ですけれど、現実でもああいう表情って本当に出来るのねぇ。
「サンっ・・・王家の影君!君が見た事をこの会場にいる皆にも知らせてくれっ」
・・・今、サンなんとかって言いそうになりませんでした?
しかも王家の影君て・・・。
あぁ、彼はルナティア嬢の取り巻きの一人で、レオンハルト殿下たちのパシリ、と学園の生徒たちに言われているサントス男爵令息なのね。
「あ~、ハイハイ。
私がマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢の監視をしている王家の影です。
皆様、以後お見知りおきを!」
・・・・彼、本当の王家の影の人たちの怒りを買って消されてしまわないかしら?
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
304
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。
お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます
碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」
そんな夫と
「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」
そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。
嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる