知らないけど、知ってる【顔も知らない旦那様改定版】

ゆうゆう

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「私の結婚について。
でしょうか?」
私の言葉に注目が集まる中、ナーディア様が大きく頷く。
「は、はい その事です」


「リディアーヌ様、まさか噂は本当でしたの?」

今度は私の左隣のグレイス様が話に入ってきました。

「そうですね、まだ正式には国王陛下にご挨拶をしていませんが、ご報告だけは父の方からしていると思います」

ニッコリと笑顔で答える。


「それはお相手の方がこの国にいらっしゃらないから?」

「なんでも、他国に武者修行に出ている方とか…」

「あら、私は東の大陸の戦争にまきこまれて帰って来れないと聞いたわ」

「あら?そんな方とどうやって結婚が出来るの?」

「私は、相手は王家の隠密で各地を転々とされていると聞きましたわよ」



は?は?はい?
ちょっと待ってください。
誰の事を言っているのかしら?
え?
テオバルド様の話ですよね?

ひとつも正しい話がないのね。
恐るべし噂話。

「どれが正解?」
「「何が本当ですの?」」

皆一斉に私を見て言います。
このテーブルには質の悪い噂好きの令嬢はいないけれど、それでもこんなに皆さんが食いついて来るとは…

「どれも違います」
私はため息と共に訂正する。

「お相手はロエベ子爵令息のテオバルド様です。
皆さんの言われる通り今この国を不在にされていますので、国王陛下と王妃様にはまだ二人揃ってご挨拶ができておりませんの。
御披露目パーティーもまだお預けですわ」


「まあ、あのロエベ商会を持つロエベ子爵家のご子息でしたの」

「失礼ですが、私はロエベ子爵令息を存じませんわ。
どんな方ですの?」

「私も… 社交の場でお見かけした記憶がないですわ。
リディアーヌ様より歳上の方なら社交界デビューはされていますわよね?」


テオバルド様の事は私も知らなかったけど、私だけではなかったのね。

私は何と答えようか考えていると

「誰も知らない子爵令息なんて、本当に存在する方なのかしら?」

私の後ろから声が聞こえてきました。
    
声だけでも、誰だかわかる。
今日は別のテーブルでホッとしていたのに、わざわざ席を立ってまで絡みにくるなんて。


皆私の後ろに立っている人物を注目しています。

「イライザ…」

「リディアーヌ様、いもしない相手をでっち上げて結婚したなんて言っているのではなくって?」

私が一番相手にしたくない面倒臭い令嬢…イライザ・デボラ。
彼女も伯爵家の令嬢だが、何かにつけて私を敵対視する。

「国王陛下にも報告しているのに、嘘なわけないでしょう?」
私はため息と共にいいます。

「ふん! 仮に結婚が本当でも、きっとろくでもない相手なんでしょ?
誰も知らない子爵令息なんて」

「デボラ伯爵令嬢、失礼ですわよ」
ナーデア様がイライザを嗜めます。


「ミンティア伯爵令嬢は黙っててくださいます?
私はリディアーヌ様に言っているのですわ」

ここにいるのは皆伯爵家の令嬢。
本当は古くからの家門や伯爵家の規模などで上下関係はあるのですが、いつもイライザは自分の方が上の様に振る舞います。

ルビアがいるとそうはいかないのだけれど…
彼女は侯爵令嬢だからね。

ルビアの様子を伺ってみると
、ちょうど王妃様へ挨拶に行っている所です。


これは自分で対処するしかないけれど、あまり騒いでは王妃様に失礼だしどうしたものか…

何せ話の通じない人なので、相手をするのも疲れるのです。



「だいたいあなた程度の令嬢で良いなんて、お相手の方も趣味がよろしいのね~。
お顔を見てみたいわ。
是非ともご紹介くださいます?」


「イライザ様、私先ほども申しましたが、テオバルド様はこの国を不在にされていますのよ。
あなたも後ろから聞いていたのでしょう?」


「だから、それが怪しいって言っておりますのよ。
一体何処にいらっしゃるの?
普通結婚されるのであれば、戻ってくるのではないの?
夫不在で結婚って信じられないわ」

珍しく正論だわ。
それは私もちょっとは同意したくなる所だから、反論出来ない。

でも、そこはいろいろと都合があるのだからしょうがないじゃない。

「それは家同士の都合がありますのよ。
あなたに関係のない事だし、分かって下さらなくても結構よ」


「まぁ!関係ないなんて、私達お友達でしょう?
心配して言ってあげてるのに…
家同士の結婚っていいましたわね。
そう… 本当はロエベ子爵に息子何ていないのでは?
ああ、分かったわ!
あなたロエベ子爵の第二夫人になったのでしょう?」

「なっ!」
イライザの言葉に絶句する。


「デボラ伯爵令嬢!なんて事を」

「失礼すぎます!」

回りの皆が口を揃えて非難してくれるけど、イライザはどこ吹く風です。


その時…

「やれやれ、凄い憶測をするものだ。
テオバルドはちゃんと実在するよ。
私の友人だからね」

「誰ですの?」
イライザが後ろを振り向くと何とそこには第二王子のアーサー殿下が立っておられました。

「第二王子殿下…
どうして…」
イライザは今の話を聞かれていた事に狼狽えます。

この子自分が見下した者に対しては凄い強気だけど、権力には弱いのです。


「どうしてここにいるかって?
それは友人のテオバルドの結婚相手に挨拶するためさ」

「テオバルド様が殿下のご友人ですか?」
私もびっくりして不敬にも挨拶もせず質問してしまいました。

アーサー殿下は私の無礼には目をつぶって下さったようで、私の前に来て笑いかけて下さいました。


「そうだ、テオバルドとは一番仲の良かった学友でね。
あいつはずいぶん優秀な男だった。
だから今、かの国で頼りにされているのだろう」

アーサー殿下はテオバルド様の今の状況にお詳しい様です。

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