王女殿下は家出を計画中

ゆうゆう

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ベリンデル北部 港町ロビア

青い空の下、白い帆を張る大きな客船が出発しようとしていた。

「出港だ! 碇をあげろ!」

船員は慌ただしく出港準備をして、上船客は港を見下ろし、見送りの人々と別れを惜しむ。

反対側の甲板には人影はなく閑散としていたが、唯一1人の少女が海を眺めていた。


少女の姿は貴族令嬢のそれではなかった。


肩にとまっている青い鳥が少女に話しかける
《シルビア どこ行くの?》

「この先にある別の大陸だよ
この船に乗っていくの」

《ふーん あっちの方は、竜がいっぱい飛んでいくんだよ》

「へーそうなんだ、アレクサよく知っているじゃない」


そんな他愛もないことを話しながら、船が動き出すのを眺めていた。

今の私はシルビア王女には見えない。
栗色の腰まであった髪は肩までバッサリ切った。
色も黒だ。これから行く国で一番多い色だから。
瞳も紫から緑に変えた。



あの日崖から落ちたのは私の分身だった。下の川に落ちる瞬間魔法を解いて分身を消す

本当の私はそれを下から見ていたのだ。

あれからの事はこっそり、スパイ(諜報)魔法や分身を侍女に潜り込ませて、見守っていた。

捕らえられたイザベラ様は、お兄様に追及されて、お母様に魔法をかけて殺そうとしたことを認めました。

そして私を手にかけたのを大勢に目撃されたことで、言い訳すら出来なくなり、お父様直々に死刑宣告を受けました。
「貴様のような最低の女を側妃にしなければ、愛する妻も娘も失わずにすんだものを」
とお父様に言われ、絶望したイザベラ様は斬首される前から放心して、何も現実を見なくなっていた。

これでお母様の仇は討てた。

私が生きている事はお姉様しか知らない。

そのお姉様も私のわがままを聞いて秘密にしてくれている。

これからが私の人生の始まりだ。
もう魔法も隠さないで好きに生きていこう。

この海を渡り、予定通り
グリーズエアへ行く。

どんな人たちがいるのだろう
楽しみだわ

「アレクサがいてくれて、よかった。
1人は寂しいものね」

《アレクサはいつも一緒~》

「うん。2人で楽しく行こうね」



       第一部 完



━━━━━━━━━

最後までお付き合い頂きありがとうございます。

一旦終了といたします。

また第二部グリーズエア編も
投稿したいと思いますので
次回もよろしくお願いします。
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みんなの感想(16件)

とまとさん
2021.11.09 とまとさん
ネタバレ含む
解除
Conanlove
2021.10.13 Conanlove

第一部完結おめでとう御座います~お疲れ様でした~引き続き第二部を期待して待っていますね~頑張って下さいね~続き楽しみに待っています~😆

解除
Conanlove
2021.10.13 Conanlove
ネタバレ含む
解除
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