カランコエの咲く所で

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「側にいて欲しい。ただそれだけを望むよ、俺は」


ゲルハルトはそう言って俺の頭を撫でた。


「一気に話過ぎたね。一旦休憩しようか」


「あ、あぁ……」


『側にいて欲しい』
それだけで、本当に良いのだろうか。
ジョゼも同じことを言っていたが、それはゲルハルトにとってどんな意味を持つのか俺には分からない。
分からないが、ゲルハルトが望んでいる間はそうしようと思う。

俺の膝の上に顎を乗せて寝ようとしているジョゼを撫で、キッチンへと向かったゲルハルトの背中に目を向ける。
俺が亡くなってから五年。
転生してから五年。
その間に起きた出来事を知らないものが多い。


「………ゲルハルトのご家族は、健在か？」


視線をそのままに小声でジョゼに問い掛ければ、ジョゼはキョトンとした顔で俺を見たあとに頷いた。


「うん。何で？」


「いや………ゲルハルトのご家族に限ったことじゃなく、俺は知らないことが多いなと思ってな。能力開花ばかりに拘って、特訓ばっかりしていて他のところに目を向けもしなかったなって」