新しい道を歩み始めた貴方へ

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道端で話すと誰が聞いているか分からないため、一旦、職場に向かうことにした。
その間にも『小さい』だの『お前にもこんな時代があったのか』とかアンリが染々と言ってきたが、聞こえないフリをした。

人間誰しも幼少期ってのはあるわけで、急に大人になるわけがない。
逆に大人だった人間が急に子供になることなんてあるわけがない。
あるとしたら、それはマナを利用して俺の身体を縮めた人物がいるということ。
だからアンリは俺に『恨まれでもしたか』と問いかけてきたわけだ。
もし本当にそうだとすれば、本来のマナの使い方ではないため違法行為となり、国を取り締まっている憲兵に届け出れば犯人を逮捕して貰えるだろう。
そして、その人物になら元の姿に戻して貰えるはず。


「ほら、着いたぞ」


アンリの声に視線を上げれば、そこにはいつもと変わらない職場があった。
変わってしまったのは俺だけなのだと、改めて感じてしまうな。


「………あぁ」


俺の働いているこの店はマナを使用して造り出した宝石を製造、販売をしている店で、社長であるアンリとアンリの奥さんであるローカル、そして俺との3人で経営している。
アンリに続き中へと入っていけば、いつもと変わらず店内を清掃しているローカルの姿があった。
俺も本来であれば清掃を手伝って、作りかけていた宝石の製造作業をするつもりだったのにな。