きっと、君は知らない

mahiro

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俺が住んでいるのは人里離れた山奥にある小さな小屋だ。
そこに訪れる人はいない。
たまに間違えて入り込んで来る人がいるが、俺が出ていくと慌てて去っていく。
日本に住んでいたときもそうだが、今の俺も人相が悪いらしく、ただ見てるだけで睨み付けていると勘違いされてしまうのだ。
たちの悪い人に当たると喧嘩を売られることもしばしばある。
それが原因で以前の俺は素行が悪いと周りには言われ、入っていた部活は追い出されてしまった。
今回も小さい頃に住んでいた場所を追い出され、たまたま見つけた小屋にひとりで暮らしているのだ。


「あれ……」


ふっと家の前を見てみると何か大きなものがドアの前にあるのが見えた。
何だあれは、と恐る恐る近付いてみると、大きな犬?狼?のようなものが丸くなっていた。
全身ダークグレーの毛に覆われたそれは目を閉じているが、大きな耳が動いているのが見える。
どうしたものか……この動物が退かないと家に入れないのだが、とじろじろと動物を見ていると動物の前足に傷があるのが見えた。
もしかして、怪我をして動けないのか?


「なぁ、もしかして動けないのか?」


近付いてそう声をかけると、その動物は閉じていた目蓋を開け、俺に唸り声を上げた。
唸りはするが、やはり足が痛いのか動きはしない。
俺は巻いていたマフラーを外して動物に近づき、ポケットに入っていた消毒液を怪我している部分にかけ、マフラーをきつく巻き付けた。
その間も動物は唸り、吠えていたが、暴れたり噛みついたりすることはなかった。


「痛かったよな。ほら、もう大丈夫だぞ」


よしっと頭を軽く撫で、立ち上がると動物は俺と左前足を交互に見た後、お礼をするかのようにすり寄って来た。


「何だ?お礼か?気にすんなよ」


可愛いな、とふさふさで柔らかな毛を撫でた後、小屋のドアを開けると何故か動物まで家の中に入っていた。

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