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【番外編】
葉月の誕生日 上
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もうすぐ葉月の誕生日だ。
昨年は祝いそこなったから、初めて誕生日を祝うことになる。さらに入籍してから初のイベントだ。
葉月を喜ばせてやりたい。
しかし、なにを贈ったら喜ぶんだ?
夜になっても暑さが残る繁華街をそぞろ歩きながら考える。
ショーウィンドウには華やかな服やバッグ、ジュエリーが並んでいる。
実際、今までの女は高級なレストランに連れていき、ねだられるままにブランドもののアクセサリーやバッグを買ってやった。
だが、そんなものは葉月にはまったく響かないだろう。葉月の日常にありふれたものだし、物欲のない彼女のことだ、これ以上、物を増やしたいとも思っていないだろう。
もちろん、俺が贈るものはなんでも喜んでくれるとは思う。
(でも、そうじゃないんだ)
葉月が顔を輝かせるのが見たいんだ。
なにがいいんだ?
スマホで検索しても、出てくるのは、アクセサリー、時計、財布、カバン……、そうした小物だ。
ちょうど目に入ったランジェリーショップに、下着も検討してみる。
(いや、俺が楽しいだけだな)
これも違うと首を振る。
まいったな。この歳になって、こんなに悩むとは。
髪を掻き上げ、苦笑する。
千里以外に心を砕く相手ができるとは思ってもみなかったから、経験値がなさすぎる。
今度は花屋が目に入った。
花か……。今まで考えた中では一番、葉月が喜びそうだな。
そう思うものの、やはりありきたりすぎて、物足りない。
(買うのはあきらめて、なにかを作るか?)
ケーキでも作ってやったら、葉月は目を輝かせそうだ。
そうか、この方向か!
考えを練っていき、心を決めると、葉月のいない間に試作を繰り返した。
まもなく完璧な仕上がりになり、自分でも惚れ惚れする。
天才じゃないか、俺は。
あとは当日を待つだけだ。
昨年は祝いそこなったから、初めて誕生日を祝うことになる。さらに入籍してから初のイベントだ。
葉月を喜ばせてやりたい。
しかし、なにを贈ったら喜ぶんだ?
夜になっても暑さが残る繁華街をそぞろ歩きながら考える。
ショーウィンドウには華やかな服やバッグ、ジュエリーが並んでいる。
実際、今までの女は高級なレストランに連れていき、ねだられるままにブランドもののアクセサリーやバッグを買ってやった。
だが、そんなものは葉月にはまったく響かないだろう。葉月の日常にありふれたものだし、物欲のない彼女のことだ、これ以上、物を増やしたいとも思っていないだろう。
もちろん、俺が贈るものはなんでも喜んでくれるとは思う。
(でも、そうじゃないんだ)
葉月が顔を輝かせるのが見たいんだ。
なにがいいんだ?
スマホで検索しても、出てくるのは、アクセサリー、時計、財布、カバン……、そうした小物だ。
ちょうど目に入ったランジェリーショップに、下着も検討してみる。
(いや、俺が楽しいだけだな)
これも違うと首を振る。
まいったな。この歳になって、こんなに悩むとは。
髪を掻き上げ、苦笑する。
千里以外に心を砕く相手ができるとは思ってもみなかったから、経験値がなさすぎる。
今度は花屋が目に入った。
花か……。今まで考えた中では一番、葉月が喜びそうだな。
そう思うものの、やはりありきたりすぎて、物足りない。
(買うのはあきらめて、なにかを作るか?)
ケーキでも作ってやったら、葉月は目を輝かせそうだ。
そうか、この方向か!
考えを練っていき、心を決めると、葉月のいない間に試作を繰り返した。
まもなく完璧な仕上がりになり、自分でも惚れ惚れする。
天才じゃないか、俺は。
あとは当日を待つだけだ。
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