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第一章 ― 優 ―
綺麗な寝顔⑤
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ひらひら手を振って、真奈美先輩が出ていった。
今日はなにか用があったのかな?
いつもはもっと遅い時間に来ているみたいなのに。私が帰る寸前か帰ったあとに。
あっ、ゴールデンウィークのこと、聞けなかったな……。
ま、いっか。
私は昨日できなかった写真のプリントアウトの準備をした。
週末に撮った川辺の写真の出来映えを見たい。
「あー、いい感じ!」
写真をいくつか加工して印刷してみた。
残念ながら、川のキラキラはうまく撮れていなかったけど、空を全面に撮った写真がとてもいい色に撮れていた。薄く雲がかかっているから一律ではなく微妙に濃淡のある深みのある水色。
「いい色だな」
いつの間にかこちらを見ていた先輩が言った。
「でしょでしょ? 私、春の空って好きなんです。この淡い綺麗な色が」
「あぁ、いいな」
遥斗先輩が表情を緩める。
こんな柔らかい顔もするんだ……。
ぽーっと見惚れていると、遥斗先輩が「それ、貸してくれないか?」と言った。
「え?」
「色の参考にしたい」
「ぜ、ぜひぜひ」
そんなことを言われるとは思ってなかった私は大喜びで遥斗先輩に写真を渡した。
「遥斗先輩も空が好きなんですか?」
以前、朝焼けを描いていたのを思い出して聞いてみた。
「そうだな。ここから見える一番美しくて変化があるものが空だからな」
そう言って先輩は窓から空をを見た。
今日の空は青空にふわふわの雲が多め。美しいよりかわいい空だった。
「確かにそうですね。私、いろんな空が好きですけど、一番好きなのが夕方の辺りが一瞬青く染まる瞬間なんです。あれ? 空ではないかな?」
「あぁ、わかる。この教室も一瞬青くなるときがある。暗くなる直前なのか、いつもそうなるわけではないが……」
そう言って、遥斗先輩はパレットの色を混ぜて、キャンバスに塗った。
「こんな感じの色だろ?」
「わぁ、まさにそうです! でも、描きかけの絵に塗っちゃっていいんですか?」
「こういうテイストて塗っていってもおもしろいかと思ってな」
「へー、ステキですね」
遥斗先輩がまた絵に集中しだしたので、私は、自分の写真を何枚か印刷したあと、「失礼します」と声をかけて帰った。
今日はなにか用があったのかな?
いつもはもっと遅い時間に来ているみたいなのに。私が帰る寸前か帰ったあとに。
あっ、ゴールデンウィークのこと、聞けなかったな……。
ま、いっか。
私は昨日できなかった写真のプリントアウトの準備をした。
週末に撮った川辺の写真の出来映えを見たい。
「あー、いい感じ!」
写真をいくつか加工して印刷してみた。
残念ながら、川のキラキラはうまく撮れていなかったけど、空を全面に撮った写真がとてもいい色に撮れていた。薄く雲がかかっているから一律ではなく微妙に濃淡のある深みのある水色。
「いい色だな」
いつの間にかこちらを見ていた先輩が言った。
「でしょでしょ? 私、春の空って好きなんです。この淡い綺麗な色が」
「あぁ、いいな」
遥斗先輩が表情を緩める。
こんな柔らかい顔もするんだ……。
ぽーっと見惚れていると、遥斗先輩が「それ、貸してくれないか?」と言った。
「え?」
「色の参考にしたい」
「ぜ、ぜひぜひ」
そんなことを言われるとは思ってなかった私は大喜びで遥斗先輩に写真を渡した。
「遥斗先輩も空が好きなんですか?」
以前、朝焼けを描いていたのを思い出して聞いてみた。
「そうだな。ここから見える一番美しくて変化があるものが空だからな」
そう言って先輩は窓から空をを見た。
今日の空は青空にふわふわの雲が多め。美しいよりかわいい空だった。
「確かにそうですね。私、いろんな空が好きですけど、一番好きなのが夕方の辺りが一瞬青く染まる瞬間なんです。あれ? 空ではないかな?」
「あぁ、わかる。この教室も一瞬青くなるときがある。暗くなる直前なのか、いつもそうなるわけではないが……」
そう言って、遥斗先輩はパレットの色を混ぜて、キャンバスに塗った。
「こんな感じの色だろ?」
「わぁ、まさにそうです! でも、描きかけの絵に塗っちゃっていいんですか?」
「こういうテイストて塗っていってもおもしろいかと思ってな」
「へー、ステキですね」
遥斗先輩がまた絵に集中しだしたので、私は、自分の写真を何枚か印刷したあと、「失礼します」と声をかけて帰った。
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