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第二章 ― 遥斗 ―

おせっかいな優④

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 俺が思いっきり依存してきたら、どうするつもりなんだ?
 それさえも受け入れそうな優が怖い。
 俺みたいなのに付き合ってても時間の無駄だぞ?

 そう思うが、にこやかだけど、絶対に自分を曲げないと心に決めた顔をしている優にもう一度溜め息をついて、今はあきらめた。


「先輩、今日はなにする予定ですか? 一日中、絵?」
「いや、バイトを探しに行く予定だ」

 優に聞かれて、素直に答えた。
 新しいバイト先を探さないと収入がないままではつらい。

 それだったら、パソコンで探しましょうよと優が言うから、二人でパソコンの前に座る。

 優がカチャカチャとキーワードを打ち込むとバイト情報がいっぱい出てきた。
 絞り込みも簡単にできるらしい。
 こうやってバイトを探せばいいんだな。貼り紙を探すよりずっと効率がいい。

 優のスマホを借りて、おにぎり屋に電話してみる。
 すぐに今日面接に行くことが決まった。
 すると、優が履歴書、証明写真、メールアドレスまでちゃっちゃと作ってくれた。

 呆気にとられて、見ているしかない。

「お前って本当に行動力すごいな……」

 しみじみと言うと、はっと優が止まって情けない顔になった。

「すみません。猪突猛進って、よく言われます」
「お前のための言葉みたいだな」

 おかしくって、俺はまた吹き出した。
 まだ笑いが治まらないうちに、優が唐突に言った。

「あ、そうだ。先輩って、水彩画描けますか?」
「そりゃ描けるが、今度はなにを企んでいるんだ?」

 そう尋ねても優は答えず、さらに質問してくる。

「得意?」
「まぁまぁな」
「じゃあ、水彩画描いてください!」
「画材がない。だいたいなんで……」
「じゃあ、明日持ってきますから!」
「明日も来るんかよ」

 意図がわからないまま、どんどん話を進める。
 まさに猪突猛進。

「お弁当持ってくるから、描いてくださいね! あ、これ、今日のお弁当。それじゃあ、私はもうそろそろ行きますね。面接頑張ってください」

 言うだけ言ってと、優はさっさと帰っていった。

「ちょっと待て。もう弁当は……」と言うが、もうその姿は遠い。

 明日も来るのか……。
 
 緩んでしまう顔をなかなか戻せなかった。
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