全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第三章 

すごい!③

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「それでね、家族みんなで驚きまくっちゃって、すごいしか言えなくなっちゃって……。こんなことってあるんですねー」

 放課後、私は遥斗先輩に受賞の話を報告していた。
 菜摘ちゃんたちには照れて言えなかったけど、受賞しまくりの先輩には気軽に言える。

「優はなかなかセンスあるから、そういうこともあるだろ」

 まさかの褒め言葉に驚く。
 冗談かと先輩の顔を見るけど、いたって真面目な顔だ。

「先輩にそう言われると勇気が湧いてきます!」
「写真のことはわからないから、俺がそう思うだけだ。本気にするな」
「いえいえ、それこそセンスの塊の先輩に言ってもらえたってことに意味があるんですよ!」
「ふーん、まぁ、よかったな」

 真顔からのふいの微笑み。

 もう、ちょっと! 心臓に悪いから止めてくれます? 
 いや、笑顔は見たいから、不意打ちを止めてほしいというか……。

「よかったんですが、なんかふわふわして、勉強に手がつかないんですよ。来週からテストなのに……」
「それと勉強とは全然関係ないだろ」

 呆れた顔をして、先輩が見てくる。

 そうだ、この人は勉強ができる人だった。
 授業も受けずに成績いいなんて、いったいどうしてるんだろう?

「そういえば、先輩って、どうやって勉強してるんですか?」
「どうやってって、教科書読めばわかるだろ?」
「えぇー、わかりませんよ! 特に数学! 意味がわかんないことばっかりです!」
「まだ1年が始まったばかりなのに、それはヤバくないか?」
「うぅ、ヤバいです……」

 入試のときはすごーく頑張って、なんとか及第点だった数学。
 授業が始まって、1ヶ月ちょいなのに、もう混乱している。

 先輩はなにがわからないのかわからないという顔をしている。
 できる人はそうだよね。教科書読めばわかるなんて、びっくりだ。
 私の気持ちなんか………といじけていると

「教えてやろうか?」

 先輩がぼそりとつぶやいた。

「えっ、本当ですか!」

 目を輝かせて食いつくと、その勢いに押された先輩は「うまく教えられるか、保証できないが……」と引き気味になった。

「それでもいいです! 教えてください!」

 逃さないとばかりに詰め寄ると、わかったわかったと先輩は手を上げた。

「どこがわからないんだ?」

 早速教えてくれようとしたのか、聞かれたので、教科書を出して、「この部分から全部意味がわかりません」と言うと、先輩は額に手を当てた。

「つまり、全部だな?」

 
 いつもご飯を食べている机の前に座らされて、教科書とノートを広げる。先輩は横に椅子を持ってきて、家庭教師状態だ。

 先輩の教え方は簡潔でわかりやすかった。
 理解の悪い私に根気よく懇切丁寧に教えてくれる。

「すごい! あんなにちんぷんかんぷんだったのに、わかった! ありがとうございます! ………こんなに根気よく付き合ってくれるとは思いませんでした」

 私が意外そうな顔をすると、先輩は「油絵と一緒だ。根気がないと油絵なんてやってられないからな」と苦笑した。
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