全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第三章 

おせっかいはもういい②

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「………わからないです。遥斗先輩がもう来てほしくないって言うかもしれないし」

 苦笑して答えると、「それはないわよ!」と真奈美先輩が否定する。
 でも、もともと私が押しかけたようなものだし、あんなに煩わしそうにしていたんだもん、その可能性は十分ある。

「気にしてもらって、ありがとうございます」

 無理やり笑顔を作ると、真奈美先輩は悲しそうに「私、いつも選択を間違えちゃうのよね……」と言った。

 「そんなことないですよ!」と言う私に笑って、手を振った。

「ごめんね。邪魔して。遥斗を見捨てないであげてね」

 見捨てるとかするわけない。逆なのにね。


「なにかあったの?」

 離れて見守ってくれていた菜摘ちゃんが聞いてくれた。

「ううん、なんでもないの」
「このところ元気ないのに関係ある?」

 気づいていたんだ……。

 驚いた私の顔に、「そりゃ気づくわよー」と菜摘ちゃんが苦笑した。
 気づいていたのに、そっとしておいてくれていたんだ。
 感謝して、それに甘える。

「もう少ししたら教えるね」
「うん」




 金曜日、さすがに今日は部室に行かないと、野球部の記事が書けない。
 ものすごく行きづらいけど、仕方ないか。

 ホームルームが終わって、重い腰を上げる。
 
 廊下の方がざわっとした。
 なんだろうと思いながら、廊下に出ると……。

「優」
 
 聞き慣れた声で呼ばれた。
 いつものように表情のない端正な顔がこちらを見ている。
 違う。いつもの顔じゃない。
 目が合った瞬間に、飢えたような切ない瞳で途方に暮れた顔をした。

「は、遥斗先輩、どうして?」

 先輩がこんなところに来るなんて!

「うわぁ、迎えに来たんだ」

 横で菜摘ちゃんがつぶやくと、遥斗先輩は頷いた。

 迎えに……?

「………もう来ないのか?」

 絞り出すような声で、先輩がつぶやいた。

「き、今日は行こうと思っていました。先輩、部室に行きましょ!」

 すごく目立っている。
 先輩は全然構う様子はないけど、人集りがどんどん増えていっていて、私は慌てて先輩の背中を押して、部室に行くよう促した。

 遥斗先輩は歩き出したけど、時折、私がついてきているか確認するように、ちらっと振り向いた。
 そのどこか子どもっぽい仕草にキュンとなり、足を速めて先輩に並んだ。


 
 部室に着いて、ほっと息を吐く。
 一週間ぶりの部室だ。

 遥斗先輩が所在なげに佇んでいる。
 私も来てはみたものの、どうすればいいのかわからない。
 っていうか、先輩はなんで来たんだろう?

「あの……」
「話が……」

 二人の言葉が重なって、私が先輩に先を譲ったら、「話がある」と言われた。
 じっと真剣な眼差しで食い入るように見られて、頷きながらもちょっと怯む。

 なんだろう? なんの話だろう?
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