たとえこの身体が人でなくなっても

海水浴

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　美咲からすればマリはサラのママだ。幼いころからずっと近所で生活しているので違和感はなかったが、考えてみれば人間の少女サラの生みの親がガイノイドというのはおかしかった。でも、周囲のものも含めそのことに口を挟まないのは不思議であるし、美咲もその疑問を口にできない理由はわからなかった。

　「サラの母さん、お願いがあるんだけど。一緒に沖の岩島に連れてほしい」

　美咲がいうにはサラと一緒に行ってみたいのだけど、親が一緒でなければボートに乗せてもらえないというのだ。美咲はなぜ自分の母親に頼まなかったかいわなかった。

　「いいわよ、あそこの岩島には何度も行ったことがあるから知っているわ。美咲ちゃん、サラも一緒に行きましょ」

　サラのママはそういって羽織っていたブラウスを脱いだ。その下には美咲やサラと同じデザインの水着を着ていた。地味で装飾のないネイビーの水着だった。

　「ちょっと、美咲！　サラちゃんのお母さんに何させるのよ！　わかっているでしょ彼女は・・・」

　そこまでいったところで真紀の言葉が詰まってしまった。どうやらなんらかのNGワードに引っかかってしまったようだ。

　「いいのよ！　私大丈夫だから。見た目と違って金槌じゃないから」

　サラのママは行く気満々だった。