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(二)ゼンタイフェチとの出会い

ゼンタイとの遭遇(2)

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 テレビでゼンタイ姿の男女を見てもそんなに気にならなかったのは、深夜でそれほど神経が不活発だったかもしれなかった。でも、目の前でゼンタイを着た人たちを見た時、私の中で化学反応が起きていたのを感じていた。

 その日、パレードを見ていた時に高校時代の友人真理恵とばったり会っていた。彼女も私と同じように買い物しに来て何気なしに一緒に見ていた。その日のパレードでは明らかに撮影するために来たような、ものすごくハイスペックなカメラを構えているのもいたけど、大半はスマホで物珍しいとばかり撮っているのが多かった。

 ゼンタイを見た時、真理恵はこんなことを言っていた。

 「あれって全身をタイツ生地で覆ったものよね? それって下着で出歩いているのと同じじゃないのよ! じゃあ変態よ!」

 真理恵の解釈ではタイツといえば靴下みたいなもので、冬なんかに腰まで着るようなものなんだから、下着みたいなものだということらしかった。たしかに言われてみるとそうなのかもしれない。でも私はこんなことを言っていた。

 「なんか・・・戦闘員みたい・・・」

 私がそういったのは弟が小学校の時にハマっていた戦隊ヒーローものの特撮に出てくるヤラレキャラクターだ。毎年「××戦隊××」といって番組が変わってもデザインだけ変えてくるけど、私は何故か主役のキャラクターよりも印象が残っていた。

 「戦闘員? なのよそれ? 子供向けじゃないのよ!」

 真理恵はそう言って少し軽蔑の眼差しをしていた。でも私の足はゼンタイの行進に引きずられていた。

 「どうしたのよ、あんた?」

 「わたし・・・あの人たちが着ているのを着てみたいわ!」

 しかし、人混みのために私が追尾するのは叶わなかった。
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