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(2)マーメイドZENTAIスーツ?

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 マーメイドZENTAIスーツ? アスカの頭の中はハテナマークだらけになっていた。仕事の依頼では人魚の着ぐるみを着るとしか説明されていなかった。だからてっきりアニメマスクみたいなものを被って、人魚のなんちゃって下半身を履いて終わりぐらいしか思っていなかったのに、なんて展開なんだ? 

 そういえば、前になんかの役に立つからといわれ事務所の社長兼マネージャーのおばちゃん(本名も覚えていない)に全身のボディサイズを測った事を思いだした。すると、そのスーツって私のサイズにジャスト・ピットなの?

 本当ならアスカはこんな現場から出ていきたかったけど、依頼人はちょっとした知り合いのスズ、またどこかで顔を合わせるかもしれないので、それだけはやめとこうと思ったけど、しかし・・・

 「なんなのよ、そのマーメイドZENTAIスーツって? まるで大きな蛇かなんかの抜け殻じゃないのよ! その中にあたいが入れっていうのよ!」

 するとスズは嬉しそうな顔をしてすり寄って来た! 結構スズは美形で可愛いしそっちの方がやれと言いたくなるような嫉妬しちゃう身体をしていたけど、まあそれはともかく。なんで女が女にすり寄るのよ! スズは本当は男なんかよ! 女装子がなんかと違うんかよ! とにかくアスカは憤っていた。

 「ピンポーン! そうよ、アスカちゃん。あなたが私の憧れのマーメイドの内臓になってもらうのよ! 結構、お金かかっているのよ! この撮影! パパに無茶を言ってお金を都合してもらったんだから!」

 パパ? パパってスズは愛人かなんかでパトロンかなんかがいるんかよ!

 「そうそう、うちのパパはお婿さんを見つけないといけないって言っていたから、結婚前に好きな事をさせてくれるから。いいでしょ! 付き合ってよねアスカちゃん!」

 なんだあ、スズの本当の父親かあ、と安心したけど、一体どこの世界に娘に変な動画を制作させる金を出す親がいるんだというのだ! アスカはスズよりもその親父に文句言いたかった!

 「それじゃ・・・そのスーツに入れっていう訳なの? って、いったい何なのよそれって」

 アスカの下半身は魚の胴体のようになっていて動きにくくなっていたので、匍匐前進してから手を取ったけど、顔の部分に穴がなかった!

 「言ったでしょそのスーツはゼンタイなんだって! 知っているでしょゼンタイって目や口が出るのもあるけど一切素肌が見えないようになるのもあるって。だから、これは人魚用のゼンタイなのよ。だからあなたは人魚だって!」

 そういってスズは手に取ったゼンタイをアスカの身体の上に這わせた。その時アスカはそのスーツの中に閉じ込められることを考えてしまい、少し怖くなった。一体何をするんよ、この撮影って! 心の中で叫んでいた。

 
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