【第一部完】全包防御衣的巫女退魔日誌

ジャン・幸田

文字の大きさ
4 / 16
序章:闇巫女を生み出す儀式

4.淫獣化

しおりを挟む
 闇巫女の使命は妖怪の一種である淫獣を退治もしくは無害化することであった。淫獣は人間界の淀みのなかで生まれた幽体が人々の欲望に引き寄せられて実体化したもので、実体化した淫獣は人間を糧にし恐怖のどん底に突き落とす存在だった。その淫獣を呼び寄せたり対処するには制禦可能な淫獣を用いる必要があった。

 その人為的な淫獣の作り方には様々な方法があるが、ここ笹谷霊宝神社では若い女性に衣装を着せる事で淫獣化した闇巫女を使う方法を用いていた。かつては淫獣の毛皮を纏わせていたが、いまは淫獣の幽体を憑依させた全身タイツのような全包防御衣が用いられていた。

 その全包防御衣は人間としての皮膚を一切出る事はないので、どのような淫獣の攻撃に対して素体の娘の肉体を守り抜く事ができたが、最大の欠点といえば一度覆われると人間の姿に戻すのが難しいことであった。そのため過去には淫獣化したまま人間に戻れなくなった闇巫女もいた。

 美鈴がそんな全包防御衣を腰まで着た時、下腹部の穴から浸入する触手に感じていた。その触手は全包防御衣に憑依している淫獣のもので、彼女の肉体と全包防御衣を結合する役割があった。

 「あっ、アッ、はああ、ああ、へえ、はああ、ああん・・・」

 美鈴は喘ぎ声をあげていた。

 「お前もう感じているんか? ほんとうは堪えないといけないものだぞ。でも、もうすぐその快楽はずっと続くんだぞ、そうなったらお前は淫獣と同じ存在になるのだから覚悟しろ!」

 月御前は若い時に闇巫女を勤めていた時の事を思い返していた。あの時の淫獣の毛皮も同じようなことになっていたことを。そして淫獣化すれば人間としての自分はどこかに逝ってしまったのを。

 「す、すいません、ほんとうにすいません。急ぎますから!」

 美鈴は慌てて全包防御衣に身体を入れ始めた。手袋に手を通し頭をマスクの中に入れた時全身がピンクに染まった。その姿は一般的な全身タイツとは違い、折り目など存在しないので完全に美鈴の第二の皮膚のようになっていた。しかし最後に仕上げないといけない作業があった。背中の開口部だ。普通の全身タイツならファスナーがあるが全包防御衣にはそんなものはなかった。だから最後の仕上げは月御前がする手はずだった。

 「それじゃあ、はじめるぞ。美鈴にはしばらく消えてもらうからな」

 月御前の手には細い糸を通した銀製の針があった。その細い糸は淫獣の肉体から作られたもので、淫獣の怪我の治療にも使えるシロモノだった。そう全包防御衣は淫獣の肉体そのものだった。

 月御前が縫合していく度に開口部がなくなっていったが、それにともない美鈴の肉体は淫獣に支配されるようになった。

 「や、や、やだ、わたしが、おかしくなりそうよ!!」

 美鈴は自分が消えていく事を感じ抵抗していたが、快楽に意識が上書きされるのが心地よかった。そのとき全包防御衣が美鈴の肉体を蝕んでいたのだが、美鈴が淫獣になることを意味していた。

 「さあ、もうすぐ完了だ! さあ出るがよい闇巫女!」

 月御前の声が部屋に響くと美鈴だった身体に大きな変化が現れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...