【第一部完】全包防御衣的巫女退魔日誌

ジャン・幸田

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第一章:夜明け前の想い出は仄暗い路に続く

4.淫獣巫女

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 淫獣の巫女ミスズの内臓は美鈴である。彼女の肉体は桃色の淫獣の皮に覆われ、淫獣の毒牙に犯され、おぞましい存在になっていた。辛うじて皮によって制御されており、もし敗れる事があって身体が裂けた時は、もはや人間の姿に戻れないのを彼女は知っていた。だから任務を貫徹させないといけないのは承知していた。

 とはいえ、今回のオールナイトのイベント会場程人々の心に巣食う淫獣の気配に惑わされることは珍しいと言えた。それだけアブノーマルな雰囲気が漂っていた。だからターゲットの淫獣を選び出すのは難しかった。

 ミスズとケンイチはとりあえず会場の事務所へと向かった。そこには検非違使から派遣された黒ずくめのマントを羽織った人物・ナズナが待っていた。その正体は二人ともよく知らなかった。ただ声からすると女のようだったが、若いのか年寄りなのかもわからない年齢不詳容姿不明の人物だった。

 「今回のターゲットであるが、先月別の淫獣退魔士が狩るのに失敗している。そいつは今も意識が戻らないから相手の事が全く不明だ」

 そういってナズナはテーブルの上に報告書を出したが、それは一枚の紙に収まるほどしか情報が載っていなかった。

 「ナズナさま、これでは・・・」

 その紙の多くの項目は「不明」としか書かれていなかった。要は何も分からないという事だ。でも後ろの方にこう書いていた。

 「あのー、あたしよりも淫獣力が弱いんじゃないというのは、どういう意味なんですか?」

 ミスズは不満げに言った。それって意味が分かんないと言いたい様子だった。

 「それはな、相手の淫獣は巫女崩れの可能性があるという事だ。先月狩るのに失敗した奴が行使した破魔の札のうち、完全破壊されたものを調べたら巫女じゃないと破れそうにないと判明したんだ」

 「それじゃあ、ミスズと同類ですか、その淫獣巫女と!」

 「そうだ! そう考えた方が妥当なんだよ。それで淫獣巫女に選ばれた少女のうち所在不明になった奴を探したんだが・・・あんまりにも数が多すぎて絞れ込められなかったんだ」

 「へえ?」
 
 ケンイチは呆れたような声を出したが、ナズナはそんなケンイチをガン見していた。

 「仕方ないでしょ! 拒絶反応を示した時点で帰ってもらった候補者なんかもいれたら多いいのよ! それに報告しない場合も多いし!」

 ナズナに対しミスズは口をはさんだ。淫獣巫女は制御される立場なのであんまり意見してはいけないという定めがあるのだが、あんまりなんでやってしまった。

 「あたしは淫獣巫女ですけど、いったいどうすればいいんですか今日は? だいたい淫獣巫女といったって淫獣の奴と戦うのに必要なんでしょ!
 それよりも前に戦った淫獣退魔士の人ってなんで負けたのですか? 何かすごい技でもかけられたのですか?」

 そういうとナズナはこんなことをいった。

 「たぶんだけど、相手とエッチな体位になった時のギックリ腰になったようだ。そのあと物理的ダメージを加えられたようだ。そうそう、一連の流れはその場にいた人には見えなかったそうだ。やつから周囲三メートルは光が遮断されて見えなかったそうだ」

 エッチな体位ってなんなのよ! ミスズは予想はついたが呆れていた。それだから淫獣巫女を呼んだんだ、エッチな事をさせるために!

 
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