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悪役令嬢とは失礼な!
メイド服?
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あんまり眠れなかった啓子に朝がきた。今日は結婚式のはずだった。気分の高揚もないし不安しかなかった。しかも外は暴風雨だ。こんなにも歓迎されない婚姻なのかと思わずにいられなかった。
「おはようございますお嬢様。今日一日よろしくお願いします」
多恵は早く起きて準備していた。その準備は花嫁のためのはずだが・・・
「おかしいわね、あたしって結婚するのよね? 花嫁衣裳なんて用意されていないよね?」
昨日渡された予定表にはそういった事をするようになっていなかった。一応は夫になるはずの哲彦と面談とはあったが・・・
「そうですわね。取りあえず着替えてください、こちらの衣装箱の・・・」
多恵が衣装箱を開けたとき、彼女の手は止まり顔は不思議な表情をしていた。
「そうしたのですか?」
啓子は覗き見ると唖然とした。
「それは可愛らしいし、上品な生地だけど・・・家政婦が着用するものよね?」
「そうですわ。これは宮中の侍女が着用するような衣装ですわ。でもメイドですよね・・・花嫁にメイド服を着ろというのは? それも私と同じですわ」
花嫁がメイド服を着る? それはおかしい事だった。軍人である哲彦が軍服で結婚式を挙げるのはおかしくないが、少なくとも女の方は・・・着るようなものじゃないといえた。
「そうなの・・・従うしかないわ。もうこの家の者なんだから・・・」
啓子は自分は橘花宮の人間なんだから諦めようとしたが、でもこの家にとって自分は家族なの、それとも使用人なの? そんなふうにしかおもえなかった。
「ねえ、多恵」
「なんですか、お嬢様?」
「あたしって悪役令嬢かしら?」
「悪役令嬢、なんですかそれは?」
多恵はまたも変な顔をしたが、その間、啓子はメイド服に着替え始めた。今まで着た中でも上等なものとはいえ、なぜなのという気持ちしかなかった。
「それはね・・・私の立ち位置は悪役じゃないのかしらと思うのよ。勧善懲悪な教訓めいたお話にあるじゃないのよ。悪い事をしたり、それを擁護した人間は最後は罰を受けると。今のわたしの仕打ちってまるで罰を受けたかのようだわ! きっと悪い事を積み重ねたからこんな仕打ちじゃないかしらん?」
この時、啓子はこう言いたかったのだ。これじゃあ、悪役令嬢にされたに違いないんだわと!
「おはようございますお嬢様。今日一日よろしくお願いします」
多恵は早く起きて準備していた。その準備は花嫁のためのはずだが・・・
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「そうですわね。取りあえず着替えてください、こちらの衣装箱の・・・」
多恵が衣装箱を開けたとき、彼女の手は止まり顔は不思議な表情をしていた。
「そうしたのですか?」
啓子は覗き見ると唖然とした。
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「そうですわ。これは宮中の侍女が着用するような衣装ですわ。でもメイドですよね・・・花嫁にメイド服を着ろというのは? それも私と同じですわ」
花嫁がメイド服を着る? それはおかしい事だった。軍人である哲彦が軍服で結婚式を挙げるのはおかしくないが、少なくとも女の方は・・・着るようなものじゃないといえた。
「そうなの・・・従うしかないわ。もうこの家の者なんだから・・・」
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「それはね・・・私の立ち位置は悪役じゃないのかしらと思うのよ。勧善懲悪な教訓めいたお話にあるじゃないのよ。悪い事をしたり、それを擁護した人間は最後は罰を受けると。今のわたしの仕打ちってまるで罰を受けたかのようだわ! きっと悪い事を積み重ねたからこんな仕打ちじゃないかしらん?」
この時、啓子はこう言いたかったのだ。これじゃあ、悪役令嬢にされたに違いないんだわと!
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