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悪役令嬢とは失礼な!
わたしの立場は?
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わたしはメイド服を手に取って頭に来ていた! どこの世界に花嫁になる娘に使用人が着用するものを結婚当日の朝に着ろという貴族がいるのだろうかと。そもそも花嫁じゃないんだお前は使用人としてこの家に来たんだと理解させるつもりとしか思えなかった。
「多恵、どお?」
わたしは同じメイド服に着替えた多恵に聞いていた。これじゃあ夫人と侍女ではなく、ただのメイド仲間じゃないか!
「お似合いですわ! というのも憚れるのですが・・・こんな風な仕打ちをするなんて聞いたことないですわ。結婚式の当日に幽閉した疑惑というのはいくつか聞いたことはありますわ、まあ噂ですので当てにはなりませんが」
そういいながら多恵はわたしの髪を梳いてくれた。それにしても、わたしは花嫁扱いじゃないのなら、だれのための結婚式なんだろう? 貴族の中には未婚で兄が先に亡くなっている場合、弟の結婚式の前に適当な亡き女と結婚式を行うなんて風習は聞いたことがあるけど・・・
「そんな噂があるの? まさかと思うけど、夫のなるはずの男はわたしを幽閉して挿げ替えるつもりじゃないのかしら」
わたしは、ある考えが浮かんだ。わたしはここで本当に結婚したい女と立場がすり替えられるんだと。すると、わたしの立場は・・・バカみたいじゃない! そう思ったの! 悪役令嬢の本ばっかり読んでいたらこうなったというわけなの? わたし悪い事なんかしていないのに!
「そのように思いますわ、ここまでくれば。おそらく結婚式に出席する花嫁は、お嬢様じゃないですわ。結婚式に職業で着用する衣装を新郎が着ることありますが、花嫁はそんなことはしませんわ。すくなくとも簡素な礼服ぐらいは用意しますわ。着物か洋装かはどっちかわかりませんが」
多恵の言葉には何か表現できない感情が籠っているようだった。もしかすると、伯爵夫人の侍女に抜擢されたのかと思ったら、その他大勢のメイドの一人でしかなかった悔しさもあったようだ。そのとき、部屋の扉をたたく音がした、それは大黒太蔵だった。
「おはようございます。お二人さん。ところで啓子様、あなたにこの書類に署名してください」
そう差し出されたのは貴族階級だけに見られる結婚契約書だった。父から聞いたことがあったが、結婚式の前の貴族階級を管理する宮内省に提出する書類で、皇帝陛下から許可された者同士が結婚したことを確認するものだった。既に夫の哲彦の欄は署名されていた。
「こ、これって結婚契約書ですよね? 普通は二人が並んで書くものだと思いますが?」
わたしは、結論はなんとなくわかったけど尋ねてみた。すると太蔵は裏切ることなくこういったの。
「二人並ぶ? そんなことはありません。書類上はあなたは花嫁ですけど、旦那さまが結婚されるのは啓子様ですよ。もちろん別人のね」
「はあ?」
わたしは自棄になって署名してしまった。この瞬間から橘花宮啓子という人間がこの世に二人いる事になった。表で夫の傍に寄り添っている啓子と、悪役の如く陰で追いやられたわたし啓子のふたりが! 本当にわたしの立場は一体なんなんだろうか?
「多恵、どお?」
わたしは同じメイド服に着替えた多恵に聞いていた。これじゃあ夫人と侍女ではなく、ただのメイド仲間じゃないか!
「お似合いですわ! というのも憚れるのですが・・・こんな風な仕打ちをするなんて聞いたことないですわ。結婚式の当日に幽閉した疑惑というのはいくつか聞いたことはありますわ、まあ噂ですので当てにはなりませんが」
そういいながら多恵はわたしの髪を梳いてくれた。それにしても、わたしは花嫁扱いじゃないのなら、だれのための結婚式なんだろう? 貴族の中には未婚で兄が先に亡くなっている場合、弟の結婚式の前に適当な亡き女と結婚式を行うなんて風習は聞いたことがあるけど・・・
「そんな噂があるの? まさかと思うけど、夫のなるはずの男はわたしを幽閉して挿げ替えるつもりじゃないのかしら」
わたしは、ある考えが浮かんだ。わたしはここで本当に結婚したい女と立場がすり替えられるんだと。すると、わたしの立場は・・・バカみたいじゃない! そう思ったの! 悪役令嬢の本ばっかり読んでいたらこうなったというわけなの? わたし悪い事なんかしていないのに!
「そのように思いますわ、ここまでくれば。おそらく結婚式に出席する花嫁は、お嬢様じゃないですわ。結婚式に職業で着用する衣装を新郎が着ることありますが、花嫁はそんなことはしませんわ。すくなくとも簡素な礼服ぐらいは用意しますわ。着物か洋装かはどっちかわかりませんが」
多恵の言葉には何か表現できない感情が籠っているようだった。もしかすると、伯爵夫人の侍女に抜擢されたのかと思ったら、その他大勢のメイドの一人でしかなかった悔しさもあったようだ。そのとき、部屋の扉をたたく音がした、それは大黒太蔵だった。
「おはようございます。お二人さん。ところで啓子様、あなたにこの書類に署名してください」
そう差し出されたのは貴族階級だけに見られる結婚契約書だった。父から聞いたことがあったが、結婚式の前の貴族階級を管理する宮内省に提出する書類で、皇帝陛下から許可された者同士が結婚したことを確認するものだった。既に夫の哲彦の欄は署名されていた。
「こ、これって結婚契約書ですよね? 普通は二人が並んで書くものだと思いますが?」
わたしは、結論はなんとなくわかったけど尋ねてみた。すると太蔵は裏切ることなくこういったの。
「二人並ぶ? そんなことはありません。書類上はあなたは花嫁ですけど、旦那さまが結婚されるのは啓子様ですよ。もちろん別人のね」
「はあ?」
わたしは自棄になって署名してしまった。この瞬間から橘花宮啓子という人間がこの世に二人いる事になった。表で夫の傍に寄り添っている啓子と、悪役の如く陰で追いやられたわたし啓子のふたりが! 本当にわたしの立場は一体なんなんだろうか?
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