AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田

文字の大きさ
上 下
8 / 30
メグミ誕生

素体

しおりを挟む
 人間に戻れる。そういわれてもメグミは疑問であった。モニターに映る姿はロボットそのものだったから。拘束具が外され身体というよりもボディが自由になったのでまず最初にしたのは自分のボディを撫でまわすことだった。

 ボディの外装は外骨格であったが、元の身体をトレースするような滑らかさはあったが堅い材質であった。関節部は硬質なゴムのようになっていた。そして顔は唇はあったが装飾の意味しかなかった。目の部分は大きな瞳のようになっていたが、LEDライトで光るだけのものであった。

 「本当に何をしたのですか? 私の身体を機械にしたのですか!」

 メグミは泣きそうだったが、涙腺というものが残っているのかわからなかった。でもなんで物が見えているのだろうか、不思議であった。

 「あなたを機械に置き換えたというわけではないわよ。ハイペリオンスーツという特殊なスーツであなたを覆たのよ。あなた自身では脱ぐことできないわよ。だから逃げださないでちょうだい。逃げ出しても他の人にはロボットにしか見えないわよ」

 自分で脱ぐことが出来ないハイペリオンスーツ? なにを言っているのかわからなかった。

 「なんですか、それって?」

 「うーん、簡単にいえば機ぐるみよ。着るではない機械の方の機ぐるみ。パワードスーツみたいなものよ」

 パワードスーツ? たしか介護用とか土木作業や軍事用なんかに使うもので、ハイペリオンの製品群だったことを思い出した。

 「じゃあ、着ているっていうわけなのですか、ロボットを?」

 「そうよ、あなたはロボットの中身というわけよ、そういうのは素体というのよ。栗林めぐみはロボットアイドルのメグミに生まれ変わったわけよ。その気になれば何年もそのままなのよ。すごいでしょう」

 メグミはすごいでしょうといわれても困るしかなかった。ロボットになんかなりたくないというのに。でも身体は気持ちよかった。ロボットになって。でも疑問は数多くあった。

 「あのうすいません、トイレはどうなるのですか、それとご飯はどうなるのですか。生身なのですよね、わたしは」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生結界師―学園で無双する―

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:225

痴漢冤罪に遭わない為にー小説版・こうして痴漢冤罪は作られるー

ミステリー / 連載中 24h.ポイント:668pt お気に入り:0

龍神様の住む村

BL / 連載中 24h.ポイント:149pt お気に入り:61

騎士団長様からのラブレター ーそのままの君が好きー

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:347pt お気に入り:311

元ラノベオタクの転生勇者はチートスキルを使わない

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:11

改稿版 婚約破棄の代償

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,434pt お気に入り:856

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:169,110pt お気に入り:7,828

処理中です...