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母との再会

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 目の前の少女はビデオの中の少女とうりふたつだった。服装は最近の高校生のようであったが、年下の知り合いは千佳にいなかった。

 「あんた誰なのよ! なれなれしいわね」

 千佳は不機嫌にいった。すると相手はニヤニヤしながらいった。

 「あんまり久しぶりなので忘れたのね。あたしは山藤智子! あなたのママよ!」

 「ママ? そんなはずないわよ。ママってたしか今年で・・・48?」

 「まあ、人の歳はいわないのよ! あなた今年で25でしょ! それぐらいわかるでしょ!」

 智子を名乗る少女は千佳にはどうしても年下にしか見えなかった。

 「じゃあ、なんで若く見えるのよ!」

 「それはね、いいエステティシャンに施術してもらったからよ!」

 「そんなことってあるの?」

 「ええ、まあ一度に説明するとこんがらがってしまうだろうから、おいおいとね。それにしても、見ていたんだねあたしの出演作品を」

 そういって智子はビデオパッケージを手に取っていた。

 「なつかしいわね。昨日のことのようだわ。あの人の事も・・・」

 そう感慨にふけっている智子に千佳はきいた。

 「ママ! ママって本当に宇宙人と出会っていたの?」

 少し考えこんでから智子はいった。

 「そうよ! あたしが初恋をした相手は宇宙人だったわ。この作品であたしが着ている宇宙人の扮装は彼の本当の姿と一緒なのよ」
 
 その言葉に千佳は若返った自分の母を見た時以上の衝撃をうけていた。
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