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4.ゼンタイ初体験

23.不安なわたし.3

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 彰が遅れているのは、乗った電車が遅れているだけのことで、私のスマホにそうショートメールが送られてきた。それにしても、時間ぎりぎりで動くほどイライラする事はなかった。
 田舎で暮らしているときはいい加減だったので待ち合わせよりも結構早く行っていたもんだったのでなおさらだった。もっとも、田舎には都会のように定刻で電車が来ることはなかったし、バスだったら結構遅れてくる方が珍しくなかったけど。

 待たされる間、私はゼンタイというものに不安を感じていた。これから着ると変態になるのかしらんと。なにせネットで「フェチのなかのフェチアイテム」なんて書かれていたからだ。それにしても「フェチのなかのフェチ」ってなんなんだろう? それにしてもなんで彰のような真面目そうなのが、そんな変態アイテムにハマってしまったんだろうか? それが不思議だった。

 そう思っていたら、ホームから上がってくる人々が見え始め、その中に彰がいった! でも、その姿を見た時私の不安はさらに増大した。だってゼンタイを着ないといけない時間が近づいたということだったからだ!

 「待たせてしまってごめんね! いまから行くところは多少時間が遅くなっても大丈夫だから心配しないでもいいよ!」
 彰から謝罪とねぎらいの言葉をかけてもらったけど、私のこころは未知なる世界に行かないといけない気持ちで不安になっていた。

 昔、中学の頃だったか、先生が言ったことだったかもしれないけど、性教育の授業かなんかだったかもしれないけど、いわゆる初体験について言われたことがあった。その時は女性特有の生理の事だったので女子生徒しかいなかったけど。

 たしか、いろいろと話をされたのは確かだけど、印象に残ったのはこう言った事だったと思う。愛する男の人が出来た時に最初にやる際には簡単に川を渡る様な事はないようにしましょう、渡った後で後悔するような軽率な関係は持たないように、充分考えてしましょう、と。

 で、その時の話を別に実践したわけではないけど私はなんと29歳までヴァージンで過ごしてしまった! そんなに魅力なかったんかな私は?

 それはともかく、これから彰とするのは、関係は関係でもゼンタイ関係に入ろうとしていた。本当にこれで良かったんだろうか、私は?
 改札を出て地上に出た私の目には見たことのない街の路地が秋の夕暮れに染まっていた。彰についていくとすぐ狭い路地に入っていってあちらこちら曲がっていった。わたしは路地を曲がる度に戻れないところへと向っているのと感じざるを得なかった・・・
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