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深窓の令嬢
02・葬送
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意識を取り戻してからコゼットは真面に話が出来なかった。メイドから伯爵令嬢の替え玉にされたコゼットは深刻な病から回復した事実を演出するため、執事のピエールからよくわからない薬を飲まされてしまった。そのあとコゼットの寝室に移された。
「お嬢様、よかったですね。良いお医者様に措置していただいて」
コゼットの専属メイドは微笑んでくれたが少しにこやかにすることしかできなかった。ピエールが作った事実は、コゼットが重体になったので別室で隣国からやってきた医師による措置で一命をとりとめることが出来た。しかし、処方された薬の副作用で健忘症のようになってしまったと。これはコゼットが入れ替わったことをごまかすためのものであった。
床から出たコゼットはメイドたちによって普段着のドレスを着せてもらった。先日までメイドだったというのに違和感があったが仕方ない事であった。今までならやんちゃさかりのお坊ちゃんやお嬢ちゃんの着替えなどの身の回りの世話などをしてきたのに、いきなり自分がされる立場になってしまった。そうメイドだったコゼットは死んだのだから。
寝台に入ったままでは身体に悪いということでコゼットはメイドの助けを受けながら日の当たる安楽椅子に腰掛けた。ピエールに飲まされた薬は心身とも病み上がりのようにする作用があるようであった。
「あの馬車は?」
窓辺に座ったコゼットが見たのは、裏口から出て行った粗末な馬車だった。
「あれですか? なんでも新しく入ったメイドが急死したそうで、先ほど司法警察の検死が終わったそうで埋葬されるそうです。あっ、すいません不吉な事をお耳にお入れいたしまして」
コゼットは本当は真実を知っていた。死んでしまった令嬢コゼットの遺体だと。貴族の場合、死亡すれば王朝政府に届け出をして宮内省の検死を受けないとしないとされているが、使用人は役所から派遣された官吏が虐待などで死んでいないことを確認するだけである。あとは埋葬許可証を発行してもらえば終わりである。
後で聞いた話では、「本当の」コゼットの遺体は領地にある城塞の秘密の墓地に埋葬されたという。その時、運び出されたのは偽造された遺体であったが、あの後その日埋葬される他の死者と一緒に大きな穴の中に放り込まれたようである。
コゼットは同僚のメイドが亡くなったとき、葬儀に出席し貧民者墓地の埋葬に立ち会ったが、大きな穴の中に麻布で巻かれた遺体がいくつも並べられて埋められていく光景に虚しいものを感じたことがあった。
「ううん、いいですよ」
。
コゼットはまだうまく話せないことに気付いた。この時自分が身代わりになったコゼットの事は何も知らなかった。知っているのは歳が一緒で同じファーストネームを持っていて、生来の病弱で誰かと婚約したばかりだということだった。そういうことは直ぐに誰かのところに輿入れするという事のようだ。
そう思っていると、寝室の壁に一枚の大きな絵が飾られているのに気づいた。その絵は若い軍人らしい青年が描かれていたが、歳の割に数多くの勲章を胸につけていた。コゼットは初めて見るはずなのになぜか懐かしと感じていた。すると、メイドの一人がこうささやいできた。
「お嬢様、もうすぐここに見えられますよ、大公殿下が」
大公? なんのことなの? コゼットは考えていたら、こう言ってくれた。
「お嬢様と正式に婚約のために来られますよ、あの絵のように立派なお方のようですわ」
コゼットは壁に飾られた絵の大公殿下と婚約している事を知って驚いた。
「お嬢様、よかったですね。良いお医者様に措置していただいて」
コゼットの専属メイドは微笑んでくれたが少しにこやかにすることしかできなかった。ピエールが作った事実は、コゼットが重体になったので別室で隣国からやってきた医師による措置で一命をとりとめることが出来た。しかし、処方された薬の副作用で健忘症のようになってしまったと。これはコゼットが入れ替わったことをごまかすためのものであった。
床から出たコゼットはメイドたちによって普段着のドレスを着せてもらった。先日までメイドだったというのに違和感があったが仕方ない事であった。今までならやんちゃさかりのお坊ちゃんやお嬢ちゃんの着替えなどの身の回りの世話などをしてきたのに、いきなり自分がされる立場になってしまった。そうメイドだったコゼットは死んだのだから。
寝台に入ったままでは身体に悪いということでコゼットはメイドの助けを受けながら日の当たる安楽椅子に腰掛けた。ピエールに飲まされた薬は心身とも病み上がりのようにする作用があるようであった。
「あの馬車は?」
窓辺に座ったコゼットが見たのは、裏口から出て行った粗末な馬車だった。
「あれですか? なんでも新しく入ったメイドが急死したそうで、先ほど司法警察の検死が終わったそうで埋葬されるそうです。あっ、すいません不吉な事をお耳にお入れいたしまして」
コゼットは本当は真実を知っていた。死んでしまった令嬢コゼットの遺体だと。貴族の場合、死亡すれば王朝政府に届け出をして宮内省の検死を受けないとしないとされているが、使用人は役所から派遣された官吏が虐待などで死んでいないことを確認するだけである。あとは埋葬許可証を発行してもらえば終わりである。
後で聞いた話では、「本当の」コゼットの遺体は領地にある城塞の秘密の墓地に埋葬されたという。その時、運び出されたのは偽造された遺体であったが、あの後その日埋葬される他の死者と一緒に大きな穴の中に放り込まれたようである。
コゼットは同僚のメイドが亡くなったとき、葬儀に出席し貧民者墓地の埋葬に立ち会ったが、大きな穴の中に麻布で巻かれた遺体がいくつも並べられて埋められていく光景に虚しいものを感じたことがあった。
「ううん、いいですよ」
。
コゼットはまだうまく話せないことに気付いた。この時自分が身代わりになったコゼットの事は何も知らなかった。知っているのは歳が一緒で同じファーストネームを持っていて、生来の病弱で誰かと婚約したばかりだということだった。そういうことは直ぐに誰かのところに輿入れするという事のようだ。
そう思っていると、寝室の壁に一枚の大きな絵が飾られているのに気づいた。その絵は若い軍人らしい青年が描かれていたが、歳の割に数多くの勲章を胸につけていた。コゼットは初めて見るはずなのになぜか懐かしと感じていた。すると、メイドの一人がこうささやいできた。
「お嬢様、もうすぐここに見えられますよ、大公殿下が」
大公? なんのことなの? コゼットは考えていたら、こう言ってくれた。
「お嬢様と正式に婚約のために来られますよ、あの絵のように立派なお方のようですわ」
コゼットは壁に飾られた絵の大公殿下と婚約している事を知って驚いた。
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