冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

71・去年と今年は

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 ガイノイド・エリーに車椅子を押してもらい真由美は理工学部ビルへと向かっていた。真由美の車椅子は電動式なので自走可能だが、理工学部構内は同じ帝央大生であっても部外者として自走が禁止されていた。そのため介助者としてエリーがついていく事になった。エリーは電動モーター付きの重い車椅子も軽々と押していた。

 「エリー、大丈夫?」

 真由美はエリーを振り返った。その時なぜか懐かしい感覚がした。姉と慕う愛莉に押してもらった時のことを。バリアフリーに設備が整備されていてもどうしても電動車椅子が入り込めないところを押してもらった事があったが、その時愛梨は結構苦戦していた。そんなバリアフリーになっていないところに限って急こう配だったりしたからだ。でも此処はそんなにきつくはなかった。

 「問題ないです、真由美さん」

 エリーの人工音声はそう発言したが、エリーに内蔵されているのは愛莉だ。でも、まだそれを明かすことは出来なかった。全身拘束刑を受け電脳化された際のプロテクトの解除は進んでいたが、これから行くところは陰謀の中枢でしかない理工学部だ。気を引き締めて行かないとならなかった。

 「校内進入許可証を提示してください」

 理工学ビルの表玄関で警備ロボのチェックを受けた。ここは他の学部の教室と違い、研究所や実験室など機密情報を扱っているとして、特に厳重であった。理工学部の学生や教師、そして使用されているロボットなどは電子許可証を兼ねた身分証明書で簡単に入れるが、その他は厳しいチェックがあった。

 「ここって、本当にめんどくさい所ね! 同じ大学に通っているのになんでここまでしなくちゃいけないのよ」

 真由美は不満げにして、学生証と電子進入許可証の二つを警備ロボに渡した。一方エリーは電子暗号カギを送信した。すると統括コンピューターから問い合わせるパルスが届いた。エリーをガイノイドとして認識したのだ。

 「法学部丹下犯罪学研究所所属、エリーに進入許可を与えます。三時間以内に退出すること。延長は特別な事情がないかぎり許可されません。また介助する安養寺真由美より十メートル以上離れてはなりません」

 「了解! ただいまより三時間以内での退出了解です」

 そのやりとりを電脳内の奥に引っ込んでいた愛莉は大きなため息をつきたかった。去年の今頃はフツーに電子学生証をかざすだけだったのに、いまは電気的なやり取りをしている自分に。本当に今は機械でしかないと思い知らされた。
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