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迷宮魔道な場所へ

112・迷宮魔道な場所へ(3)

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 ガイノイド・アイリは指示に従い指定された場所へと移動し始めた。愛莉の意識は傍観するしかなかった。本来なら自我のない機械であるはずだから。もしバレたらどうなるのか想像しただけ恐ろしかった。もっとも、電脳を外されるまで体験して来いというのが淳司の指示であったが。

 こんなことなら山村愛莉の人生を放棄してもよかったのかなとも考えていた。機械にされた身体を隠し、どこかの国でなんらかの仕事をして誰かと結婚して、平凡な生活をするのもいいかなと。でも、こんな酷い目に合わせた奴を知りたいとも思っていた! 好きで機械の身体になる人もいるけど、自分は思っていないのに!

 アイリが第502実験室に入るとそこには見た事がある様なものがあった。それはガイノイド用の修理ブースだった。そこにいたのはバイザーをかけたタオ先輩だった。するとこんなことを言ってきた。

 「アイリ、あなたのメンテナンスをします。頭部のロックを解除します。セッティングしなさい」

 「かしこまりました」

 愛莉はなんとなくわかった。タオ先輩は電脳の前処理を行うんだと。それは淳司がやったようなことを。横たわったアイリの頭部に太いケーブルを取り付けた瞬間、アイリの電脳に膨大なデータが送り込まれた。それはプロテクトの解除コードだった。その瞬間、愛莉の自我が再現され、自由に動くようになった。淳司がやった時のように!

 「あたしは、ロボットになったのよね?」

 わざとらしいと思ったが、そのように振る舞うしかなかった。するとタオ先輩が近寄って来た。
 
 「山村さん、おかえり。あなたは選ばれたのよ、新たなる人類の先導者に! そのために人間を捨てるのなんて大したことは無いわよ! これから始まるわよ、革命レボリューションが」

 そういってアイリのメタリックな顔にキスをしてから、外骨格に抱きついて来た。この人は危ない人だったんだと愛梨は思った。

 

 
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