181 / 200
(閑話)全身拘束刑執行女のボヤキ
山崎技師のボヤキ(4)
しおりを挟む
全身拘束刑を受けた愛莉の身代わりのエリーの機体は、元々生物を機械に改造してしまうナノマシーンに侵された女性の身体に他の様々なパーツを組み入れて偽造したものであった。その機体の持ち主が目の前に現れたので山崎技師は戸惑った表情を隠すことはなかった。
「あんたって・・・いま? ここに入ってこれないはずよ!」
「そうよ、ここにいないはずなのにというのでしょ! 」
目の前のエリーは見た目は20代の女性だが、内部はほぼサイボーグ義体だ。そんな人間は今どき珍しくはない事であるし、公式には全身拘束刑のはずだった。
「そんなの杠さんの元で働いているからよ!」
「首相?」
「いいえ、彼の正体は秘密の組織のボスよ! もうあなたも関わっているから話すけど、低支持率でボンクラという政治家は表の顔なのよ! 本当は危険な人物なのよ」
「でも、どうして冤罪で全身拘束刑が行われるのを見過ごしたわけなの? それで今ややこしい目に遭っているのよ、私は!」
「それは仕方ないのよ。ここがノーマークだったから。だからこれからは協力してもらうわよ」
「きょ、協力?」
「そう、協力よ。冤罪の被害を受けた少女を救う前に、手伝ってもらうわよ。本当のエリーの機体を回収するのを! そうそう、場合によっては破壊しても構わないから」
「破壊って・・・あんたの身体でしょあれは」
「あの身体は本当はどうでもいいのよ! あそこまで組み入れたらオリジナルは残っていないわよ。それよりも、”連中” 案件なのよ、これは」
「”連中”って、やばすぎない?」
「そうねえ、やばいわね。なんだってエキゾチックブレインの再起動をやるみたいよ。それを狙っていろんな組織が横取りしようとしているようだよ」
「マジで? そんな危ない話に協力しろというの?」
「してもらうわ、なんだってガイノイド・アイリに関わっているから。まあ、悪いようにはならないから。でも、今の職は辞めないといけないかもね」
「そんな・・・」
山崎技師はいつの間にか陰謀の渦に巻き込まれた事に愕然としていた。
「とりあえずわ、明日帝央大学理工学部に行くわよ。そうそう、明日は首相も行くそうだから覚悟してよ」
いたずらを企む少女のようにエリーは微笑んでいたが、それは山崎技師からすれば悪魔の微笑みに見えた。心の中で”なんで、こんな面倒に巻き込まれるのよ!” とぼやいていた。
「あんたって・・・いま? ここに入ってこれないはずよ!」
「そうよ、ここにいないはずなのにというのでしょ! 」
目の前のエリーは見た目は20代の女性だが、内部はほぼサイボーグ義体だ。そんな人間は今どき珍しくはない事であるし、公式には全身拘束刑のはずだった。
「そんなの杠さんの元で働いているからよ!」
「首相?」
「いいえ、彼の正体は秘密の組織のボスよ! もうあなたも関わっているから話すけど、低支持率でボンクラという政治家は表の顔なのよ! 本当は危険な人物なのよ」
「でも、どうして冤罪で全身拘束刑が行われるのを見過ごしたわけなの? それで今ややこしい目に遭っているのよ、私は!」
「それは仕方ないのよ。ここがノーマークだったから。だからこれからは協力してもらうわよ」
「きょ、協力?」
「そう、協力よ。冤罪の被害を受けた少女を救う前に、手伝ってもらうわよ。本当のエリーの機体を回収するのを! そうそう、場合によっては破壊しても構わないから」
「破壊って・・・あんたの身体でしょあれは」
「あの身体は本当はどうでもいいのよ! あそこまで組み入れたらオリジナルは残っていないわよ。それよりも、”連中” 案件なのよ、これは」
「”連中”って、やばすぎない?」
「そうねえ、やばいわね。なんだってエキゾチックブレインの再起動をやるみたいよ。それを狙っていろんな組織が横取りしようとしているようだよ」
「マジで? そんな危ない話に協力しろというの?」
「してもらうわ、なんだってガイノイド・アイリに関わっているから。まあ、悪いようにはならないから。でも、今の職は辞めないといけないかもね」
「そんな・・・」
山崎技師はいつの間にか陰謀の渦に巻き込まれた事に愕然としていた。
「とりあえずわ、明日帝央大学理工学部に行くわよ。そうそう、明日は首相も行くそうだから覚悟してよ」
いたずらを企む少女のようにエリーは微笑んでいたが、それは山崎技師からすれば悪魔の微笑みに見えた。心の中で”なんで、こんな面倒に巻き込まれるのよ!” とぼやいていた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる