冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

文字の大きさ
188 / 200
奪われる頭脳よみがえる悪夢

167・夢から覚めてもそこは仮想空間

しおりを挟む
 真由美に恐ろしい事を告白された瞬間、愛莉の意識は別の空間にあった。さっきの夢は何なの? そう考えていた愛莉であったが、さっきよりも鮮やかな色彩の空間の中にいた。明るい太陽、青い空に海、熱帯性の樹木に花。それは南国のリゾートのようだった。愛莉は行った事はなかったが。

 「ここは・・・仮想空間? でも、なんでガイノイドのままなの?」

 愛莉は周囲を見渡したが、どうも電脳同士がコミュニケーションをとる仮想空間に間違いなかった。でも、誰の趣味なのよ、これって? そう思っていると淳司の姿が出現した。

 「すまない! クライアントの都合がつかなかったので、意識をシャットアウトさせてもらった。どう、気分は?」淳司は悪びれもせず、チャラいリゾートパッションを纏っていた。

 「よくありません! なんだか悪夢を見てました・・・でも、内容が思い出せないわ」愛莉は電脳も同じことが起きるんだと思った。電脳にされても人間の時と変わらないと。夢を覚えていないのは。


 「良い夢だったらよかったのにね」

 「そうです! それよりもクライアントはこの空間に来るのですか?」

 「来るよ。色々と忙しくてね。本当は明日の火曜日に直接会えるけど、込み入った話が出来ないからお願いした。向こうも望んでいただいたし」

 「そうなんだあ・・・でも、なんでガイノイドのままなのよ!」

 愛莉は不満だった。仮想空間はアバターモードに出来るので別の恰好をすることが出来るはずなのにと。もっとも、いつも何故か高校時代の制服姿なので、それも嫌だった。

 「ごめん、ごめん。どんなのが良いの?」

 「なんでもいいわよ、愛莉の姿なら。でも、制服姿はなしよ! なんで、制服姿なのよ、私は大学生なのに!」

 「不満だったんだ、制服姿って・・・制服姿は最近の愛莉ちゃんの情報がアクセス出来なくて再現できなかったんだ。じゃあ、この雰囲気に合わせて・・・水着じゃだめ?」

 「駄目よ! 絶対! 海水浴にも行った事ないのよ! クライアントって男でしょ! いやらしい!」

 「ごめんよ、じゃあこれでどう?」

 そういうと、愛莉はガイノイドからサマードレスを纏った姿になったけど、なぜか・・・

 「水着よりもましだけど、まるで中学生じゃないのよ! いくら若い方が良いといっても、おかしいじゃないのよ。もうすぐ20歳なのよ! センスないわね!」

 「そんなにプンプンするなよ。ちょっとまて・・・クライアントがログインするそうだ。この空間に来るそうだ」

 淳司がそう言うと、向こうの方からスーツを着た初老の男が歩いてきた。その顔には酷い傷があって眼光が鋭かったが、見たことがあった。

 「紹介するよ。こちらの方が俺のクライアントにして、闇の司法部長官である・・・」

 愛莉は驚くしかなかった。紹介されたのはニュースで見たことがあったから・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...