元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン

153.ヴァークロウ・ラヴェルス班

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  目の前のダンジョンへ続く螺旋回廊はグルグル回りながら地下深い所へと降下しているのは間違いなかった。しかも壁にはなにやら階数らしいものがかかれていたが、どんどんその数字は大きくなっていった。

  「ファビューさん、さっきの紙だけど当てでも書かれていたのですか?」
  タクヤはそういったが、今回の研修ではなんら役に立っていないと思っていたところなので、すこし聞いてみたくなったのだ。

  「当て? ダンジョンマスターのことか? そうだ、そうだよ。なんでも、このダンジョン内で細々とだけど素晴らしい魔導士の道具を作っている職人集団の長だそうだ。理由はわからないけど、このダンジョンの最下層にいるそうだ。しかも本当のダンジョン・デ・サンミュアッツの支配者だそうだ。だから、接触すればオオネコの居場所もわかるかもしれないし。なんだってここは巨大な迷路みたいだそうだから」

  「ダンジョン・デ・サンミュアッツの支配者? ここのダンジョンってさっきの閣下のおばさんが治めているんじゃないの?」

  「あの閣下は表向き。本当は高度な自治組織が支配しているそうだ。でも、こうやって奥深くまで侵入したらどんな反応を示してくるのか、不安でもあるがね」

  ファビューの大きな体はこころなしか震えているようだった。

 同じころ、ヴァークロウ・ラヴェルスが班長を務める一行もダンジョンの地下を降下していた。こちらの方はただエヴァ・エリを早く見つけ出して帰りたくってしかたなかった。ここダンジョン・デ・サンミュアッツは色々な魔物が住んでいて工房があることで一部で有名であったが、そんなことに興味はなかった。

  一行の持つ魔道具は全て最新鋭の物ばかりで固められており、必要としなかったからだ。もっとも、そのすべてが親などから与えられたものであったが。

  「ヴァークロウ、はやくこんなダンジョン。終わらせようぜ!」

  「そうだな、終わったら早く本部に帰ろう。このサンミュアッツって田舎町遊ぶようなところもないし、とっととオオネコを捕まえよう」

  「それにしても、俺たちと張り合っている奴らよりも先んじようぜ。まあ、大丈夫だろうけど」

  「それもそうだな。まぐれで有名になったどこかからの召喚者に負けるわけないだろうぜ」

  「それもそうだな。でも気を抜くのは早いぜ」

  一行がそう言ったときにはダンジョンのどこからかやってきたかのような気配がしたからだ。
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