元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

文字の大きさ
156 / 166
第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン

154.異変

しおりを挟む
 一方のアサミたちファビュー班は役に立つのか分からないメモを頼りにダンジョン・マスターと呼ぶ職人の居場所をさがしていた。たしかに、当てもなくオオネコを探すよりはましかもしれないが、追い越される危険もあった。

 「ファビューさん、いいんですかオオネコじゃなくてマスターを先に探すというのは?」

 ルンファは暗く湿気たダンジョンの通路をうんざりといった表情をしながらついていたが、探し他に何もやることがない状況に嫌気がさしていたかもしれなかった。

 「しかたないさ。ここの情報を得るには接触できそうな職人を探す方が確かだ。もう一方のお坊ちゃまたちが見つける方が早いかもしれないけど、こっちの方で出来ることはしたいのさ。それに、こんな広く深いダンジョンを隈なく探していたら、いつのことになるのかわからないしな」

 ファビューは大きな体を少しシャガミながらすすんでいた。どうもここは彼にとって狭くて窮屈そうだった。

 「なあアサミ。その鼻って利かないのか? ほら嗅覚が鋭くって探しているオオネコの匂いなんかしないか?」

 タクヤもただ歩くだけなので少し飽きていたので、おもわずアサミに失礼かもしれないとおもいつつ聞いていた。

 「タクヤ、わたしは耳はネコでも鼻は人間並みにしか利きませんよ! でも、なんか薄気味悪い気配だけはいっぱい漂っているように感じるわ」

 アサミはその時、なんかの気配を感じていた。もっともそれはダンジョンの結界に入ったときから続いていた事ではあったが。その時、遠くで何かの悲鳴が聞こえてきた。

 その悲鳴はもしかするとヴァークロウ・ラヴェルス班の誰かの悲鳴のように思えたアサミは思わず行ってみようといったところ、タクヤは口をはさんできた。

 「これって、一応競争をしているんだよな? いったら失格とはならないか? でも、あの悲鳴ただ事ではないから、確かめに行ってみてもいいかな」

 とりあえず一行は悲鳴がした方向に向かうことにした。そこに行くにはさらに螺旋回廊を降下していかなければならなかった。地底深くに向かっているためか、だんだんと気温が下がって湿度も高くなって過ごしにくい状態になった。その状況でルンファは自分の手足にある毛皮をしきりにこすっていた。

 「あたい、こんな寒いところイヤ! やっぱお日様が照って暑い方がすごしやすいや!」

 「なにいっているんだ? 本当の魔導士は暑いだの寒いだの関係なしに使命を果たさないといけないんだぞ! これしきの環境の変化我慢しろ!」

 「そういうファビューさんはどうなの? 身体は大きいけど少し震えているようだけど?」

 「正直に言おう、わしも寒いんじゃ! でも、こんなの氷上の交易市で丸四日も商った経験からすればまだ序の口だ!」

 ルンファとファビューの掛け合いにアサミは少し微笑んでいた。やっぱ、仲がいいのはいいことだと。でもアサミはタクヤとはいったいどんな風になっていくのだろうかと心配だと考えていた。本当に結ばれるまでに超えないといけない何かを感じていたからだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~

仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

【新作】1分で読める! SFショートショート

Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。 1分で読める!読切超短編小説 新作短編小説は全てこちらに投稿。 ⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。

「美少女157人も召喚できるだと!?」社畜の俺、尖ったトラウマを全部『まあるく』収めて大賢者になる。── やっぱりせかいはまあるいほうがいい

あとりえむ
ファンタジー
『ヒロイン全員 挿絵付き』の異世界セラピーファンタジー。あなたの推しのヒロインは誰ですか? 「やはり、世界は丸いほうがいい……」 過労死した元データアナリスト参 一肆(まいる かずし)が女神様から授かったのは、アホみたいな数式から導き出された究極のハーレム召喚だった。 157人のヒロインたちに埋もれて、尖った世界を『まあるく』浄化しくしていく…… Dカップの村娘からIカップの竜の姫君まで、あらゆる属性のヒロイン達と一緒に、襲い来る「社畜のトラウマ」に立ち向かう。 全人類の半分の夢が詰め込まれた、極上のスキンシップの冒険譚が今開幕する! 余談: 作中のキャラが動く自作のwebアプリ公開中!(DL不要、ブラウザで遊べます) URLは近況ボードでご確認ください。

処理中です...