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第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン
154.異変
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一方のアサミたちファビュー班は役に立つのか分からないメモを頼りにダンジョン・マスターと呼ぶ職人の居場所をさがしていた。たしかに、当てもなくオオネコを探すよりはましかもしれないが、追い越される危険もあった。
「ファビューさん、いいんですかオオネコじゃなくてマスターを先に探すというのは?」
ルンファは暗く湿気たダンジョンの通路をうんざりといった表情をしながらついていたが、探し他に何もやることがない状況に嫌気がさしていたかもしれなかった。
「しかたないさ。ここの情報を得るには接触できそうな職人を探す方が確かだ。もう一方のお坊ちゃまたちが見つける方が早いかもしれないけど、こっちの方で出来ることはしたいのさ。それに、こんな広く深いダンジョンを隈なく探していたら、いつのことになるのかわからないしな」
ファビューは大きな体を少しシャガミながらすすんでいた。どうもここは彼にとって狭くて窮屈そうだった。
「なあアサミ。その鼻って利かないのか? ほら嗅覚が鋭くって探しているオオネコの匂いなんかしないか?」
タクヤもただ歩くだけなので少し飽きていたので、おもわずアサミに失礼かもしれないとおもいつつ聞いていた。
「タクヤ、わたしは耳はネコでも鼻は人間並みにしか利きませんよ! でも、なんか薄気味悪い気配だけはいっぱい漂っているように感じるわ」
アサミはその時、なんかの気配を感じていた。もっともそれはダンジョンの結界に入ったときから続いていた事ではあったが。その時、遠くで何かの悲鳴が聞こえてきた。
その悲鳴はもしかするとヴァークロウ・ラヴェルス班の誰かの悲鳴のように思えたアサミは思わず行ってみようといったところ、タクヤは口をはさんできた。
「これって、一応競争をしているんだよな? いったら失格とはならないか? でも、あの悲鳴ただ事ではないから、確かめに行ってみてもいいかな」
とりあえず一行は悲鳴がした方向に向かうことにした。そこに行くにはさらに螺旋回廊を降下していかなければならなかった。地底深くに向かっているためか、だんだんと気温が下がって湿度も高くなって過ごしにくい状態になった。その状況でルンファは自分の手足にある毛皮をしきりにこすっていた。
「あたい、こんな寒いところイヤ! やっぱお日様が照って暑い方がすごしやすいや!」
「なにいっているんだ? 本当の魔導士は暑いだの寒いだの関係なしに使命を果たさないといけないんだぞ! これしきの環境の変化我慢しろ!」
「そういうファビューさんはどうなの? 身体は大きいけど少し震えているようだけど?」
「正直に言おう、わしも寒いんじゃ! でも、こんなの氷上の交易市で丸四日も商った経験からすればまだ序の口だ!」
ルンファとファビューの掛け合いにアサミは少し微笑んでいた。やっぱ、仲がいいのはいいことだと。でもアサミはタクヤとはいったいどんな風になっていくのだろうかと心配だと考えていた。本当に結ばれるまでに超えないといけない何かを感じていたからだ。
「ファビューさん、いいんですかオオネコじゃなくてマスターを先に探すというのは?」
ルンファは暗く湿気たダンジョンの通路をうんざりといった表情をしながらついていたが、探し他に何もやることがない状況に嫌気がさしていたかもしれなかった。
「しかたないさ。ここの情報を得るには接触できそうな職人を探す方が確かだ。もう一方のお坊ちゃまたちが見つける方が早いかもしれないけど、こっちの方で出来ることはしたいのさ。それに、こんな広く深いダンジョンを隈なく探していたら、いつのことになるのかわからないしな」
ファビューは大きな体を少しシャガミながらすすんでいた。どうもここは彼にとって狭くて窮屈そうだった。
「なあアサミ。その鼻って利かないのか? ほら嗅覚が鋭くって探しているオオネコの匂いなんかしないか?」
タクヤもただ歩くだけなので少し飽きていたので、おもわずアサミに失礼かもしれないとおもいつつ聞いていた。
「タクヤ、わたしは耳はネコでも鼻は人間並みにしか利きませんよ! でも、なんか薄気味悪い気配だけはいっぱい漂っているように感じるわ」
アサミはその時、なんかの気配を感じていた。もっともそれはダンジョンの結界に入ったときから続いていた事ではあったが。その時、遠くで何かの悲鳴が聞こえてきた。
その悲鳴はもしかするとヴァークロウ・ラヴェルス班の誰かの悲鳴のように思えたアサミは思わず行ってみようといったところ、タクヤは口をはさんできた。
「これって、一応競争をしているんだよな? いったら失格とはならないか? でも、あの悲鳴ただ事ではないから、確かめに行ってみてもいいかな」
とりあえず一行は悲鳴がした方向に向かうことにした。そこに行くにはさらに螺旋回廊を降下していかなければならなかった。地底深くに向かっているためか、だんだんと気温が下がって湿度も高くなって過ごしにくい状態になった。その状況でルンファは自分の手足にある毛皮をしきりにこすっていた。
「あたい、こんな寒いところイヤ! やっぱお日様が照って暑い方がすごしやすいや!」
「なにいっているんだ? 本当の魔導士は暑いだの寒いだの関係なしに使命を果たさないといけないんだぞ! これしきの環境の変化我慢しろ!」
「そういうファビューさんはどうなの? 身体は大きいけど少し震えているようだけど?」
「正直に言おう、わしも寒いんじゃ! でも、こんなの氷上の交易市で丸四日も商った経験からすればまだ序の口だ!」
ルンファとファビューの掛け合いにアサミは少し微笑んでいた。やっぱ、仲がいいのはいいことだと。でもアサミはタクヤとはいったいどんな風になっていくのだろうかと心配だと考えていた。本当に結ばれるまでに超えないといけない何かを感じていたからだ。
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