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第二章:ひとりといっぴきから二人の旅立ち
060.イリスとネコ耳少女と
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伊理のカリソメの姿を捨てエンジェルのイリスに戻った姿を見てタクヤは唖然としていた。さっきまでミズボラしい老女ホームレスだったのがエンジェルになったから当たり前だ。
ネコ耳少女のアサミを見たときタクヤはなんかの冗談だと思ってしまった。眠っている間にネコが少女に変身するだなんて、しかも昔出会った女子高生の永川亜佐美に瓜二つときたもんだからだ。
それはアサミも一緒で、アサミの自我が復活してタクヤと共に行動していたとはいえ、こうして二足歩行の人間に近い姿に変化して初めて面と向かったので恥ずかしかった。
「アサミだよなあ? 俺が眠る前にはゲージに入っていたネコだったわけだよな? でも、なんで人間になったわけなの? そんな事ってありかよ!」
「ええ、その私アサミよ! あなたに拾ってもらったネコだったわよ。でも、こうして私は人間みたいになったのよ、あなたと一緒になるために」
「人間みたい? なんだそりゃ?」
「ほら、わたしネコの耳でしょ、それに腰には尻尾もあるし」
そういって、アサミはタクヤに頭の上を見せてスカートの下から尻尾を上げ下げしてみせた。するとタクヤはアサミの頭に掴みかかった。
「いたい! なにするのよ!」
「すまない、この耳本物なんだ! 思わず触ってしまった」
タクヤはアサミの耳をむんずと掴んでいたのだ。その感触はネコのアサミと同じものだったけど、サイズは大きくなっていた。
「もう! わたしはあなたによくこうやって耳を触ってもらって気持ちよかったわよ。でも人間みたいになってから触られると、なんか違った感覚なのよね」
そういってアサミはタクヤがよくやっていた耳を裏返しにして触る動作を真似していた。するとタクヤは目の前にいるのはネコのアサミが変化したもんだと気付いていた。
「やっぱり、アサミなんだ! でもなんで俺が墓参りに行こうとしていた女の顔をしているのだよ」
「その墓参りに行こうとしていた女って誰なのよ?」
アサミは判っていながら意地悪く質問してみた。
「それはなあ、その。そうだな・・・ってアサミってまさか?」
タクヤはなんとなく判った様子だった。アサミはもしかすると永川亜佐美姿を写しているものではないかと。
「アサミ! お前ネコだったんだよな! なんで人間の言葉がわかるんだよ!」
タクヤが予想もしない質問をしてきたので、アサミは驚いてしまった。
「そりゃ・・・人間に近い姿になったんだから人間のようにしゃべれるようになっただけよ! ところで、わたしがもしその女の生まれ変わりだとしたらタクヤはどう思う」
「そうだなあ、ってそんなことあるはず無いんじゃねえんかよ!」
「あれ? ネコが人間みたいになるのですから、転生してくるぐらいのこと起きてもおかしくないでしょ!」
「そうかもしれないけど・・・アサミ、それじゃあ生まれ変わりだという証拠でもあるのか?」
アサミは少しムットしてしまったけど、いきなり現われたのだからしかたないなあと思い直した。
「あなたの夢でわたしはわたしと一緒に旅に行きましょうねと言ったわよ、それに・・・」
「それってなんだ?」
「ほら、あなたネコのアリスを家に連れてきたときに、一緒にプリクラ撮りに行ったじゃないのよ。クモが目の前に出てきたときに、なぜかクモが怖いってといってのけぞっていたじゃないのよ。
それに、毎年年賀状には必ずイモ判みたいな手彫りの名前を押していたよね」
タクヤはそういえばそんなことを昔、自分で年賀状にそういった事をしていたことを思い出した。年賀状なんて書いたことはもう十年はやっていなかったけど。
そういうことは十年以上前に年賀状を受け取っていた人に間違いなかった。しかも女の子で出していたのは・・・そう多くなかった。
その条件に会う女といえば永川亜佐美しかいないはずだった。でも目の前にいるネコ耳少女はどうみても二十歳以下だった。
「そういうことは、あんたは生まれ変わってきたというわけなの? アサミさんとして」
「まあ、そういうことになるのかな。だって永川亜佐美の記憶を持っているし。でも思い出したのはつい最近よ! そこのイリスさんのお陰よ」
「イリスさんって伊理さんのことか? どうしてこんな事をしたのですか? アサミは復活しているし、俺は若返っているし」
タクヤはその時になると、どうも異世界に転移したというのを理解し始めていた。ホームレスが一人消えてここにきたことなど、もう誰も気にしないだろう。でもこれから生きて行かないといけない。目の前のアサミというネコ耳少女と。
ネコ耳少女のアサミを見たときタクヤはなんかの冗談だと思ってしまった。眠っている間にネコが少女に変身するだなんて、しかも昔出会った女子高生の永川亜佐美に瓜二つときたもんだからだ。
それはアサミも一緒で、アサミの自我が復活してタクヤと共に行動していたとはいえ、こうして二足歩行の人間に近い姿に変化して初めて面と向かったので恥ずかしかった。
「アサミだよなあ? 俺が眠る前にはゲージに入っていたネコだったわけだよな? でも、なんで人間になったわけなの? そんな事ってありかよ!」
「ええ、その私アサミよ! あなたに拾ってもらったネコだったわよ。でも、こうして私は人間みたいになったのよ、あなたと一緒になるために」
「人間みたい? なんだそりゃ?」
「ほら、わたしネコの耳でしょ、それに腰には尻尾もあるし」
そういって、アサミはタクヤに頭の上を見せてスカートの下から尻尾を上げ下げしてみせた。するとタクヤはアサミの頭に掴みかかった。
「いたい! なにするのよ!」
「すまない、この耳本物なんだ! 思わず触ってしまった」
タクヤはアサミの耳をむんずと掴んでいたのだ。その感触はネコのアサミと同じものだったけど、サイズは大きくなっていた。
「もう! わたしはあなたによくこうやって耳を触ってもらって気持ちよかったわよ。でも人間みたいになってから触られると、なんか違った感覚なのよね」
そういってアサミはタクヤがよくやっていた耳を裏返しにして触る動作を真似していた。するとタクヤは目の前にいるのはネコのアサミが変化したもんだと気付いていた。
「やっぱり、アサミなんだ! でもなんで俺が墓参りに行こうとしていた女の顔をしているのだよ」
「その墓参りに行こうとしていた女って誰なのよ?」
アサミは判っていながら意地悪く質問してみた。
「それはなあ、その。そうだな・・・ってアサミってまさか?」
タクヤはなんとなく判った様子だった。アサミはもしかすると永川亜佐美姿を写しているものではないかと。
「アサミ! お前ネコだったんだよな! なんで人間の言葉がわかるんだよ!」
タクヤが予想もしない質問をしてきたので、アサミは驚いてしまった。
「そりゃ・・・人間に近い姿になったんだから人間のようにしゃべれるようになっただけよ! ところで、わたしがもしその女の生まれ変わりだとしたらタクヤはどう思う」
「そうだなあ、ってそんなことあるはず無いんじゃねえんかよ!」
「あれ? ネコが人間みたいになるのですから、転生してくるぐらいのこと起きてもおかしくないでしょ!」
「そうかもしれないけど・・・アサミ、それじゃあ生まれ変わりだという証拠でもあるのか?」
アサミは少しムットしてしまったけど、いきなり現われたのだからしかたないなあと思い直した。
「あなたの夢でわたしはわたしと一緒に旅に行きましょうねと言ったわよ、それに・・・」
「それってなんだ?」
「ほら、あなたネコのアリスを家に連れてきたときに、一緒にプリクラ撮りに行ったじゃないのよ。クモが目の前に出てきたときに、なぜかクモが怖いってといってのけぞっていたじゃないのよ。
それに、毎年年賀状には必ずイモ判みたいな手彫りの名前を押していたよね」
タクヤはそういえばそんなことを昔、自分で年賀状にそういった事をしていたことを思い出した。年賀状なんて書いたことはもう十年はやっていなかったけど。
そういうことは十年以上前に年賀状を受け取っていた人に間違いなかった。しかも女の子で出していたのは・・・そう多くなかった。
その条件に会う女といえば永川亜佐美しかいないはずだった。でも目の前にいるネコ耳少女はどうみても二十歳以下だった。
「そういうことは、あんたは生まれ変わってきたというわけなの? アサミさんとして」
「まあ、そういうことになるのかな。だって永川亜佐美の記憶を持っているし。でも思い出したのはつい最近よ! そこのイリスさんのお陰よ」
「イリスさんって伊理さんのことか? どうしてこんな事をしたのですか? アサミは復活しているし、俺は若返っているし」
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