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第参章:この世界で二人生きていくためには
061.新たな世界で
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二人のやり取りを見ていたイリスはおもむろに口を開けた。
「タクヤ様、アサミ様。これからあなたたちはこの世界で生きていくのですから、仲良くやってください。とりあえず、この列車から降りてください。この世界の鉄道は殆ど使われていません。
それから降りたところに巨石がありますので、そこで待っていてください、そうしたら迎えが来ますが、その人は馬車でやってきます」
タクヤ、アサミそしてイリスの三人は列車から降りた。その列車はいつの間にか古ぼけた木造車両のような外装に変わっていた。 三人は巨石の傍らで待つことにした。
「イリスさん、これから私たちどうなるのですか?」
アサミは巨石の傍に転がっていた丸太の上に腰掛けていた。どうも不安なのかアサミは腰の尻尾を左右に振っていた。
「これから馬車で迎えに来る方は、この世界の派遣会社みたいなものです。魔道士や傭兵などを各地に派遣しています。そうそう、この世界は地球でいうところの国家間の戦争は遠い昔に根絶されています。
そのかわりその秩序を維持するためには・・・まあ、そういった話は今は長くなりますから、おいおい覚えてください。とりあえず、その人が来たら勧められる木の実を食べてください」
「木の実を食べる?」
「この世界の言葉がわかるようになる知恵の実ですよ。それであなた達はその人たちと付いて行って下さい。そうすれば未来が開かれますから」
イリスはそういったが、アサミとタクヤは不安でたまらなかった。いままで暮らしてきた世界とは大きく異なっているのは間違いなかったからだ。
戦争が根絶された社会なのに、なぜ魔道士や傭兵が存在するのか? また馬車で迎いに来るなど文明レベルも地球よりも高いのか低いのかわからなかった。
タクヤとアサミ、そしてイリスの傍らにある巨石は奇妙な形をしていた。上の方がまるでキノコのようになっていた。また周囲が平らな葦原なので相当遠い所からでも見えそうだった。
アサミはこの時真っ赤なドレスのような衣装を着ていたけど、これはこの世界の女性が一般的に着るようなもので、一種の民族衣装のようなものだった。もっとも、いままで生活していた地球の価値観からすれば中世ヨーロッパのような古めかしい感じがした。
「ところでアサミ、生まれ変わったというとの事だけどあの世ってどんなところだったの?」
タクヤは唐突に質問してきた。
「あの世? そうねえ、思い出せないわ。わたしが思い出したのは永川亜佐美が海に激突して死んだ直後までよ。そういえば天国にいっているのよね、わたし。地獄に行っていたらこんなに早く生まれ変わってなんかいないだろうし。それにしてもなんでそんな事を聞くの?」
「いやあ、俺の両親も兄も先に亡くしたからね。いまごろみんなどうしているのかなと思ったのさ」
「うーん、そうなんだ。わたしの場合はアサミの人生がリスタートしたようなもんだから覚えているようだけど、特別な事らしいから。ところでタクヤ、前世なんて信じるの?」
「そうだなあ、昔だったら信じなかったけど、こうしてアサミに再会できたのだから信じるかもな。それにさっき夢の中で、アサミと前世でも縁があったような光景を見たのさ」
そんな二人の駆け抜ける風は春風のように穏やかであったが、そこが新たな世界での生活の始まりであった。
「タクヤ様、アサミ様。これからあなたたちはこの世界で生きていくのですから、仲良くやってください。とりあえず、この列車から降りてください。この世界の鉄道は殆ど使われていません。
それから降りたところに巨石がありますので、そこで待っていてください、そうしたら迎えが来ますが、その人は馬車でやってきます」
タクヤ、アサミそしてイリスの三人は列車から降りた。その列車はいつの間にか古ぼけた木造車両のような外装に変わっていた。 三人は巨石の傍らで待つことにした。
「イリスさん、これから私たちどうなるのですか?」
アサミは巨石の傍に転がっていた丸太の上に腰掛けていた。どうも不安なのかアサミは腰の尻尾を左右に振っていた。
「これから馬車で迎えに来る方は、この世界の派遣会社みたいなものです。魔道士や傭兵などを各地に派遣しています。そうそう、この世界は地球でいうところの国家間の戦争は遠い昔に根絶されています。
そのかわりその秩序を維持するためには・・・まあ、そういった話は今は長くなりますから、おいおい覚えてください。とりあえず、その人が来たら勧められる木の実を食べてください」
「木の実を食べる?」
「この世界の言葉がわかるようになる知恵の実ですよ。それであなた達はその人たちと付いて行って下さい。そうすれば未来が開かれますから」
イリスはそういったが、アサミとタクヤは不安でたまらなかった。いままで暮らしてきた世界とは大きく異なっているのは間違いなかったからだ。
戦争が根絶された社会なのに、なぜ魔道士や傭兵が存在するのか? また馬車で迎いに来るなど文明レベルも地球よりも高いのか低いのかわからなかった。
タクヤとアサミ、そしてイリスの傍らにある巨石は奇妙な形をしていた。上の方がまるでキノコのようになっていた。また周囲が平らな葦原なので相当遠い所からでも見えそうだった。
アサミはこの時真っ赤なドレスのような衣装を着ていたけど、これはこの世界の女性が一般的に着るようなもので、一種の民族衣装のようなものだった。もっとも、いままで生活していた地球の価値観からすれば中世ヨーロッパのような古めかしい感じがした。
「ところでアサミ、生まれ変わったというとの事だけどあの世ってどんなところだったの?」
タクヤは唐突に質問してきた。
「あの世? そうねえ、思い出せないわ。わたしが思い出したのは永川亜佐美が海に激突して死んだ直後までよ。そういえば天国にいっているのよね、わたし。地獄に行っていたらこんなに早く生まれ変わってなんかいないだろうし。それにしてもなんでそんな事を聞くの?」
「いやあ、俺の両親も兄も先に亡くしたからね。いまごろみんなどうしているのかなと思ったのさ」
「うーん、そうなんだ。わたしの場合はアサミの人生がリスタートしたようなもんだから覚えているようだけど、特別な事らしいから。ところでタクヤ、前世なんて信じるの?」
「そうだなあ、昔だったら信じなかったけど、こうしてアサミに再会できたのだから信じるかもな。それにさっき夢の中で、アサミと前世でも縁があったような光景を見たのさ」
そんな二人の駆け抜ける風は春風のように穏やかであったが、そこが新たな世界での生活の始まりであった。
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