元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第参章:この世界で二人生きていくためには

063.要塞馬車

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 巨石の麓で待っていた二人の前に現れたのは巨大な馬車だった。まるで移動要塞みたいな感じだった。それを引くウマも動力源はなにかわからないけど、蒸気のようなものを吹き上げていた。すると馬車の上の窓から声がしたが、何を言っているのか判らなかった。

  どうすればいいのか戸惑っていると、要塞から縄はしごが下ろされ、物凄く背が低い老人のような者がおりてきて二人に近づいてきた。このとき彼はクルミのような固そうな木の実を差し出してきた。このときイリスが言っていた事を思い出した。これは知恵の実だと。

  その実は硬く美味しいものではなかったけど、食べているうちにだんだんと老人の言っていた言葉の意味が判るようになった。

  「あんたたちかね? 御神託でいっていた二人は? 他の世界から召喚されてきたということだけど、いったいどんな世界なんだよ。この世界に居る者とそんなに変わらないが・・・まあ、御神託なんだから仕方ないさ。
  申し遅れたが、わしはこの要塞馬車の主人のヴァリラディスだ。そっちの名前を言いなさい。

  「俺はタクヤ。そっちのネコ耳の少女はアサミというのだ。ところで俺たちはこれからどうなるのだ?」

  「まあまあ、不安なのはわかる。とりあえず馬車の中にお入りなさい。朝食を用意しているから」

 ヴァリラディスは長身で白い顎鬚を生やしているのはわかったが、頭部はフードを被っていてどうなっているのかわからなかった。ただ皮膚からすると相当シワが刻まれているので、老人のようだった。

  「君達は御神託によれば遠い別の世界から来たということだが、そこでは何をしていたんだ」

  「俺は、ホームレスでその前は工場で働いていました、そこの彼女は・・・」

  「なんとなく察しはつくさ、そこの彼女は人間の魂を持つ獣だったんだろう」

  「わたし違う! といいたいけど当たっているわ。この世界にもいるのですかネコは?」

  「ああ、いるとも。それと君みたいな種族も。その種族って結構有能なんだよね。キャック族といってね。最近じゃ絶滅寸前なので探していたところで丁度よかった」

  「なんですが、そのキャック族っていうのは?」

  「いまの彼女とほぼ一緒の姿をした種族よ。身体能力も高いし洞察力にも探知能力も高いし、パーティーに一人入れるだけでも相当戦力向上になっていたんだが・・・」

  「まって下さい。パーティーってなんのことですか?」

  「そうか・・・まだ君たちはこの世界にやってきて時間が間もないのだな。ちょっと考えてくれたまえ、どうやってこの世界で生活するのかと」

 ここは地球とは別の世界、もしかすると同じ宇宙にあるのかもしれないけど生きていくためになにかをしないといけないのは一緒だ。
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