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奇跡の朝
03・なぜ?
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早苗は喜々として浴室へと向かった。自分の家でシャワーを浴びれるなんて何年ぶりなんだと嬉しそうに語っていた。そんな彼女を見送った後、隆治は床にへたり込んでしまい、さっきまで二人で見つめていた手鏡をまた見入っていた。そこに写る自分の姿に!
「なんでこんなことになってしまったんかいな? なにが原因なんだよ」
隆治は若くなって少年のようになった顔を見入っていた。その顔は高校中退した17歳ごろだったと感じていた。昨日までの未来などなく人生の黄昏を迎えていたはずなのに、今は未来があったあの頃に・・・でも不安もあった。これは夢かもしれないし、夢でなくても明日になれば元に戻るのではないかと。
結論から言えば、このあと二人が急激に元の姿に戻ることはなく、今まで刻んできた時間の流れのように年老いていくのであったが、その時は何が原因でこんな風に若くなったのか分からなかった。でも心当たりはあった。
「こいつが原因だよな。でも、なぜなんだ」
枕元には小さな牛乳瓶があった。早苗は近所付き合いで古くから宅配牛乳のサービスを受けていたが、昨日は牛乳と一緒にその小瓶があった。その小瓶にはメモが輪ゴムで一緒にされていてこんなふうに書いていた。”サービスの試供品です。おふたりでお試しくださいね。” その字は可愛らしい少女が書いたようであったが、この家に宅配しに来るのは高齢ドライバーなのにと不審に思ったけど、言われたとおりに試し飲みしたわけだ。
「ラズベリーの味がするヨーグルトみたいとばあさんは言っていたよな。そのあと・・・」
隆治は思い出した。たしか、あの時のことを。急激に全身が熱くなってから早苗と一緒に倒れこんだことを。たしか、目の前で熱い熱いといって早苗が苦しんでいたことを。今にして思えば、あれは身体が若返っていたんだと。
「不思議だよな。あれって若返りの薬だったのか? 誰が入れたんだよ」
隆治は小瓶に巻き付けていたメモを探したが、そのあと二度と見る事はなかった。まるで消滅したかのように。そのとき、あることを思い出した。
「あ! ばあさんの着替えを用意しなくちゃならねえな!」
そういって隆治は今日の早苗のデイサービスに行くための洋服を準備し始めたが、介護用オシメを手に持ったときに気付いた。
「これはいらねえよな。それにしても、ばあさんの下着ってどこにあるんかいな?」
そういって、早苗の下着を探す隆治であった。
「なんでこんなことになってしまったんかいな? なにが原因なんだよ」
隆治は若くなって少年のようになった顔を見入っていた。その顔は高校中退した17歳ごろだったと感じていた。昨日までの未来などなく人生の黄昏を迎えていたはずなのに、今は未来があったあの頃に・・・でも不安もあった。これは夢かもしれないし、夢でなくても明日になれば元に戻るのではないかと。
結論から言えば、このあと二人が急激に元の姿に戻ることはなく、今まで刻んできた時間の流れのように年老いていくのであったが、その時は何が原因でこんな風に若くなったのか分からなかった。でも心当たりはあった。
「こいつが原因だよな。でも、なぜなんだ」
枕元には小さな牛乳瓶があった。早苗は近所付き合いで古くから宅配牛乳のサービスを受けていたが、昨日は牛乳と一緒にその小瓶があった。その小瓶にはメモが輪ゴムで一緒にされていてこんなふうに書いていた。”サービスの試供品です。おふたりでお試しくださいね。” その字は可愛らしい少女が書いたようであったが、この家に宅配しに来るのは高齢ドライバーなのにと不審に思ったけど、言われたとおりに試し飲みしたわけだ。
「ラズベリーの味がするヨーグルトみたいとばあさんは言っていたよな。そのあと・・・」
隆治は思い出した。たしか、あの時のことを。急激に全身が熱くなってから早苗と一緒に倒れこんだことを。たしか、目の前で熱い熱いといって早苗が苦しんでいたことを。今にして思えば、あれは身体が若返っていたんだと。
「不思議だよな。あれって若返りの薬だったのか? 誰が入れたんだよ」
隆治は小瓶に巻き付けていたメモを探したが、そのあと二度と見る事はなかった。まるで消滅したかのように。そのとき、あることを思い出した。
「あ! ばあさんの着替えを用意しなくちゃならねえな!」
そういって隆治は今日の早苗のデイサービスに行くための洋服を準備し始めたが、介護用オシメを手に持ったときに気付いた。
「これはいらねえよな。それにしても、ばあさんの下着ってどこにあるんかいな?」
そういって、早苗の下着を探す隆治であった。
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