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奇跡の朝
04・どうなるのよ!
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足が不自由な早苗は家の中では手すりに掴まりながら移動し、外に行くときは車椅子に乗っていた。そして食事の準備やトイレの介助は隆治がやってくれた。入浴はデイサービス先のお世話になっていた。それらは昨日までの彼女だった。
しかし今はなにか超常的なことでも起きたため、二十歳ごろの身体になっていた。あの頃は無限の可能性があったはずだし、そう思い込んでいた年頃の。
風呂の準備は出来ていなかったのでとりあえずシャワーを浴びていた。この家の浴室は早苗の祖父母や両親が使えるように手すりがついていて、バリアフリーになっていたが今の彼女には必要なかった。なんら不自由なく自分ですたすた使えた。
早苗は自分の身体を確かめるようにシャワーを浴びていた。昨日まで朽ちかけの木のようにシワが入り汚れ血色が悪かった皮膚が、張りのある血色の良い忘れていた感触にウットリしていた。昨日は隆治に粗相の世話をしてもらった下腹部はあの頃に戻っていた。もっとも、早苗は処女であったが。一切誰とも契りなんてものを結んだことなかったし、当然隆治ともしたことはなかった。
「婆さん、着替えこれでいいのかわからんけど、ここに置いとくぞ!」
隆治が外でそう言っていた。彼の声も少年のように若返っていた。口調は一緒だというのに!
「ありがとう、じいさん。そういえば・・・違和感あるよね」
「なにが?」
「私たち、若返ったのよね、婆さんとじいさんじゃないよね?」
「それもそうだな! それにしてもどうしようかな、今日のデイサービス」
「デイサービス?」
今日は早苗の入浴とリハビリのために迎えに来る日だった。
「そうだろ! とりあえず必要なくなっただろ、そうやって入浴しているんだし。それに問題なく歩行出来るだろ!」
「そうよね・・・でも納得してもらえるかしら? 聞いたことないよね、若返ったから必要なくなりましたなんて話を」
そういいながら早苗は浴室にある鏡を見ていた。髪型は昨日と同じショートカットのままだったが、黒々とした髪の毛になっていた。顔もシワがなくあの頃の顔に戻っていた。
「とりあえず朝食は用意したから食べながら考えよう、今後の事を」
早苗は隆治に促されて外に出た。すると外には若い男がいたので思わずのけぞってしまった!
「ちょっとまて! わしは隆治だ! 一緒に若くなってしまったが、一応夫婦なんだから。まあ同居人と言った方が正しいかもしれないがな。これが昔話だったら若返って一件落着って事で終わりだろうけど、高齢者が若者になったなんて、これからどうなってしまうのか分からないと思わんか? 昨日までの二人なんて信じてもらえんかもしれないし」
隆治が言う通り、たしかに超常的な事が起きてしまったのだから、かえって困難な事が起きそうだと思う二人であった。
しかし今はなにか超常的なことでも起きたため、二十歳ごろの身体になっていた。あの頃は無限の可能性があったはずだし、そう思い込んでいた年頃の。
風呂の準備は出来ていなかったのでとりあえずシャワーを浴びていた。この家の浴室は早苗の祖父母や両親が使えるように手すりがついていて、バリアフリーになっていたが今の彼女には必要なかった。なんら不自由なく自分ですたすた使えた。
早苗は自分の身体を確かめるようにシャワーを浴びていた。昨日まで朽ちかけの木のようにシワが入り汚れ血色が悪かった皮膚が、張りのある血色の良い忘れていた感触にウットリしていた。昨日は隆治に粗相の世話をしてもらった下腹部はあの頃に戻っていた。もっとも、早苗は処女であったが。一切誰とも契りなんてものを結んだことなかったし、当然隆治ともしたことはなかった。
「婆さん、着替えこれでいいのかわからんけど、ここに置いとくぞ!」
隆治が外でそう言っていた。彼の声も少年のように若返っていた。口調は一緒だというのに!
「ありがとう、じいさん。そういえば・・・違和感あるよね」
「なにが?」
「私たち、若返ったのよね、婆さんとじいさんじゃないよね?」
「それもそうだな! それにしてもどうしようかな、今日のデイサービス」
「デイサービス?」
今日は早苗の入浴とリハビリのために迎えに来る日だった。
「そうだろ! とりあえず必要なくなっただろ、そうやって入浴しているんだし。それに問題なく歩行出来るだろ!」
「そうよね・・・でも納得してもらえるかしら? 聞いたことないよね、若返ったから必要なくなりましたなんて話を」
そういいながら早苗は浴室にある鏡を見ていた。髪型は昨日と同じショートカットのままだったが、黒々とした髪の毛になっていた。顔もシワがなくあの頃の顔に戻っていた。
「とりあえず朝食は用意したから食べながら考えよう、今後の事を」
早苗は隆治に促されて外に出た。すると外には若い男がいたので思わずのけぞってしまった!
「ちょっとまて! わしは隆治だ! 一緒に若くなってしまったが、一応夫婦なんだから。まあ同居人と言った方が正しいかもしれないがな。これが昔話だったら若返って一件落着って事で終わりだろうけど、高齢者が若者になったなんて、これからどうなってしまうのか分からないと思わんか? 昨日までの二人なんて信じてもらえんかもしれないし」
隆治が言う通り、たしかに超常的な事が起きてしまったのだから、かえって困難な事が起きそうだと思う二人であった。
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