ふたりはサードライフはじめました!

ジャン・幸田

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早苗メイクアップ作戦!

11・話は付けとくから

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 年金がもらえなくなる? それは二人にとって死活問題であった。無職の二人にとってただちに困るに違いなかった。働けないのに! でも、身体が若返っているからどうなんだろう? そう思った。

 「支給されなくなったら、困りますが」

 隆治は大山理事長に聞いていた。すると、あっけらかんにこういった。

 「それはなんとかするからさ。この町の市長はわしとはマブダチだから、なんとか話は付けとくから。それにせっかく若返ったのなら、もっといい生活をしたいと思わないか? 年金の支給額は減るかもしれないが、若い者として働けばいいと思うぞ。それに新婚なんだろ? 若い者と同じように夢をみればいいんじゃないかい?」

 大山理事長の話を聞いて早苗は少し困った顔をしていった。

 「そういわれますけど、急に若返っても明日になると元の老人に戻っているかもしれませんわ。もう少し様子を見てもいいんではありませんか?」

 すると、待っていましたとばかりに大山理事長はよくぞ言ってくれたという態度を示し、手を叩いた。すると、外から白衣を着た数人の男女が入って来た。

 「それもそうだよな。取りあえずお医者さんを呼んでいたから、そこの医務室で検査してもらえばいいさ」

 そういったが、二人は怪しいと思った。医師だといわれた男女は見たことない面々で、この町の医者ではないようだった。

 「そうですか、なにを検査するのですか?」

 隆治は胡散臭そうにいった。それというのも大山という男は若い頃から詐欺師というか山師というか、そんな犯罪ギリギリの事をしてきたのだ。でも、逮捕されることもなく今ではそれなりの実業家になっていたのは、悪運が良かったのかもしれないといえた・

 「そりゃ、二人の身体の若さだ! もしかすると子供を残せるかもしれないぞ! そしたら子育てになにかとお金が要るようになるだろ」

 いきなり子供を作れるなんて! モノじゃないのに、それに年金をもらっている年齢なのに・・・そんな夫婦が子供を作ったらギネスものではないか?

 「それにしても、診察するにはお金がいるでしょ? また年金支給日まで日数がありますから、あんまり手持ちがありませんわ」

 早苗は心配そうに言った。それに対し大山理事長は自信たっぷりに言った。

 「お二人さん、心配ご無用! いろいろ面倒をみさせていただきますから、大船に乗った気分でいてください」

 そう話す彼の言葉を隆治はなんとなく裏があるように思った。利益を追求する男がそんなボランティア精神があったように思えなかったからだ。
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