機械娘の機ぐるみを着せないで！

第一章・ブラウ誕生

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　真希の両親が信奉している「ガーディアンガールズ」は1980年代から90年代の、昭和から平成にかけて制作されたOAV（オリジナルアニメビデオ）作品だった。

　作品の内容は、国家から依頼された任務を様々な職業の女性五人組がGスーツと呼ばれる強化服パワードスーツを身にまとい、解決するというものであった。作風はアニコメとメカと美少女が込み入ったものであった。その作中に登場する強化服は女性的なフォルムをしている一方で、完全にロボットにしか見えないデザインであった。

　実は両親が出会ったのは母がその作品のキャラクターのコスプレをしているときだったので、真希が生まれたのは作品のおかげだったといえるが・・・なにも娘にさせることはないだろうと憤っていた！　無断で！


　パワードスーツ姿の二人を乗せ、父・寛太が運転するのはガーディアンガールズ専用車、ではなく経営している会社の社用車だった。車体には「高畠工務店」とペイントされていたが、後部座席にロボット二体がいるのは異様だった。

　「どこに行くのよ、パパ！」

　ブラウ（真希）の人工音声は少し焦り気味だった。ブラウの内臓にされた彼女は不思議な気分だった。母に聞いた話ではＧスーツの内部は熱が籠るので一時間も着ていたら暑くて仕方なかったというのに、全然そんなことはなかった。外は天気も良く気温も上昇しているはずなのに快適だった。むしろ、普段よりも・・・人間態よりも身体の調子はよかった。まさか本当は機械に改造されているのではないかと危惧していた。

　「決まっているじゃないの、性能をテストするんだ。それとついでに撮影もしてもらうよ！」

　「テスト？　撮影？　なによそれ？」

　「これからガーディアンレディーが実現するんだ！　その記録を残さないのは罪さ！　そうではないか？」

　「はあ？　意味が分かんないわ！」

　ブラウはそわそわしていた。一方のヴァイスは動かなかった。ママは疲れているのと思っていると父はこういった。

　「ママはね、お前にブラウをスーツを装着するのに徹夜していたから、疲れているのさ。そっとしておあげ」

　「はい、わかったわ」

　ブラウは憮然と答えたが、真希の脳内に直接送られてくる外部の風景は山深いところのようだった。どうもキャンプ場みたいなところに向かっている様だった。