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魔法学園交流編
裏話2 ~糞担任視点、中編~
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とりあえず、赴任したはいいものの、肝心の生徒の姿が無かった。
調べてみたら、入院中だという。
(あー、内臓破裂とか言ってたっけ?)
教師陣、経営陣ともにバタバタしていた。
先日起きたドラゴン襲撃事件の余波である。
その理由があるとはいえ、かなりタイトなスケジュールで準備させるのはどこも一緒のようだ。
死ねばいいのに。
それにしても、とアールはヤマト・ディケについての情報に首を傾げる。
「……元農高生にしちゃ、違和感があるな」
襲撃してきたドラゴンは二匹。
農業高校で聞いていた話が本当ならば、件の生徒、ヤマトならば無傷でさっさと倒せるレベルのはずだ。
普通の農高の一年生なら、班を組んで罠を駆使すれば倒せるだろう。
しかし、アールに入ってきた情報はどれも彼が怪我をした、というものばかりだった。
他にも疑問点が多々あった。
例えば、彼が怪我で病院に運ばれた時間。
他の生徒とズレている。
たった一人だけ、ズレている。
遅いのだ。
ヤマトだけ、病院に搬送された時間が遅いのである。
後になって不調が出てきたということも考えられなくはないが、どうにもその場にいた生徒たちからの情報によると、ドラゴンの尻尾で全身を叩きつけられたらしいとある。
救急隊員へ、痛みを訴えていたという証言もあった。
アールは屑だが、それがなにを意味しているのかわからないほど馬鹿でも無かった。
「なるほど」
情報によると、今は生徒会長の計らいで他の生徒達とは別の病院に入院中である。
「さて、どうするかなぁ」
やはり気になるのは、怪我をした経緯だ。
どうしても、あの農業高校の生徒だと知っていると、尻尾の攻撃くらい避けられたんじゃね? という考えが捨てきれない。
「そもそもなんで逃げきれなかったんだ?」
最初の救助の際に搬送してもらえなかった理由は、想像がつく。
残る疑問はやはり、なんで逃げ遅れたのか? である。
生徒の証言、それらをまとめた書類を漁る。
今後の授業の参考にすると言えば、簡単に貸してくれた書類を漁る。
事前に、ヤマトがそのドラゴンを倒したというのは知っていた。
それを踏まえて、書類を調べて、アールは合点がいった。
無かったのだ。
こういう場合、一つくらいありそうな証言が無かったのだ。
「全員が全員、ヤマトがドラゴンを倒したって言ってるって、嘘くせぇな」
そう、一人くらい居そうなものなのだ。
一つくらい、『彼が助けてくれた』という、そんな証言があっても良さそうなものなのに、不思議なほどそんな証言は無かった。
その代わりとばかりに記載されている証言は、ヤマト・ディケがドラゴンを倒したというものばかりだ。
「十中八九、編集してるな」
改竄でもなんでもいいが、そういうことなのだろう。
彼のような存在が支持を得ている、その事実を消そうとしているかのようだ。
それでも、ドラゴンを倒したという一点だけは真実だから書き換えることが出来なかったのか。しなかったのか。
「さて、どうするかなぁ」
報酬を前払いで受け取った以上、その分の働きはしなくてはならない。
ツマミでもつけてもらえば良かったかなとか思ってしまう。
「あ、そうか。聞きに行けばいいのか」
アールが出した答えは至極単純だった。
生き残りの生徒にそれとなく話を聞けばいい。
しかし、手間がかかる。めんどくさい。
だが、また別の案が浮かんできた。
こちらもとても単純な案だった。
だが、これなら一人に聞けばいいのだ。
わざわざ話を聞きに行くという面倒と手間は変わらないが、一人だけなのでまだ楽のはずだ。
「天下の生徒会長様はどんな反応するのかねぇ」
調べてみたら、入院中だという。
(あー、内臓破裂とか言ってたっけ?)
教師陣、経営陣ともにバタバタしていた。
先日起きたドラゴン襲撃事件の余波である。
その理由があるとはいえ、かなりタイトなスケジュールで準備させるのはどこも一緒のようだ。
死ねばいいのに。
それにしても、とアールはヤマト・ディケについての情報に首を傾げる。
「……元農高生にしちゃ、違和感があるな」
襲撃してきたドラゴンは二匹。
農業高校で聞いていた話が本当ならば、件の生徒、ヤマトならば無傷でさっさと倒せるレベルのはずだ。
普通の農高の一年生なら、班を組んで罠を駆使すれば倒せるだろう。
しかし、アールに入ってきた情報はどれも彼が怪我をした、というものばかりだった。
他にも疑問点が多々あった。
例えば、彼が怪我で病院に運ばれた時間。
他の生徒とズレている。
たった一人だけ、ズレている。
遅いのだ。
ヤマトだけ、病院に搬送された時間が遅いのである。
後になって不調が出てきたということも考えられなくはないが、どうにもその場にいた生徒たちからの情報によると、ドラゴンの尻尾で全身を叩きつけられたらしいとある。
救急隊員へ、痛みを訴えていたという証言もあった。
アールは屑だが、それがなにを意味しているのかわからないほど馬鹿でも無かった。
「なるほど」
情報によると、今は生徒会長の計らいで他の生徒達とは別の病院に入院中である。
「さて、どうするかなぁ」
やはり気になるのは、怪我をした経緯だ。
どうしても、あの農業高校の生徒だと知っていると、尻尾の攻撃くらい避けられたんじゃね? という考えが捨てきれない。
「そもそもなんで逃げきれなかったんだ?」
最初の救助の際に搬送してもらえなかった理由は、想像がつく。
残る疑問はやはり、なんで逃げ遅れたのか? である。
生徒の証言、それらをまとめた書類を漁る。
今後の授業の参考にすると言えば、簡単に貸してくれた書類を漁る。
事前に、ヤマトがそのドラゴンを倒したというのは知っていた。
それを踏まえて、書類を調べて、アールは合点がいった。
無かったのだ。
こういう場合、一つくらいありそうな証言が無かったのだ。
「全員が全員、ヤマトがドラゴンを倒したって言ってるって、嘘くせぇな」
そう、一人くらい居そうなものなのだ。
一つくらい、『彼が助けてくれた』という、そんな証言があっても良さそうなものなのに、不思議なほどそんな証言は無かった。
その代わりとばかりに記載されている証言は、ヤマト・ディケがドラゴンを倒したというものばかりだ。
「十中八九、編集してるな」
改竄でもなんでもいいが、そういうことなのだろう。
彼のような存在が支持を得ている、その事実を消そうとしているかのようだ。
それでも、ドラゴンを倒したという一点だけは真実だから書き換えることが出来なかったのか。しなかったのか。
「さて、どうするかなぁ」
報酬を前払いで受け取った以上、その分の働きはしなくてはならない。
ツマミでもつけてもらえば良かったかなとか思ってしまう。
「あ、そうか。聞きに行けばいいのか」
アールが出した答えは至極単純だった。
生き残りの生徒にそれとなく話を聞けばいい。
しかし、手間がかかる。めんどくさい。
だが、また別の案が浮かんできた。
こちらもとても単純な案だった。
だが、これなら一人に聞けばいいのだ。
わざわざ話を聞きに行くという面倒と手間は変わらないが、一人だけなのでまだ楽のはずだ。
「天下の生徒会長様はどんな反応するのかねぇ」
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