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対戦をするには、本来室内は不向きらしい。
言われて、そりゃそっか、と思った。
いわばテイムしたモンスター達の、魔法有りのなんでも相撲だ。
もしくは取っ組み合い。
火魔法、水魔法、風に雷。
その他もろもろの攻撃魔法を室内でぶっぱなすのだ。
そりゃ、不向きだ。
しかし、専用の魔法術式を展開すればそう言った戦闘、この場合は試合とか手合わせとかになるが、それを行えるらしい。
サッカーとかバスケットボールとか、そういったスポーツで地面や床に引かれている白い線。
テープか粉かの違いはあれど、そういった線がこの場にも自動的に引かれていく光景を、あたしはすげぇなぁ、と眺めていた。
魔法の展開とかは、今まで見てきたしそんなに珍しいものでもない。
なんと言えばいいのか、舞台の裏側を見た時の感想に近かった。
あー、こうやってやってるんだ的な、アレである。
テイマーが所定の位置にたち、それぞれのモンスターは引かれた線の中に自動的に配置される。
タマが不安そうにキョロキョロと周りを見回して、背後にいるあたしを見つけると、半泣きで駆け寄ってきた。
しかし、
「テュケるる~!」
バゴんっ!
タマは見えない壁、透明なそれに激突して跳ね返って転がった。
かと思うと、すぐに体を起こして何が起きたかわからないとばかりに、あたしを見てきた。
「タマ、ちょっとだけ、ちょっとだけだから。
あの火竜ちゃんとあそぼっか?」
あたしが見えない壁を通して、そう相手側を指さす。
「テュケ?」
タマがそれに従って、そちらを向いた。
ちょうど中央に、こちらとあちら側を分断するように白い線が一本引かれていて、線の向こう側にリリアさんの火竜が、戦闘態勢をとっていた。
「ルル~?」
タマが、おっかなびっくりといった感じで、中央に近づいていく。
頃合を見計らって、手合わせは始まった。
「火竜、火炎球!」
リリアさんが先手を打つ。
巨大な火の玉が、火竜の口から放たれタマへ向かってきた。
「テュケ?」
タマが、こてんっと体を傾げてそれを見ていた。
「タマ! 逃げて! 避ける、避けるの!!」
とか身振り手振りで言ってる間に、モロに喰らった!
ちゅどーん!!
壁のお陰でこっちには爆風や熱風来てないけど、これ、中にいたらたぶんヤバいやつだ。
「アホーー!!」
あたしが叫んでると、横で笑いを堪えていたイケメンが声を震わせて言ってきた。
「ほんとに、初心者なんだね。
でも、大丈夫。君、あの子に妙な魔法掛けてたろ?
いや、魔法っていうよりスキル使っての効果付与だったけどさ」
いや、たしかに頑丈になーれってやったけどさ。
ついでに痛いの無い無いってのもしたけど。
ちゃんと出来てるかも分からない。
いや、ジーンさんから見たら、ちゃんと出来ていた、ということでいいんだろうか?
「ほら、見てみなよ。タマちゃん、元気だよ」
言われ、指を差される。
そちらを見ると、火の玉が炸裂し発生した黒煙の中から、ぴょんぴょんとこちらに跳ねてくる丸っこい影があった。
「テュケーー!! ルル~!!!!」
今度は半泣きではなく全泣きだった。
涙を滝のように撒き散らし、怖いよー!! と言わんばかりにこちらに突進してきた。
そして、そのまま、また見えない壁にぶち当たった。
パゴンっ!!
お前は、少しは学べーー!!!!
「テュケー! テュケるるー!!」
助けてー!
もう嫌だー!
怖いのヤダー!!
と叫んでいるようだ。
見る限り、怪我はしていないようだ。
あたしは胸を撫で下ろす。
その横から、ジーンさんがタマへ声を掛けてきた。
「うん、うん、タマちゃん、ごめんね。もうちょい頑張れるかな?
ほら、火竜のご主人様、ここを見ている人達。
皆を見るんだ。あの人たちは誰を見て嗤ってる?
いいかい?
ここでの君への評価は、全部君のご主人様への評価だ。
この意味、わかるかな?」
続いて、名前は知らないがジーンさんのワンコが鳴いた。
「キャンっ!」
タマがワンコを見て、どこか自信なさげに鳴いた。
その後、タマはあたしを見て、それから、リリアさんを見た。
そして、最後に周囲を見回した。
吊られるように、あたしもそれらを見た。
ほとんどが、呆れや嘲笑を浮かべていた。
哀れみもあった。
それらを一通り見たあと、タマはワンコとジーンさんを交互に見て、一声鳴いた。
「テュケ!」
「よし!
いい返事だ。君は思っていたより骨がありそうだ」
そんなやりとりをした後、ジーンさんが今度はあたしに向かって言ってきた。
「そんなわけで、丁度いいし、ココロさん、君とタマちゃんには彼女――リリアさんへの教育的指導に協力してもらうよ」
おい、待てや。
今なんつったこの野郎。
言われて、そりゃそっか、と思った。
いわばテイムしたモンスター達の、魔法有りのなんでも相撲だ。
もしくは取っ組み合い。
火魔法、水魔法、風に雷。
その他もろもろの攻撃魔法を室内でぶっぱなすのだ。
そりゃ、不向きだ。
しかし、専用の魔法術式を展開すればそう言った戦闘、この場合は試合とか手合わせとかになるが、それを行えるらしい。
サッカーとかバスケットボールとか、そういったスポーツで地面や床に引かれている白い線。
テープか粉かの違いはあれど、そういった線がこの場にも自動的に引かれていく光景を、あたしはすげぇなぁ、と眺めていた。
魔法の展開とかは、今まで見てきたしそんなに珍しいものでもない。
なんと言えばいいのか、舞台の裏側を見た時の感想に近かった。
あー、こうやってやってるんだ的な、アレである。
テイマーが所定の位置にたち、それぞれのモンスターは引かれた線の中に自動的に配置される。
タマが不安そうにキョロキョロと周りを見回して、背後にいるあたしを見つけると、半泣きで駆け寄ってきた。
しかし、
「テュケるる~!」
バゴんっ!
タマは見えない壁、透明なそれに激突して跳ね返って転がった。
かと思うと、すぐに体を起こして何が起きたかわからないとばかりに、あたしを見てきた。
「タマ、ちょっとだけ、ちょっとだけだから。
あの火竜ちゃんとあそぼっか?」
あたしが見えない壁を通して、そう相手側を指さす。
「テュケ?」
タマがそれに従って、そちらを向いた。
ちょうど中央に、こちらとあちら側を分断するように白い線が一本引かれていて、線の向こう側にリリアさんの火竜が、戦闘態勢をとっていた。
「ルル~?」
タマが、おっかなびっくりといった感じで、中央に近づいていく。
頃合を見計らって、手合わせは始まった。
「火竜、火炎球!」
リリアさんが先手を打つ。
巨大な火の玉が、火竜の口から放たれタマへ向かってきた。
「テュケ?」
タマが、こてんっと体を傾げてそれを見ていた。
「タマ! 逃げて! 避ける、避けるの!!」
とか身振り手振りで言ってる間に、モロに喰らった!
ちゅどーん!!
壁のお陰でこっちには爆風や熱風来てないけど、これ、中にいたらたぶんヤバいやつだ。
「アホーー!!」
あたしが叫んでると、横で笑いを堪えていたイケメンが声を震わせて言ってきた。
「ほんとに、初心者なんだね。
でも、大丈夫。君、あの子に妙な魔法掛けてたろ?
いや、魔法っていうよりスキル使っての効果付与だったけどさ」
いや、たしかに頑丈になーれってやったけどさ。
ついでに痛いの無い無いってのもしたけど。
ちゃんと出来てるかも分からない。
いや、ジーンさんから見たら、ちゃんと出来ていた、ということでいいんだろうか?
「ほら、見てみなよ。タマちゃん、元気だよ」
言われ、指を差される。
そちらを見ると、火の玉が炸裂し発生した黒煙の中から、ぴょんぴょんとこちらに跳ねてくる丸っこい影があった。
「テュケーー!! ルル~!!!!」
今度は半泣きではなく全泣きだった。
涙を滝のように撒き散らし、怖いよー!! と言わんばかりにこちらに突進してきた。
そして、そのまま、また見えない壁にぶち当たった。
パゴンっ!!
お前は、少しは学べーー!!!!
「テュケー! テュケるるー!!」
助けてー!
もう嫌だー!
怖いのヤダー!!
と叫んでいるようだ。
見る限り、怪我はしていないようだ。
あたしは胸を撫で下ろす。
その横から、ジーンさんがタマへ声を掛けてきた。
「うん、うん、タマちゃん、ごめんね。もうちょい頑張れるかな?
ほら、火竜のご主人様、ここを見ている人達。
皆を見るんだ。あの人たちは誰を見て嗤ってる?
いいかい?
ここでの君への評価は、全部君のご主人様への評価だ。
この意味、わかるかな?」
続いて、名前は知らないがジーンさんのワンコが鳴いた。
「キャンっ!」
タマがワンコを見て、どこか自信なさげに鳴いた。
その後、タマはあたしを見て、それから、リリアさんを見た。
そして、最後に周囲を見回した。
吊られるように、あたしもそれらを見た。
ほとんどが、呆れや嘲笑を浮かべていた。
哀れみもあった。
それらを一通り見たあと、タマはワンコとジーンさんを交互に見て、一声鳴いた。
「テュケ!」
「よし!
いい返事だ。君は思っていたより骨がありそうだ」
そんなやりとりをした後、ジーンさんが今度はあたしに向かって言ってきた。
「そんなわけで、丁度いいし、ココロさん、君とタマちゃんには彼女――リリアさんへの教育的指導に協力してもらうよ」
おい、待てや。
今なんつったこの野郎。
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