異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

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本編

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「うおおお!!」

何故かベッドの上に寝ていたユージンは目を覚ました瞬間飛び起きた。よく、アニメとかでありがちなシーンだが、今のユージンは数多の馬鹿にしてきたアニメキャラ達に共感できた。
一度心を落ち着かせる。

「そういえばしん達は」

この後アニメの流れだと美人メイドが立っているはずだが...

「やっと起きたか」

ハスキーな声が聞こえた。声の主をたどるとRPGで良く見かけるゴブリン風の男が立っていた。

「あれ、メイドじゃないんだ」
「なに言ってんだ?」
「いや、なんでも」

ユージンは落ち着いている素振りを見せながらも内心興奮していた。メイドでなくともゴブリンと言葉を交わしていることに。明晰夢というのだろうか、意味は良く分からないが、これが夢だとしても夢と分かる今の状態にはその言葉が相応しいだろう。それにしては「早く家に帰らねば!」という気持ちにはならなかった。いや、なれなかった。今まで大失敗を重ねてきたユージンはリアルの世界を好きにはなれていなかったから、それに夢だとしても異世界には興味があり、ここでの自分の能力を知りたい等と考えたり、猫耳獣人美少女や、ゴスロリツンデレ美女がいれば直ぐにでも嫁にしたい、という願望があったからでもある。

「おい、大丈夫か?」

不気味な笑みを浮かべてるユージンを見てゴブリンは心配になっていた。

「あ?ああ大丈夫」
「しっかりしろよこれから城に潜入だぞ?」
「ああ、うん…へ?」
「なんだ聞いてなかったのか?」
「すまん、なんか覚えてない、俺どうしてベッドなんかに」
「そりゃ、お前会合の時突然ぶっ倒れるからだろ」
「え?そうなの?」
「ああ、何故か急にな。皆で円になって会合してると後ろで音がしたから見てみれば、お前らが倒れてたんだ」
「ん?ほかの奴らもいるのか?!」
「あ、ああいるよ隣の部屋で2人向かいの部屋に1人な」
「そうか、良かった」
「ところでお前さんどこに属してる者だ?」
「へ?」
「会合の場にいたってことは、お前さんもあれで集まったんだろ?」
「あれ?」
「とぼけるなよ、もしかしてそれも忘れちまったのか?」

クスクスと笑うゴブリンに少し腹がだったが我慢した。

「あー、ごめんなんだっけ?」
「本当に覚えてねーのか?アレだよアレ」
「アレ?あー、あれね!?アレアレ」

無理があるのは承知でとぼけた。
「そうさ、ローマ皇王暗殺計画」
「(そうか、ここはローマか、そしてコイツらは国に反発してるデモ体ってことか?いや、でも暗殺って言ってんだから違うのか?...それにしても...)そうだったな」

ユージンは先程から気に入らない事が一つある、それは自分でも気味が悪いと感じるほど冷静な事だ。いくら異世界に興味があったと言ってもそろそろ焦らなくてはならないのでは、と心のどこかで薄くながら感じていた。

「この後その、城に潜入するだよ、早く支度しちまえよ」
そういってゴブリンは部屋を後にした。
「あーなんて事だ」

困った事になった。今の話を聞いてだいぶ状況を理解した。まずここはローマ、そして城が近くにあることを考えると帝国の中心に位置する都市だろう。どうやら俺達が異世界転送された場所は国の王を殺そうとたくらむ奴らが集まるとこらだったらしい、よそ者の俺達を見て敵と判断しないということは、少数の腕利き達が各地から集まったという事だろう。幸い4人は離れていないとのことだ。怪しまれない様にするには、このまま彼らと行動を一緒にした方が良いだろう。そして、城に潜入する際どさくさに紛れて逃げる。こんな所か。そこにしん達がやってきた。

「お!いたいた」
「無事だったか!」
「やっと見つけた...」
「おぉお前らも無事でなにより」

ユージンは、これまでの意図を話した。

「なるほど」
「なるほど」
「なるほど」
「じゃ、どさくさに紛れて逃げるんだな?」
「まーな、情報も少ない。人殺しも手助けなんかできるか」
「その通りだな!」
「すが、今が何年位かわかるか?」
「まだ何ともいえないローマの歴史はそれなりに長いから」

勉強が得意なすがなら分かると踏んだがやはり情報が少ない。

「だったら、暗殺された王が栄えていた時代はどうだ?」
「なるほど!頭良い!」

しかし、予想を裏切りすがは首を横に振る

「暗殺された王も1人や2人だけじゃない」
「ところで気になったんだが」

3人の目線が天井に向く。

「いつの間に俺達は着替えたんだ?」

確かに天井の言うとおり、転送された時と今では服装がかなり違う。

「ああそれだけど、気絶してた時はすでにこの格好だったらしいぜ、なんでもそれぞれの職種になってるんだとか」
「ほう。」
「俺はアサシンって職種で隠密の作業を得意とするらしい、主な武器はナイフで、これが倒れたときに持ってたナイフ。てんは格闘家、素手での攻撃や斧をを使ったり大剣を使ったり、力技が得意なんだと。で、そっちにあるのがお前の斧。」
「へぇ、って重っ!!くわねーな」
「重くねーのかよ!」
「んで、すがっちは見たまんま魔導師、スペルって言うのを唱えて魔法を使うらしい。専用武器は魔力を高めるその杖だと。」
「魔法使えるのか?」
「なんとか...」
「まじで!?すげー!!」
「自分の所有物に杖と一緒にこの本もあった...さっき一度使えた...」
「どんな!?」
「喉が乾いたので...飲料水を出した...」
「やって!やって!」

ユージンは、興味津々である。

「トレードエアオンウォーター...」
すると、何もない所から球体の水が現れた。
「すげー!!なにこの魔法!?」
「空気を水に変換した...」
「よくわかんね!」
「最後に!ユージン、お前は...」

ユージンは今までない以上に緊張していた。このまま良い職種であってほしい!リアルでダメな分ここでと言わんばかりに。

「よく分からんそうだ。」

それを、聞いたユージンは口をポカン。

「は?」
「いや、なんか、ゴブリンが言うには身なりは勇者っぽいけど、まさか王の暗殺計画に勇者は参加しないだろう。と言っていたぞ。」
「なんじゃ!そりゃ!」

叫んだ瞬間に扉が開いた。先程のゴブリンだ。

「おら!お前ら!時間だぞ出発だ!」

◆◇◆

城の門の前に着くと4人は驚いた。門の大きさは4人の想像を遥かに超えていた。無駄に作ったとしか思えないその門の前に騎士らしき人物が2人立っていた。

「アニキ、あの2人どうしやすか?」

暗殺チームと言ったから少人数かと思ったが数は200近かった。多種多様な種族や職種がいて、RPG好きのユージンにはたまらない状況であった。

「うーん、予定では聖騎士がいないから侵入という形で入る作戦だったが、正面突破というのも悪くない。おい、そこの魔導師。」

言って指名されたのはすがだった。

「ひゃい!」
3人は珍しく普通の声を聞けた感覚だった。それ程このボス格が恐いのだろう

「とびきりのばかでけぇーのをぶちかませ、あの門めがけてな」
「りょ、りょうかい」

すがが両手をかざし、スペルを唱え始める。

「ーーーハイパーエクスプロージョン!」

すると、かざした両手の前に巨大な火の玉が現れる。

「イグニッション」

瞬間凄まじい爆風と熱風、そして衝撃と爆音が響いた。あたった門はあれほどの大きさだったのに粉々になくなっていた。囲んでいた者やあのボス格さえも驚きの表情を隠せなかった。

「もしかして、あなた様は上級魔導師なのですか?」

そんな声を投げかけられている。

「よし、突入だ」

この一言で全員がなくなった門めがけて走り始めた。

「ここからは別れて探す!王を見つけ次第殺せ!聖騎士達はいない!安心して暗殺にかかれ!なお王は17の娘だそうだ!」

この言葉で逃げようとしていた4人の足を止めた。

「っ!?女?!しかも同い年かよ?!」
「放っておけん!!」
「全くだ!美女だったらどうするつもりだ!」
「しん、それは違う」

とにもかくにもその王を探し出して、ここから逃がしてやろうと4人同時に思っていた。
走る事10分程、城の内部をだいぶ進んできた。すると、右側の部屋でなにやら言い争っているのがわかった。

「そこをどけぇ!」
「なんだ!?貴様等は!?」
「その奥に王がいるんだな!?」

ひとりは見慣れない正装を身にまとっていた。あとの2人は見覚えがある。暗殺チームの奴らだ。

「よし!さっきはすがっちに驚かされたけど今度は俺の番だ!」
「俺もいく」
「おう!あんたらか!コイツを始末して早く王を...」

バンッ
天井の重い平手打ちをくらった170程ある男が吹っ飛んだ。それをみたもう1人は
「裏切ったな!」と言い放ち、鞘から剣を抜き、天井めがけて突進してきた。がどこから現れたのかしんがその男性に刃を突き刺していた。

「すげー!!なんだいまの?!」
「俺の能力、サイレントフットワーク。触れるかダメージを与えない限り姿、気配を完璧に消すことができる」
「なに、その中二病チート能力!?」
「初めてやったけど本能的に使えた。」
「すっげー」

と関心していると

「なんだ!?おまえ達は!?」
「何って助けに...」
「怪しい奴らめ!衛兵!衛兵!」
「うぁぁあ、どうしよ」
「ちょっとすいませんね」

ドガッ
天井が正装の男を殴って気絶させることができたが、衛兵が近づいてくることがわかる。
「ちっ、ここは俺達でなんとか食い止めるから、お前は早くお姫様連れて来い!そしたら逃げるぞ!(一変言ってみたかった!)」
「え?1人で?やだよ!普通に!え、やだやだだるいって」
「だまっていけ!」
「この中で戦えないのユージンだけ。」
「ほら!行ってこい!」

まるでゴミ出しのように首根っこをつかまれ放り出された。
階段が地下まで続いていたが転がるように落ちていった。
しばらく落ちてからなんとか体勢を立て直したが、あちこちボロボロだった。と、階段の先に出口の様なものがあるのに気がついた。
「地下室か?」そんなことを考えながら降りると中には有り得ない広さの地下室と大きな岩の上に剣が刺さっていることに気がついた。

「なんだこれ?」

近付こうとした瞬間なにかを察知したユージンは少し後ろに後ずさった、そして目の前を鋭い剣が通過した。後少しズレていれば死んでいただろう。剣の主をみると甲冑に身を包んだ美女がいた。

「ええ!?剣持った女の子でてきた!?」
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