異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

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本編

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ネロは少しずつライオンとの距離を縮め、鞘から剣を抜く。ライオンがこちらに気付いていない内に済ませたい。

「(よーし、そのまま動かないで下さいね)」

その時だった、ネロもここまで焦った事は人生の中でも一度あるかないかだった。目が合ってしまったのである、自分と同じくらいの大きさの目の前の猛獣と。喉を低い声でグルルルと鳴らしている。ネロとライオンの距離は約1メートルにまで近付いていた。

「あはは...あー、コンチニハ」

しばらく睨み合いが続いた、いやネロに関しては硬直していた。心の中で「はあ、短かったけど楽しい人生だったな」と自分の死を受け入れてしまっていた。

『おい!ネロどうしたんだ!』
『ネロちゃん!?』

皆の声が聞こえるがネロは声を出すことさえできなかった。遂にライオンはネロに襲いかかったと思った時、ネロの鼻先をナイフが通り過ぎた。

「あたー、外しちゃったよ」

ナイフに驚いたのかライオンは後退りする。ナイフが飛んできた所をみると赤髪の少年が立っていた。

「あの、助けて頂いてありg...」
『ネロ!そいつヤバいから逃げろ!』
「お嬢さんとそのパーティーの方々、謎解きご苦労様です。まさか正解がライオンだなんて」
「この人は一体何者ですか?!」
『トト・カルメン、ゴールドの冒険者でランキング第6位。ネロがかなう相手じゃないわこの場は退いて彼に宝を譲るのよ』
「でも...!」
『この場合あんたの安全が優先だ、今会場にはそいつにやられた負傷者が大勢いる』
『そうだ、ネロちゃんわざわざ無理をして危険をおかす必要はない。ここは彼に宝をゆずっt...』
「あんた達さぁ、なに言っちゃってんの?無事で帰すつもりはないよ、例え美人の女の子だろうとね」
「っ!!?お前なら宝をすぐにでも手に入れられるだろう!」
「でも僕、明日の個人戦に備えて身体を動かしておきたいんだよね」
「奇遇ですね!皆さんはああ言ってますけど、私も宝をあなたなんかに渡す気はみじんもありません!」
『ネロさん何を!』
「絶対勝ちますから大丈夫です!......では行きます!」

両者が構える。

◆◇◆

...
......

「楽しかったよ~、お嬢さん♪」

トトの視線の先は穴だらけの鎧に折れた剣、痛々しいアザ、傷、服に付着したネロの血、ネロが倒れている地面には大量の血が流れていた、ネロはというと全く動く気配がない。
会場に運ばれたネロを見てユージン達は言葉を失っていた。

「威勢が良いのは口だけで対したことなかったな~」

ワザと聞こえる言い方だった。ここで爆発しない奴がいるのかと透達はトトを睨む。

「そんな恐い顔すんなって、殺してはないから安心しなよ~」
「......お前!!」
「モモ、抑えろ」
「ユージン様!どうして...!」
「あいつは無情な奴だったけどちゃんとルールには従っていた。」
「でも!」
「だが、腹は立っている。そして、嬉しさもある」
「んん?なんだ嬉しかったのか」
「ああ、明日からの個人戦でお前をぶっ潰せる事がな」

ユージンはニタァと笑みを作って言った。

「俺の知り合いにこんな事して......ただで済むと思うなよぉ?コイツが感じた苦痛、恐怖全て倍にして返してやる」
「ユージン様...」
「(今まで見たことない顔だ)」
「おぉ...やってみてよ。楽しみだな~お兄さんの苦痛に染まった顔が♪それじゃあ明日からの個人戦、せいぜい頑張って生き残ってね~」

手を振りながらトトはその場を後にした。

◆◇◆

「どうだった?噂のオール3は」

暗く細い道に5人の男女がいる。その中にトト・カルメンの姿もあった。

「んー、予想外の反応だったかな~、僕としてはプッツンするとこみたかったのにな」
「ただの腰抜けじゃない、やっぱり噂通りなのよオール3は」
「しかし、あのマリアがただのカッパー冒険者と果たしてパーティーを組むのか?」
「お前はどう思ったんだ?トト」
「まあ、強いか弱いかって聞かれたら多分あの様子じゃ弱そうだけど、ただ...」
「ただ?」
「さっきからあの顔を思い出すと震えが止まらないんだ、武者震いなのかそれとも恐怖なのか分からないけどね。あいつは僕がやるよ絶対にね、オール3」
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