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本編
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ユージンの試合をみていた影がひとつ、ガディ・ホーフェンだ。
「流石、としか言いようがないな。やはりあの小僧強かったか......しかし、本当に見たことのない魔法だった...」
不意に後ろに気配を感じた。
「誰かな?」
「流石ですね、ランキング一位無敗の男、ガディ・ホーフェンさん。僕の気配に気が付くとは」
「君は彼の次の対戦相手のトト・カルメン君か、面識はないはずだが?」
ガディの質問に答える素振りはない。
「あのカッパー確か昨日の...奇跡的に勝ったんですね」
「なんだ彼の試合をみていなかったのか」
「ええ、弱者に興味はありません。では僕はこれで、決勝で当たりたいですね」
「君とはあたれないね」
その場を去ろうとしたトトの足が止まる。
「どういうことですか?」
「彼に負けるからさ」
「僕がカッパーごときに負けると?」
「強さなんてものはランキングなどでは知ることはできない、彼に勝つことからまず目標にするべきだと思うがね」
「ありえない、僕が興味があるのは強者だけだ。」
トトを見送って会場に目をやる。
「そんな考えじゃ彼には到底及ばない。」
◆◇◆
宿に戻り、一旦ネロの様子を見て来る事にした、次の試合までの時間も考えて丁度間に合うくらいだ。と、その時後ろをついて来たモモが足を止める。
「どうした?モモ」
「あっちの方でなにか聞こえたような…」
耳を済ませるがなにも聞き取れない。
「なにも聞こえないけど」
「僕ちょっと様子を見てきます」
と言って走って見知らぬ道に入っていってしまう。
「あ、ちょっと!...行っちゃった、これ付いていった方が良いよな…」
ユージンも後を付いて行くことにした。
見知らぬ道を歩き続けて五分たった。
「モモ、まだ奥まで行くのか?」
そのとき突然モモは曲がり道の途中で静かに、とポーズをとる。なにがあるのかと除くと黄土色の地味な服を着た男性が立っている、なんとその下に甲冑に身を包んだ兵士の様な男が五人程血だらけで倒れていた。
「っ?!」
こみ上げてくる驚きを必死に抑える。しかし、ユージンの願いは叶わず、後ろに積み立ててあった箱のような物を一気に倒してしまう。男は少しこちらに首を向けた、無精ひげがモミアゲに届くほど長く、手には手錠がされている。
「マズい!逃げましょう!」
2人で元来た道を戻る、幸い男が追ってくる気配はなかった。
「なんなんだよあれ」
「恐らくあれは奴隷ですね、脱走を図ろうとした時で、偶然にも僕たちが遭遇してしまったんでしょう。僕のせいです。すみません。後で運営の警備員を向かわせます。本当にすいません。」
「ああ、いいよいいよ。」
その時ふと時間が気になった。
「お、そういえばそろそろかな俺の出番は」
「そうですね、戻りましょうか...」
◆◇◆
「さあ!Aグループ!二回戦第1試合目が始まるぞ!!」
観客が凄まじい盛り上がりを見せる。
「では、選手に入ってもらおう!ユージン選手とトト・カルメン選手だ!」
一回戦のユージンの戦いを見た観客はユージンに冷やかしを入れることはなく、
「今度はなにをみせてくれるんだ!?」「頑張れよ!オール3!」
と声援を送る者が現れ始めた。そして、会場の中心まで行き、トトと向き合う形になった。
「やあ、お兄さん。逃げずにわざわざやられに来てくれたの?嬉しいな~お兄さんの事一方的に虐めちゃうかも☆」
「ビックマウスも大概にしろ三下」
「では、始め!」
審判の言葉と同時に観客にはトトが消えたように見えた。しかし、実際にはトトは消えたのではなく高速で動いている状態だった。しかし、ユージンは
「(何故動かない?驚きもしないだと?...気に入らないな…)お兄さんこの速度にちゃんとついてこれてる?」
ユージンの後ろに回り込んで耳元でそう囁いた、ハズだった。
「それは、残像だ...(一度言ってみたかった)」
「っ?!」
後ろに回り込まれていたのはトトだった。
「いつの間に!?」
驚いたトトはその場から距離をとる。
「どうして!僕が回り込んでいたハズなのに!ありえない...!そうだ...紛れだ...紛れに決まってる!」
「プッハハ!絵に描いたようなリアクションありがとう!これ[瞬歩]っていう死神の歩行技術なんだけど、ってそんな事良いか。それにしても、ゴールドってのも大したことないな」
「どうしたことだ!回り込んでいたハズのトト選手が逆に一瞬で回り込まれた様に見えたぞ!カッパーがゴールドと互角に戦うという前代未聞の事態!一体このユージンという男何者なのか!これはかなりハイレベルな戦いになりそうだ!」
実況者のコメントを聞いて驚いたようだった。
「一瞬で回り込まれただと?!」
観客も先程のユージンの動きを見て湧いている様子だった。
「おい、あのカッパーの動き見えたか?!」
「悪い、見えなかった...」
「俺も、一瞬あのゴールドが見えたかと思ったら今度はカッパーが消えてて...」
「お前!一体どんなトリックを使ったんだ!」
「トリックなんか使ってねーよ!だからこれは[瞬歩]っていう...ああ!面倒くさっ!全く、人聞きの悪い奴だ」
「ハッ!まあ、良いや!今度は僕も最高速度で挑むとしよう。少し遊び過ぎたからね、俊敏が450越えの本当の力、君との......カッパーとゴールドの実力の差ってやつを見せてあげるよ。......いくぞ!」
「流石、としか言いようがないな。やはりあの小僧強かったか......しかし、本当に見たことのない魔法だった...」
不意に後ろに気配を感じた。
「誰かな?」
「流石ですね、ランキング一位無敗の男、ガディ・ホーフェンさん。僕の気配に気が付くとは」
「君は彼の次の対戦相手のトト・カルメン君か、面識はないはずだが?」
ガディの質問に答える素振りはない。
「あのカッパー確か昨日の...奇跡的に勝ったんですね」
「なんだ彼の試合をみていなかったのか」
「ええ、弱者に興味はありません。では僕はこれで、決勝で当たりたいですね」
「君とはあたれないね」
その場を去ろうとしたトトの足が止まる。
「どういうことですか?」
「彼に負けるからさ」
「僕がカッパーごときに負けると?」
「強さなんてものはランキングなどでは知ることはできない、彼に勝つことからまず目標にするべきだと思うがね」
「ありえない、僕が興味があるのは強者だけだ。」
トトを見送って会場に目をやる。
「そんな考えじゃ彼には到底及ばない。」
◆◇◆
宿に戻り、一旦ネロの様子を見て来る事にした、次の試合までの時間も考えて丁度間に合うくらいだ。と、その時後ろをついて来たモモが足を止める。
「どうした?モモ」
「あっちの方でなにか聞こえたような…」
耳を済ませるがなにも聞き取れない。
「なにも聞こえないけど」
「僕ちょっと様子を見てきます」
と言って走って見知らぬ道に入っていってしまう。
「あ、ちょっと!...行っちゃった、これ付いていった方が良いよな…」
ユージンも後を付いて行くことにした。
見知らぬ道を歩き続けて五分たった。
「モモ、まだ奥まで行くのか?」
そのとき突然モモは曲がり道の途中で静かに、とポーズをとる。なにがあるのかと除くと黄土色の地味な服を着た男性が立っている、なんとその下に甲冑に身を包んだ兵士の様な男が五人程血だらけで倒れていた。
「っ?!」
こみ上げてくる驚きを必死に抑える。しかし、ユージンの願いは叶わず、後ろに積み立ててあった箱のような物を一気に倒してしまう。男は少しこちらに首を向けた、無精ひげがモミアゲに届くほど長く、手には手錠がされている。
「マズい!逃げましょう!」
2人で元来た道を戻る、幸い男が追ってくる気配はなかった。
「なんなんだよあれ」
「恐らくあれは奴隷ですね、脱走を図ろうとした時で、偶然にも僕たちが遭遇してしまったんでしょう。僕のせいです。すみません。後で運営の警備員を向かわせます。本当にすいません。」
「ああ、いいよいいよ。」
その時ふと時間が気になった。
「お、そういえばそろそろかな俺の出番は」
「そうですね、戻りましょうか...」
◆◇◆
「さあ!Aグループ!二回戦第1試合目が始まるぞ!!」
観客が凄まじい盛り上がりを見せる。
「では、選手に入ってもらおう!ユージン選手とトト・カルメン選手だ!」
一回戦のユージンの戦いを見た観客はユージンに冷やかしを入れることはなく、
「今度はなにをみせてくれるんだ!?」「頑張れよ!オール3!」
と声援を送る者が現れ始めた。そして、会場の中心まで行き、トトと向き合う形になった。
「やあ、お兄さん。逃げずにわざわざやられに来てくれたの?嬉しいな~お兄さんの事一方的に虐めちゃうかも☆」
「ビックマウスも大概にしろ三下」
「では、始め!」
審判の言葉と同時に観客にはトトが消えたように見えた。しかし、実際にはトトは消えたのではなく高速で動いている状態だった。しかし、ユージンは
「(何故動かない?驚きもしないだと?...気に入らないな…)お兄さんこの速度にちゃんとついてこれてる?」
ユージンの後ろに回り込んで耳元でそう囁いた、ハズだった。
「それは、残像だ...(一度言ってみたかった)」
「っ?!」
後ろに回り込まれていたのはトトだった。
「いつの間に!?」
驚いたトトはその場から距離をとる。
「どうして!僕が回り込んでいたハズなのに!ありえない...!そうだ...紛れだ...紛れに決まってる!」
「プッハハ!絵に描いたようなリアクションありがとう!これ[瞬歩]っていう死神の歩行技術なんだけど、ってそんな事良いか。それにしても、ゴールドってのも大したことないな」
「どうしたことだ!回り込んでいたハズのトト選手が逆に一瞬で回り込まれた様に見えたぞ!カッパーがゴールドと互角に戦うという前代未聞の事態!一体このユージンという男何者なのか!これはかなりハイレベルな戦いになりそうだ!」
実況者のコメントを聞いて驚いたようだった。
「一瞬で回り込まれただと?!」
観客も先程のユージンの動きを見て湧いている様子だった。
「おい、あのカッパーの動き見えたか?!」
「悪い、見えなかった...」
「俺も、一瞬あのゴールドが見えたかと思ったら今度はカッパーが消えてて...」
「お前!一体どんなトリックを使ったんだ!」
「トリックなんか使ってねーよ!だからこれは[瞬歩]っていう...ああ!面倒くさっ!全く、人聞きの悪い奴だ」
「ハッ!まあ、良いや!今度は僕も最高速度で挑むとしよう。少し遊び過ぎたからね、俊敏が450越えの本当の力、君との......カッパーとゴールドの実力の差ってやつを見せてあげるよ。......いくぞ!」
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