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本編
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グリモア北側、とある路地裏に男が独り壁に身体を預けて立っている。男の年齢は30代頃でアゴから喉にかけて無精ひげが生えていた。男の表情からかなりの疲労が伺える、路地裏を出てある建物の前で止まった。建物には看板がある、中はとても賑わっていた。しかし、この男が入ってきた瞬間に賑やかさが失せた。男を睨みつける者、驚きの表情を見せる者、一瞬で男に視線が集まった。なにやら、話をしているようにも見える。
「なんであいつが...」
「人違いじゃないのか?」
「いや、間違いない」
「だとしたら、あいつを生かしておいていいのか?」
男は自分がそんな物騒な事を言われているのに気がついていたが気にとめなかった。
受付カウンターまで真っ直ぐに歩く。
「おい、ギルドマスターを出せ」
受付嬢にそう言い放った。
「申し訳ありません、ギルドマスターは只今急用でどなた様でも、お会いされることができません」
「いいから出せ!」
カウンターを叩きつけて威嚇を促す。これには受付嬢も恐怖の表情をみせた。
「で、ですから...」
「この...!まだ言うのか!」
受付嬢に手を挙げようとしたところをみた冒険者達も流石にマズいと判断した。
「おい!てめぇ...いきなり現れて騒ぎを起こす気か!」
「てめぇのいるとこなんかもうここにはねーよ!帰んな!」
「ちっ、カスどもに用はねぇよ」
「なんだとこらぁ!」
殴り合いが始まるかと思った瞬間制止させる声が響いた。
「やめんかぁ!!!」
「!!ギルドマスター!」
声の方を見ると小さな老婆が杖をついて立っていた。
「よお、マーヤラ。まだくたばってなかったか」
「あんたこそ兵を殺して逃げ出したと聞いて野垂れ死んだかと思ってたよ、トリシタン。」
「おい、マーヤラ。今年もこの時期になったんだ、対抗戦やってるだろ?」
「ああ、やってるよ。それがどうかしたのかい。今のあんたには関係ないと思うがね?」
「じゃあここに一つ宣戦布告をさせてもらう!この国の冒険者達を一人残らず狩る!」
「「「!!!???」」」
「それはつまり...」
「ククク、もちろん戦争だ。あんたら冒険者対俺、独りのな。優勝者には決勝で観客全員の前で...死んでもらう」
「おや、大きくでたじゃないか。自信があるのかい?」
「てめぇらには絶対に負けない力を手に入れたのさ」
「独りで勝てるとでも思っているのかい?あたしら七人のギルドマスターもいるんだよ?」
「それがどうした?時代遅れのジジイとババアしかいねーギルドマスターどもの古臭い魔法なんざ眼中にねぇよ。ただ、今回の対抗戦、あのガディ・ホーフェンもでるらしいじゃねーか。おもしれぇ...明日からだ、明日から冒険者狩りを始める!楽しみだなぁ...狩猟はよぉ...」
背を向けて扉に向かっていく、扉に手をかけもう一度振り向いてこう言い放った。
「今度は.........俺がお前らを叩きのめしてやるよ」
トリシタンと呼ばれた男が出て行くのを確認してその場にいた冒険者達が老婆に近寄っていく。
「マスター...」
「この事を全てのギルドに、各ギルドマスターに会合の準備を伝えてきな。全ての冒険者達には厳戒態勢を整えるように」
「了解!」
「わ、わかりました!」
この老婆の一言で冒険者や受付嬢が慌ただしく動き始めた。
「トリシタン...一体なにを始める気だい?」
◆◇◆
グリモア、東のコロシアム
「試合、終了~!!Cブロック三回戦第三試合目勝者、アマイ~!!」
「ハァハァなんとか...勝った」
『流石に私のような盾では限界があるな、本来盾というのは団体で力を発揮する。今まではアマイのパワーでなんとか乗り切ってきたが、それもそろそろ限界だ』
「別に勝ったんだから結果オーライさ」
選手控え室に戻ると透が待っていた。
「よ、お疲れ!天」
「透か...」
「なんだよ元気ないな」
「ああ、ガチで疲れた。そっちも勝ったのか?」
「負けるわけねーだろ」
そのとき、実況者の男の声がコロシアムの外に聞こえる音量で響いた。
「えー、次の試合の時間が近づいていますが只今緊急事態につき、選手には次試合まで控えて頂きます」
「なんか、あったのか?」
「しーらね、それより腹減らないか!?」
「同じ事考えてたか!」
◆◇◆
2人はコロシアムをあとにして飲食店を探すことにした。丁度昼時で、様々な良い香りがしてくる。
「なに食う?!」
「やっぱ肉だろ!」
「どこの店にするよ?!」
「俺の腹があちらを指している!」
といって人気のない道に出てきた。
「ありゃ?」
「ったく、なにやってんだよ。こんなとこにあるわけないだろ~」
「そっか、わり!」
2人がもと来た道を戻ろうとした時だった、何気なくもとの道より一つ手前の右手側の通りを見て目を疑った。来たときは気がつかなかったがそこには型胃の良い屈強そうな男達が数人血だらけで倒れ込んでいた。すぐさま男達に駆け寄る。
「おい!なんだこれ!?なにがあった!?」
「生きてっか!?おい、しっかりしろ!」
2人はまだ気がつかない、そこにはもう一人男が立っているのを。
「なんであいつが...」
「人違いじゃないのか?」
「いや、間違いない」
「だとしたら、あいつを生かしておいていいのか?」
男は自分がそんな物騒な事を言われているのに気がついていたが気にとめなかった。
受付カウンターまで真っ直ぐに歩く。
「おい、ギルドマスターを出せ」
受付嬢にそう言い放った。
「申し訳ありません、ギルドマスターは只今急用でどなた様でも、お会いされることができません」
「いいから出せ!」
カウンターを叩きつけて威嚇を促す。これには受付嬢も恐怖の表情をみせた。
「で、ですから...」
「この...!まだ言うのか!」
受付嬢に手を挙げようとしたところをみた冒険者達も流石にマズいと判断した。
「おい!てめぇ...いきなり現れて騒ぎを起こす気か!」
「てめぇのいるとこなんかもうここにはねーよ!帰んな!」
「ちっ、カスどもに用はねぇよ」
「なんだとこらぁ!」
殴り合いが始まるかと思った瞬間制止させる声が響いた。
「やめんかぁ!!!」
「!!ギルドマスター!」
声の方を見ると小さな老婆が杖をついて立っていた。
「よお、マーヤラ。まだくたばってなかったか」
「あんたこそ兵を殺して逃げ出したと聞いて野垂れ死んだかと思ってたよ、トリシタン。」
「おい、マーヤラ。今年もこの時期になったんだ、対抗戦やってるだろ?」
「ああ、やってるよ。それがどうかしたのかい。今のあんたには関係ないと思うがね?」
「じゃあここに一つ宣戦布告をさせてもらう!この国の冒険者達を一人残らず狩る!」
「「「!!!???」」」
「それはつまり...」
「ククク、もちろん戦争だ。あんたら冒険者対俺、独りのな。優勝者には決勝で観客全員の前で...死んでもらう」
「おや、大きくでたじゃないか。自信があるのかい?」
「てめぇらには絶対に負けない力を手に入れたのさ」
「独りで勝てるとでも思っているのかい?あたしら七人のギルドマスターもいるんだよ?」
「それがどうした?時代遅れのジジイとババアしかいねーギルドマスターどもの古臭い魔法なんざ眼中にねぇよ。ただ、今回の対抗戦、あのガディ・ホーフェンもでるらしいじゃねーか。おもしれぇ...明日からだ、明日から冒険者狩りを始める!楽しみだなぁ...狩猟はよぉ...」
背を向けて扉に向かっていく、扉に手をかけもう一度振り向いてこう言い放った。
「今度は.........俺がお前らを叩きのめしてやるよ」
トリシタンと呼ばれた男が出て行くのを確認してその場にいた冒険者達が老婆に近寄っていく。
「マスター...」
「この事を全てのギルドに、各ギルドマスターに会合の準備を伝えてきな。全ての冒険者達には厳戒態勢を整えるように」
「了解!」
「わ、わかりました!」
この老婆の一言で冒険者や受付嬢が慌ただしく動き始めた。
「トリシタン...一体なにを始める気だい?」
◆◇◆
グリモア、東のコロシアム
「試合、終了~!!Cブロック三回戦第三試合目勝者、アマイ~!!」
「ハァハァなんとか...勝った」
『流石に私のような盾では限界があるな、本来盾というのは団体で力を発揮する。今まではアマイのパワーでなんとか乗り切ってきたが、それもそろそろ限界だ』
「別に勝ったんだから結果オーライさ」
選手控え室に戻ると透が待っていた。
「よ、お疲れ!天」
「透か...」
「なんだよ元気ないな」
「ああ、ガチで疲れた。そっちも勝ったのか?」
「負けるわけねーだろ」
そのとき、実況者の男の声がコロシアムの外に聞こえる音量で響いた。
「えー、次の試合の時間が近づいていますが只今緊急事態につき、選手には次試合まで控えて頂きます」
「なんか、あったのか?」
「しーらね、それより腹減らないか!?」
「同じ事考えてたか!」
◆◇◆
2人はコロシアムをあとにして飲食店を探すことにした。丁度昼時で、様々な良い香りがしてくる。
「なに食う?!」
「やっぱ肉だろ!」
「どこの店にするよ?!」
「俺の腹があちらを指している!」
といって人気のない道に出てきた。
「ありゃ?」
「ったく、なにやってんだよ。こんなとこにあるわけないだろ~」
「そっか、わり!」
2人がもと来た道を戻ろうとした時だった、何気なくもとの道より一つ手前の右手側の通りを見て目を疑った。来たときは気がつかなかったがそこには型胃の良い屈強そうな男達が数人血だらけで倒れ込んでいた。すぐさま男達に駆け寄る。
「おい!なんだこれ!?なにがあった!?」
「生きてっか!?おい、しっかりしろ!」
2人はまだ気がつかない、そこにはもう一人男が立っているのを。
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