異世界の救世主になろう！～主役はやっぱり勇者だ～

本編

28

「腹減った～」
「確かに、お腹減りましたね」
「どっかで食事を...」
「ユージン様、なにやらマリア殿がこちらに走ってきています」
「あ？気のせいだろ、あいつは今試合のハズ...」

コロシアムの敷地はやたらに大きい、闘技場はコロシアムを含め６つある。同じ敷地内にあるからといってそう簡単に知人と会える訳が...

「ダーリン！」
「うええ？？！なんでマリアがここに！？」
「ダーリンに知らせることがあるの！」
「マリア殿！ユージン様が困っているではありませんか！」

ユージンが困っている事を察したのか一生懸命小さな体でマリアを離そうとしてくれている。

「一体なにがあったんだよ？」
「ウチのギルドマスターが帰ってきたのよ！」
「ギルド...マスター？」
「ギルドマスターとは各ギルドに一名ずついる冒険者の代表のような者達のことです。」
「え？そんな人達いた？」
「ダーリンはまだ会ったことなかったと思うけど、今まで遠くに行っていたからね」
「遠く？どうして？」
「さあ？いつも修行だ！とかって言ってはいなくなってるから」
「ふーん」
「それで今から一度会ってもらいたくて」
「ここに来てるの？それじゃ会いに行かないと失礼だな」
「うん！待っててすぐ連れてくr...ひゃ！」

急にマリアが悲鳴を上げた。

「え？どうした！？」

そのままその場に座り込んでしまったマリアの顔を伺う。

「うほほ！相変わらず良い尻してるの！マリア」

ひとりの年寄りがマリアの後ろに立っていた。身長はユージンの腰あたりで小柄である。

「いい加減にして下さい！ギルドマスター！」
「え？じーさんがギルドマスター？」
「見ない顔じゃな、新入りさんかの？」
「俺はユージン、ついこの前ギルドに加入した。まだカッパーだけどな」

「と、その下僕のモモです！」
「連れです」

「ホッホホわしは、傲慢〈スペルビア〉ギルドマスターのハンセンじゃ。よろしく」
「あと４人入った子達がいるんだけど...」
「その者達はまた会った時でいいだろう。ふむふむ、ほーお前さん」
「俺？」
「お前さん、強いなぁ...良い冒険者になるぞ。」
ゆ「は、はあ...どうも。」
「ところでわしが帰ってきたのには理由があっての」

◆◇◆

同時刻

「おい、あんたら！しっかりしろ！」

男がわずかに口を動かす。

「...ろ......う...ろ」

「なにを言ってんだ！？」
「天！後ろ！」

透に言われると同時に後ろに殺気を感じとった。ビュンという音と光が反射する何かを持った男が立っていた。

◆◇◆

「実は禁術をおこなったある男が処刑宣告をされてな、兵士を殺害して脱走をはかったようなのじゃ、その男が先日嫉妬〈インウィディア〉のギルドに顔を出したかと思えば、冒険者狩りとやらを始めると言い放ち去っていったそうじゃ。」
「その話俺達も聞いていいんですか？」
「かまわんかまわん、話を戻すぞ。そこでゴールドの冒険者と各ギルドマスターはこの男の追跡調査、そして身柄の拘束を決定した。つまりマリア、おぬしもこれからその緊急の任務じゃ。」
「了解です。でも、ゴールドと各ギルドマスター達が出るほどの相手なのですか？」
「ああ、前回奴の身柄を拘束したのは〈インウィディア〉のギルドマスターマーヤラちゃんじゃ、マーヤラちゃんの話によればひとりで奴を拘束するのは至難の業だったようじゃ。彼女の腕前はわしが一番良く知っとる。それが今回、その男はなにやら奥の手を用意したらしく大きく宣戦布告をしていったそうじゃ。なのでガディ・ホーフェン以外のゴールドは２人以上での行動を必ずとされとる。」

◆◇◆

「くっそ！なんだ？！こいつ！」
「強えぇ...お前何者だ！！？」

◆◇◆

「その男の名前は？」
「名を...」

◆◇◆

「...トリシタンだ。よろしくぅ～。」