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本編
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「どう戦うか?戦士の職業の戦い方くらい知ってるでしょ!」
前傾になって一気に距離を縮める。重い甲冑を着込んだ女性とは思えない動きだった。
「いっ!うそっ!」
これにはカーリーも驚いた様子だった。
「ひたすら斬って斬って斬りまくる!それだけ!」
ハア!と声を上げながら切りかかる。これを避けるカーリー、音を出して剣が空を斬る。そのまま後ろへ距離をとる。
「今のは少し焦ったッス、でも先輩。そんな事では魔導騎士は簡単にやれないッスよ」
刀身に手を当て、剣先を後ろへ、姿勢を低くして構えている。
「ユージン様、あれは一体?」
「俺にもわからねぇ」
「魔導騎士が主に使う魔法は魔導士が使う詠唱攻撃魔法とはこれまた違うんスよ。」
「.........(一体何をする気?)」
「《コルポラリスファカルターテムレニメンタス》!」
その瞬間、カーリーの足下から青紫の魔法陣が現れ、足から身体全体を包んだ。
「行くッスよ!!」
「なにか...」
「不味いな、ありゃ...」
「何がですか、ユージン様?」
マリアは直感で後ろに跳んだ、瞬間、カーリーが消えたように見え、距離を取ったハズが詰められていた。レイピアで突く様に攻撃をしかけてきた。初撃はかろうじてかわすが、信じられないスピードの剣さばきだった。結果二発、三発と肩や腕をかすめてしまった。
「ぐっ!!...」
転がる様に着地し、すぐに体勢を直す。
「今のは...」
「感が良いッスね、先輩」
「あれは、身体能力を向上させる魔法ですね。それも、上級の」
「一般の下級魔法なら一部分しか向上させられないッスけど、この魔法は全身の筋肉だけでなく内臓の強化もされてるので長時間使い続けても呼吸が苦しくならないッス」
「珍しく頭使ったじゃない。でも、上級魔法最大の弱点は魔力量の消費値がバカにならない事よ。」
「チッチッチッ、甘いッスよ先輩。そんな事も想定して、来る前にたーくさんご飯食べてきたッスよ!」
「あんた、またすんごい量を食べてきたの...」
「失礼ッスね!自分も一応女の子ッス!食べてきたと言っても20人前だけッスよ!」
「この、胃袋ブラックホールめ。あんたと飲食店行くと銭袋が10グラムは軽くなんのよ!」
「軽くしてあげてんッスよ!」
「大きなお世話よ!あれは嬉しい重さなのよ!」
「おっとー?言い争いが続いているぞー!」
「とにかくやるッスよ!覚悟して下さいッス!先輩!」
「話そらすんじゃないわよ!こうなったら!」
「一体どうする気だ?」
「あ!走り始めました!」
マリアは闘技場の端を走り出した、それを追いかけるカーリー。
「そんなスピードではすぐに追い付くッスよ!」
マリアとカーリーの距離は縮まった。カーリーの剣技をなんとか流すが、当たすぐにってしまう。
「ぐあっ!」
自ら後ろへ跳び衝撃を少しでも殺す。そしてまた走り始める。
「時間稼ぎのつもりッスか?!その前に倒してみせるッスよ!」
その後もマリアは走ってはカーリーからの攻撃を流すを繰り返した。
「ユージン様、これは...」
「ああ、カーリーの奴は気がついてないみたいだけど...」
「いつまで逃げるつもりッスか?...ん?」
カーリーが見たのは足下、マリアが走った後に線が続いていた。
「これは...?!」
「気付いたみたいだけど少し遅かったみたいね!」
「なんとぉ!マリア選手、ただひたすらに走り回っていたわけではなく、巨大な魔法陣を描いていた!」
「範囲魔法ッスか?!」
「私達は観客席からみていたからわかりましたけど、これだけ大きな魔法陣は近くでみてもわかりませんね」
「こりゃ、マリアの奴、考えたな。」
「私が魔法を使えないとでも思ったの?!《ハイパーグラビディイクスセプティフォーメン》!」
上からまるで大きな岩をいくつも乗せられたような圧力がカーリーを襲う、重さに耐えきれず倒れ込んでしまう。
「お、重い?!」
「驚いた?この魔法は陣に入った発動者以外の物体、物質全ての重力を重くさせるのよ」
「......重...力..?」
「今、普段の10倍の重さで感じていると思うわ。あなたの体重が45キロぐらいだとすると今は450キロの重さ、プラスその鎧の重さも含めて考えると...800くらいあるんじゃないかしら。」
「っ?!」
「今は肉体強化の魔法で耐えているらしいけれどその魔法が解けたら間違いなく潰れるわね。殺しはできないから重さを少し軽くして死なない程度に気絶させる事もできるわ」
「......鬼...ッス...か...?」
「天使の様に可愛いマリアちゃんで~す」
「恐っ!!」
「早く降参しなさい。《セカンドテンポーラ》」
「うがっ?!!(さらに重く?!)」
「二倍増しよ、安心して時間はたっぷりあるからあなたの魔法が切れるまで待ちましょう。二十分?それとも十分?」
「ふふ...これ...は...勝ち目...ない...ッスね...じ...ぶんの...負けッス......苦しいん...で早く...解いて...ほし...いッス...」
「ここでカーリー選手が降参を認めましたので試合終了~!!勝者マリア・ハート選手~!!そして、Dブロック準決勝出場が決まったぞ!」
「このまま行けばマリアは問題なさそうだな」
「ですね!」
「おつかれさん!」
「ううっ、先輩。自分食べたばっかって言ったじゃないッスか~。危うくゲロリンチョでしたッス~」
「ま、ああ言わないとあなた粘ってたでしょ?」
「そッスね多分。それがどうかしたんスか?」
「あのまま粘ってたらあなた勝ってたわよ。」
「え、え、えぇ~~!!!」
「言ったじゃない、上級魔法の最大の弱点はその魔力量の消費値が尋常じゃないって」
「.........あ...」
「フフッ、それじゃ」
そう言って口をポカンと開けているカーリーを後にして闘技場の出口へ向かった。
「............恐っ!!」
前傾になって一気に距離を縮める。重い甲冑を着込んだ女性とは思えない動きだった。
「いっ!うそっ!」
これにはカーリーも驚いた様子だった。
「ひたすら斬って斬って斬りまくる!それだけ!」
ハア!と声を上げながら切りかかる。これを避けるカーリー、音を出して剣が空を斬る。そのまま後ろへ距離をとる。
「今のは少し焦ったッス、でも先輩。そんな事では魔導騎士は簡単にやれないッスよ」
刀身に手を当て、剣先を後ろへ、姿勢を低くして構えている。
「ユージン様、あれは一体?」
「俺にもわからねぇ」
「魔導騎士が主に使う魔法は魔導士が使う詠唱攻撃魔法とはこれまた違うんスよ。」
「.........(一体何をする気?)」
「《コルポラリスファカルターテムレニメンタス》!」
その瞬間、カーリーの足下から青紫の魔法陣が現れ、足から身体全体を包んだ。
「行くッスよ!!」
「なにか...」
「不味いな、ありゃ...」
「何がですか、ユージン様?」
マリアは直感で後ろに跳んだ、瞬間、カーリーが消えたように見え、距離を取ったハズが詰められていた。レイピアで突く様に攻撃をしかけてきた。初撃はかろうじてかわすが、信じられないスピードの剣さばきだった。結果二発、三発と肩や腕をかすめてしまった。
「ぐっ!!...」
転がる様に着地し、すぐに体勢を直す。
「今のは...」
「感が良いッスね、先輩」
「あれは、身体能力を向上させる魔法ですね。それも、上級の」
「一般の下級魔法なら一部分しか向上させられないッスけど、この魔法は全身の筋肉だけでなく内臓の強化もされてるので長時間使い続けても呼吸が苦しくならないッス」
「珍しく頭使ったじゃない。でも、上級魔法最大の弱点は魔力量の消費値がバカにならない事よ。」
「チッチッチッ、甘いッスよ先輩。そんな事も想定して、来る前にたーくさんご飯食べてきたッスよ!」
「あんた、またすんごい量を食べてきたの...」
「失礼ッスね!自分も一応女の子ッス!食べてきたと言っても20人前だけッスよ!」
「この、胃袋ブラックホールめ。あんたと飲食店行くと銭袋が10グラムは軽くなんのよ!」
「軽くしてあげてんッスよ!」
「大きなお世話よ!あれは嬉しい重さなのよ!」
「おっとー?言い争いが続いているぞー!」
「とにかくやるッスよ!覚悟して下さいッス!先輩!」
「話そらすんじゃないわよ!こうなったら!」
「一体どうする気だ?」
「あ!走り始めました!」
マリアは闘技場の端を走り出した、それを追いかけるカーリー。
「そんなスピードではすぐに追い付くッスよ!」
マリアとカーリーの距離は縮まった。カーリーの剣技をなんとか流すが、当たすぐにってしまう。
「ぐあっ!」
自ら後ろへ跳び衝撃を少しでも殺す。そしてまた走り始める。
「時間稼ぎのつもりッスか?!その前に倒してみせるッスよ!」
その後もマリアは走ってはカーリーからの攻撃を流すを繰り返した。
「ユージン様、これは...」
「ああ、カーリーの奴は気がついてないみたいだけど...」
「いつまで逃げるつもりッスか?...ん?」
カーリーが見たのは足下、マリアが走った後に線が続いていた。
「これは...?!」
「気付いたみたいだけど少し遅かったみたいね!」
「なんとぉ!マリア選手、ただひたすらに走り回っていたわけではなく、巨大な魔法陣を描いていた!」
「範囲魔法ッスか?!」
「私達は観客席からみていたからわかりましたけど、これだけ大きな魔法陣は近くでみてもわかりませんね」
「こりゃ、マリアの奴、考えたな。」
「私が魔法を使えないとでも思ったの?!《ハイパーグラビディイクスセプティフォーメン》!」
上からまるで大きな岩をいくつも乗せられたような圧力がカーリーを襲う、重さに耐えきれず倒れ込んでしまう。
「お、重い?!」
「驚いた?この魔法は陣に入った発動者以外の物体、物質全ての重力を重くさせるのよ」
「......重...力..?」
「今、普段の10倍の重さで感じていると思うわ。あなたの体重が45キロぐらいだとすると今は450キロの重さ、プラスその鎧の重さも含めて考えると...800くらいあるんじゃないかしら。」
「っ?!」
「今は肉体強化の魔法で耐えているらしいけれどその魔法が解けたら間違いなく潰れるわね。殺しはできないから重さを少し軽くして死なない程度に気絶させる事もできるわ」
「......鬼...ッス...か...?」
「天使の様に可愛いマリアちゃんで~す」
「恐っ!!」
「早く降参しなさい。《セカンドテンポーラ》」
「うがっ?!!(さらに重く?!)」
「二倍増しよ、安心して時間はたっぷりあるからあなたの魔法が切れるまで待ちましょう。二十分?それとも十分?」
「ふふ...これ...は...勝ち目...ない...ッスね...じ...ぶんの...負けッス......苦しいん...で早く...解いて...ほし...いッス...」
「ここでカーリー選手が降参を認めましたので試合終了~!!勝者マリア・ハート選手~!!そして、Dブロック準決勝出場が決まったぞ!」
「このまま行けばマリアは問題なさそうだな」
「ですね!」
「おつかれさん!」
「ううっ、先輩。自分食べたばっかって言ったじゃないッスか~。危うくゲロリンチョでしたッス~」
「ま、ああ言わないとあなた粘ってたでしょ?」
「そッスね多分。それがどうかしたんスか?」
「あのまま粘ってたらあなた勝ってたわよ。」
「え、え、えぇ~~!!!」
「言ったじゃない、上級魔法の最大の弱点はその魔力量の消費値が尋常じゃないって」
「.........あ...」
「フフッ、それじゃ」
そう言って口をポカンと開けているカーリーを後にして闘技場の出口へ向かった。
「............恐っ!!」
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